はじめに

「こうとう区報はちゃんと費用対効果に見合うほど多くの人に情報が届いているのか?」という疑問を持ち調べて判明したのは、年間の合計発行部数も、1世帯あたりの発行部数も、都内23区で最多であったという事です。

自治体(行政)が皆様からお預かりしている大切な税金をどの様に何の効果を期待して使っているのか、また、その支出が効果に見合うものになっているかどうか、江東区議会議員として活動する上で、こうした税金の支出先事業内容のチェックは必須です。

本ブログでは区報(自治体広報紙)の費用対効果や今後のあり方について考えます。

令和4年度 23区別の区報・議会報発行状況について

江東区報は月に3回(毎月1日・11日・21日)発行されています。

実は、各自治体で発行されている広報紙は、その掲載内容、発行部数(回数)、配布方法が統一されている訳では無い事が判明しました。

以下が23区別の発行状況をまとめた表になります。

世帯数毎の発行部数ランキング

令和5年1月1日時点での住民基本台帳による東京都内23区別世帯数の上位10区に対し、広報紙発行部数を当てはめて1世帯あたりの部数を算出してみました。

※世帯数には外国人のみの世帯も含まれています

世帯数に対して発行部数(号外を除く)が多かったのは、1位が江東区(1.10)、2位が葛飾区(1.02)、3位が足立区(0.95)となりました。簡単に言い換えれば、江東区は100世帯に対して、110部印刷しているということです。日本語を母国語としない外国人のみの世帯があることも考えると、これは発行しすぎだと感じます。

また、それぞれ区報の発行回数/年と合計発行部数で比較すると、江東区36回/年(31.3万部×36回=1,126万部)、葛飾区36回/年(25万部×36回=900万部)、足立区24回/年(35万部×24回=840万部)となり、年単位で見てもこうとう区報の発行部数は世帯数に対してでも、都内で最多となる発行部数である事が分かります。

区報の発行・配布にどれだけお金をかけているのか

我らが江東区の区報にかける費用は、発行部数がダントツであり、これに伴う「印刷費」もさることながら、区報を発行する際に一番お金がかかっている「配送費」でも、非常に手厚く予算をつけていることがわかりました。

私自身も年に2回、会派報を発行する際に、ポスティングにするのか、新聞折り込みにするのか、かなり頭を悩ませています。配送に多額の金額がかかってしまうからです。

こうとう区報は、区内全世帯・事業者を対象に、直接郵便ポスト(集合住宅は集合ポスト、一戸建住宅は各戸ポスト)にお届けしています。また、区関係施設や、鉄道駅などに設置している広報スタンドでも配布しています。

江東区報についてHP(https://www.city.koto.lg.jp/kuse/koho/kuho/r05/index.html)より引用

前述の表からも分かる通り、江東区報は全戸ポスティングが行われています。

配送費用を含めた金額が算出できなかったのですが、世間一般的な相場からしますと、1部あたりのポスティング費用は3〜5円程度であるため、1回の発行部数31万部のうち配下されるものを考慮すると1回発行する度に約100万円の配送費がかかっていると推察します。

読者の皆さまが考える区報のあるべき姿とはどういったものでしょうか。私は、「区民に届けるべき情報が然るべきタイミングで届けられているか」「その情報発信にかかる費用対効果を正しく検証できているか」の2点を踏まえ、現在の区報の全戸配布という手法を見直す必要があると考えています。

過去に実現した私の政策の一つに「江東区報のHTML化」がありますが、この目的もまさしく“大切な税金の無駄遣いを見直しつつも、「情報格差の解消」を叶える”というものでした。

今後予算審査等の場において、江東区報の費用対効果の分析・見直しについて協議して参ります。

〜情報格差の解消〜「声の広報」と「点字版区報」について

ここからは、江東区が他区よりも先駆けて取り組んでおり、評価できる点について紹介します。

こうとう区報は現在以下の媒体で配信されています。

後者2つは目の不自由な方向けの媒体となっております。

声の広報についてはCD版とデイジー版があり、必要な方向けに作成し発送作業が行われています。※カセットテープ版は令和5年3月を以って配布が終了したとの事です。

内容を全て読み上げた上で発送作業となると多少のタイムラグ発生は仕方がない…と思いきや、なんと紙面が届くのと殆ど同じタイミングで発送されているとのこと。しかも、その発送作業を行っているのは当事者(目の不自由な方)と聞き、早速その作業風景を視察させて頂きました。(実は、視覚障害者の方向けの区報の音声データの発送を、視覚障害者の方が行っているのは、江東区が23区内で唯一なのです!)

先ずは広報から提供された原稿を元に、講習を受けた音訳者の方に音声化して頂き、音源を作成して頂きます。

そして、その音源をCD並びにデイジー版として複製し、動作確認を行った後に発送されます。
この動作確認を実施されているのが視覚障がいを持つ当事者の皆さまです。

中央にあるのがデイジーという再生機です。

CD版は通常のプレイヤーで聴く事ができますが、必要な情報までたどり着くのに時間がかかる一方で、デイジー版は専用の機械で再生する事により、枝分かれした情報から選択する事で情報に直ぐにたどり着くメリットがあります。
デイジー版のデメリットとしては、操作に慣れるまで時間がかかってしまう事と、日常生活用具ではあるものの修理に高額な費用がかかってしまうそうです。

また、点字版を利用していたけれども、加齢と共に指先の感覚が鈍ってしまい、音声版に利用を切り替えたという方も多いとの事です。

いずれにせよ、情報を得る為の選択肢が複数あることは大変望ましいと考えます。

稀に江東区報で紹介される担当部署などの連絡先一覧については点字版を手元に置いておき、他のイベントなどの詳細は音声版で情報を入手する、という使い方もできそうです。

また、江東区視覚障害者協会のメンバーにお話しを聞くと「江東区内におられる視覚障がいをお持ちの方の人数と比較すると、CD版、デイジー版、点字版の発行数はまだまだ足りない。身近な方に視覚障がいをお持ちの方がいたら、こうした広報を利用できる旨を是非ご紹介頂きたい。」との事でした。

是非区民の皆さまからもご紹介頂けますと幸いです。

メンッ!と総括

江東区の公式LINEでも区報に掲載されている情報が届く様になり、公式HPやSNSを活用した自治体としての情報発信力は年々高まっていると感じます。

実際に、区報には沢山の情報が載っているものの、忙しい子育て世帯からは「読む時間が無い」「区報はいつも読まずに新聞ゴミとして捨ててしまう」という意見も寄せられています。

ペーパーレスの時代において資源や税金の無駄を少しでも減らす為に、区民の皆様が好きな区報媒体を選択できるようにする、或いは読了率の低いワンルームマンションへのポスティングを見直すなど、工夫が必要であると考えています。

また、情報のバリアフリー化についてはこれまでも取り組んで参りましたが、「こういうのがあったら良いな」等 ご意見頂戴できますと幸いです。

さんのへ あや

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA