はじめに

2019年9月 江東区議会議員として初めて一般質問に登壇した際、私は江東区議会で初めて「ヤングケアラー」について言及しました。

さんのへ:いわゆる8050問題や介護殺人が後を絶ちません。昨今、こどもから高齢者、疾病者、障がい者も、それらの人を介護するケアラーの孤立化が進む中、包括的に、地域で支援する必要がますます高まってきております。米英独では、ケアラー支援が法律化されており社会的に認知され、支援体制が整いつつあります。ことに、ヤングケアラーという、介護を必要とする家族・兄妹がいるこどもたちの心身の負担がとても気になるところです。この新しいケアラー支援に是非区は率先して取り組んで頂きたく、ご所見を伺います。

江東区回答:ケアラーの方々の状況は世帯ごとに異なりますが、精神面、体力面等でのご苦労があるものと認識しております。そのため区では、これまでも高齢者の家族介護技術の習得や介護者同士の交流を図る「高齢者家族介護教室事業」や、介護を必要とする高齢者を一時的にお預かりする「シルバーステイ事業」、さらに、日常的に医療的ケアが必要な重症心身障がい児(者)等のいるご家庭に看護師を派遣する「在宅レスパイト支援事業」を実施するなど、ケアラー支援に積極的に取り組んでおりますが、ヤングケアラー等への支援の在り方については、今後研究してまいります。

さんのへ あや公式ブログ「令和元年度一般質問の全文と回答を公表します!」https://sannohe-aya.com/archive/984/

その時は未だヤングケアラー(並びにケアラー)の概念についてあまり認知されていませんでした。
その為、江東区としても「ヤングケアラーについてはこれから研究します」という回答の内容でした。

一年後の2020年、私は一般質問の場において「ヤングケアラーの実態調査」を要望しました。

さんのへ:ケアマネジャーの16.5%が、大人並みに介護を担うこどものいる家庭を担当した経験があるとのことです。支援体制が不十分という訴えは、そのうち96.4%を占めています。
令和元年第3回定例会の一般質問では、ケアラー及びヤングケアラー支援について、支援方法については研究するとの答弁でしたが、その後、実際にどのような研究がなされたか、お答えください。
先行研究から試算すると、江東区にも50名ほどのヤングケアラーが存在していると推測されます。介護を担うこどもには、学業、心身の不調などが確認されており、早急な実態把握と対応策が必要と言えます。まずは区が主体になってヤングケアラーの実態調査をすべきと考えますが、見解と現状を伺います。また、学校や青少年課を通じて相談を受けた場合、適切な支援先、相談先として障害者福祉課につなげられる体制にあるのかどうか。現時点で、ヤングケアラーに対し、関係機関の連携はできているかについて伺います。例えば中学生以下のこどもは学校や教育委員会、中学生以上はこうとうゆーすてっぷといった窓口に相談できることを周知したいと思います。

江東区回答:平成30年度と令和元年度に民間企業が国の補助事業として実施した調査報告の中では、ヤングケアラーの認知度が低いという課題や、こどもが実際に家族のケアを行っている状況などが示されております。また、様々な自治体における早期発見や対応に向けた取組などもまとめられていることから、これらの事例なども参考にして、引き続き、ヤングケアラー支援に関する研究を進め、支援に生かしてまいります。
次に、ヤングケアラーの実態調査についてです。
ヤングケアラーについては、既に国等で実態調査が実施されており、改めて調査を行う考えはありません。区といたしましては、自立支援協議会や要保護児童対策地域協議会などと連携しながら、障害がある家族をケアしているこどもの実態把握に努めてまいります。
次に、ヤングケアラーへの支援に関する関係機関の連携についてです。
ヤングケアラーとなっているこどもを早期に発見し支援するためには、関係機関の連携が重要であると認識しております。現状においても、教育や児童福祉など、こどもの生活の状況や様子の変化を把握する機会が多い関係機関から、支援が必要なこどもに関する情報が寄せられた際には、障害福祉サービスの活用など、適切な支援につなげております。引き続き、関係機関で連携し、ヤングケアラーへの支援を行ってまいります。

さんのへ あや公式ブログ「令和2年度江東区議会本会議 さんのへあやの一般質問と答弁全文」https://sannohe-aya.com/archive/1309/

江東区としては「特に研究はしてなかったけど、実態調査は国がやっているのでやりません」という回答でした。

しかしその後流れが変わります。令和4年、国のヤングケアラー支援連携プロジェクトチームにおいて、関係機関の研修および地方自治体の現状把握の不足が報告されました。

そこで、国はヤングケアラー支援にかかる自治体向けの財政支援を中心とした補助事業を整備し、江東区はそれを受ける形でついにヤングケアラー実態調査及び研修事業の実施に踏み切ったのです。

令和4年度 ヤングケアラー実態調査について

江東区内において初めてとなる実態調査については、下記の要項で実施されました。

  • 調査対象者
    ①小学生:区立小学校及び義務教育学校(前期課程)に在籍する小学4~6年生の児童 12,525人
    ②中学生:区立中学校及び義務教育学校(後期課程)に在籍する全生徒 8,435人
    ③高校生等世代:区内に住民登録のある高校生等(15~18歳) 11,821人
  • 回答期間
    小学生・中学生対象調査:令和5年1月12日(木)〜2月28日(木)
    高校生等世代対象調査:令和5年1月12日(木)〜2月25日(土)
  • 回答方法
    小学生・中学生対象調査:1人1台端末を活用したWeb上での回答で学級時間を使用して実施
    高校生等世代対象調査:回答フォームのURLを郵送しWeb上での回答
  • 回収率
    小学生:90.4%、中学生:80.9%、高校生等世代:21.4%

令和4年度 ヤングケアラー実態調査の結果

2023年6月15日(木)に公表された実態調査 報告書の概要版を共有します。

メンッ!と総括

令和2年度〜3年度に国によって実施されたヤングケアラーの全国調査結果においては、お世話をしている家族が「いる」と回答したこどもは、小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%という結果となりました。

その結果と江東区での独自調査を比較すると、江東区では小学校6年生で15.2%、中学2年生で14.5%、高校2年生世代で3.5%となりました。

結論から申し上げると、家族のお世話をしている割合は、高校2年生の世代を除いて小学校6年生、中学2年生において区が国を上回る結果となりました。

ケアをしている内容についても、幼い兄弟の日常的な世話が最も多かったものの、お母さん・お父さんという回答も一定程度ある事が判明しました。

全ての児童生徒が「直接会っての相談」を希望している事から、詳細な生活環境・状況把握を行なった上で、必要な支援に繋げていく必要があると考えます。

ただ、ヤングケアラーである子ども達にとって、区役所の窓口に相談しに行く事は非常にハードルが高い事です。スクールソーシャルワーカーの活用が当然求められる一方、教育現場からどのように支援に繋げていくのかを文教委員会等を通じて協議して参りたいと思います。

社会福祉士、精神保健福祉士として私も相談お受けできますので、遠慮なくご連絡下さい。
E-mail: aya.sannohe@gmail.com 電話:080-8851-3070

相談先の紹介もありますので、こども家庭庁のHPもぜひご参照下さい。

さんのへ あや

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