はじめに

江東区長選挙を終えた2023年末頃、政治家のパーティー券問題を取り上げたテレビ番組の中で元政治家が「選挙にはお金がかかる」と発言した事が話題となりました。

私はそれに対して「本当に選挙にお金は必要なのだろうか?」と疑問を呈し、以下のようにX(旧Twitter)に投稿しました。

選挙に係る支出は、候補者本人や政治団体による支出と、公費(税金)による支出の二種類に分けられます。

私は区民目線でしがらみなく活動する為に、国政政党・宗教団体・労働組合からの支援をお断りしております。その分、選挙戦においては資金不足と人手不足に悩まされており、家族親類や有志の皆さまに協力いただきつつも、ほぼ”徒手空拳”といった状態で挑んでいる状況です。

無所属が資金力で劣るなら、お金がない人でも選挙に出られる様に公費負担部分の割合を少しでも上げて乗り切れば良いのでは?」というご意見もありますが、私は以前より公費が投入されるポスターの印刷代などが既に世間一般の金額とかけ離れている問題点について指摘し、負担割合を上げることについても議会で反対を表明しています。

詳しくは過去ブログをご参照下さい↓

1枚169円の選挙ポスターが公費で1枚500円に!?公費使用限度額の値上げに反対した理由

はじめに 2022年12月15日に開催された本会議において、「議案第92号 江東区議会議員および江東区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例」…

国政選挙並みに費用が係ると言われた区長選挙ですが、実際に他陣営の収支報告を情報開示して分かったのは「国政政党から支援を受けている候補者は桁違いの金額をかけて選挙を行なっている」「候補者(私以外)は皆公費負担を上限額ギリギリまで申請している」という実態でした。

少なからず区民の皆様の税金が投入されている選挙のあり方を考える一助となるべく、江東区長選挙の全候補者の収支報告を要約し以下にまとめて公表します。

支出額と公費負担割合の比較

候補者名(支持政党)総支出額支出に対する公費負担額(上限およそ66.5万円※)得票数
大久保ともか(自民・公明・都ファ)
5,493,024円

664,550円
57,029
酒井なつみ(立憲民主党・共産党・その他野党)
 1,892,534円

639,965円
34,292
さんのへ あや(無所属)
 748,982円

103,458円
30,132
いの たかし(無所属)
 776,506円

664,660円
28,819
小暮裕之(維新の会)
2,281,839円

供託金没収のため公費申請不可
12,649
※公費負担上限額は選挙カーの契約内容等によって異なるため上限を明示し難いのですが、今回の再選挙における大凡の最大支出額として上限の目安を算出しました

2024年12月に執行された江東区長選挙(再選挙)では、先述した支出制限額1860万円を超える候補者はいませんでした。
上記の表をグラフ化すると以下の通りです。

最大の総支出額だったのは当選した大久保現区長であり、549万3024円でした。

支出制限額1860万円というルール上、トップ当選の大久保現区長がかけた費用の倍近い金額をかけることもできた点も一般的な感覚からすると驚くべきことではないでしょうか。

この他の各候補の額を比較すると一目瞭然ですが、無所属とは言いつつも資金力のある国政政党などの団体から支援を受けている候補者は、私やいのたかし候補の様な候補者と選挙費用の桁が違う事がわかります。

また、今回の江東区長再選挙において、私が他候補と比べて特に差が出たのは公費負担の申請額でした。

私が公費によって10万3458円を支出させて頂いた一方で、他候補は皆上限ギリギリの65万円前後が公費申請をされています。

公費として申請ができるのは、⑴選挙運動用自動車に係る費用(個別契約を含む)、⑵選挙運動用ビラの作成(印刷費)、⑶選挙運動用ポスターの作成(印刷費)の3つですが、これには⑵⑶の印刷費に印刷以外の諸費用が含まれているケースがあるのではないかと推察します。

しかしながら、私自身は選挙を3回終えたばかりの若輩者であり、過去の選挙では支援者の方にかなりの負担をかけてしまっているため、公費負担の使い方についてはまだ迷いがあるのも事実です。

適切な公費負担のあり方について、区民の皆さまから納得を得られる様に引き続き情報公開と説明責任を果たしていきたいと思います。

収入額(費目内訳付)の比較

選挙における収支報告については、支出の明細に加えて収入の詳細についても報告する義務があります。
収入別に見ると、大久保候補と酒井候補は政党や政治団体から合計数百万円の寄付を受けている事が判明しました。
各候補者の収入額の費目内訳は下記の通りです。

大久保ともか酒井なつみさんのへあやいのたかし小暮裕之
政党/政治団体からの寄付3,726,1241,209,733000
その他寄付077,00001,760150,000
候補者自己負担1,300,0000800,000780,0003,832,399
総額5,026,1241,286,733800,000781,7603,982,399

意外だったのは、政党や政治団体からの寄付を受けていのは大久保候補、酒井候補の2人のみで、日本維新の会から推薦(支持)を受けていた小暮候補が政党からの金銭的寄付は受けていないという点です。一方で、以下に記載する家屋費として維新の会に所属する金澤ゆい氏への支払いが行われており、支援を受けた政党からは共同事務所として場所の提供を受けていた事が分かりました。

支出額(費目内訳付)の比較

候補者毎に数百万円もの支出の差がどこででているのかを調査するために、費目別に支出額を以下にまとめました。

候補者名家屋費印刷費広告費人件費交通費食材費文具費休泊費通信費雑費総額
大久保ともか2,794,0641,013,3861,226,500375,00021,49703,1000059,4775,493,024
酒井なつみ278,813831,853394,19615,00021,07027,7951,73504,660317,4121,892,534
さんのへあや0133,410599,07200000066,000798,482
いのたかし26,400664,660075,0002,53600007,910776,506
小暮裕之104,500251,4821,452,169345,00010,27824,64715,20528,500050,0582,281,839

支出においては、選挙事務所費などの家屋費、事務所看板やチラシなどの印刷費・広告費が大半を占めており、各陣営の戦略の差異が見て取れます。

江東区長選(再選挙)は約1ヶ月前に執行される事が決まり、どの候補者陣営も急遽準備に追われる事態となりました。

その様な状況であっても、選挙に多額のお金と人員をかけられるのは国政政党の支持を受けている候補者だけです。

私は、十分な準備期間が無かったため選挙事務所を開設する事もできず、半年前に統一地方選挙があったばかりで選挙資金もなく、選挙にかけた支出金額としては過去に出馬した区議会議員選挙よりも低い金額となりました。

今話題となっている裏金問題からも分かるとおり、国政政党はお金を回す方法を多様に確立しており、人員も万全です。

お金をもっている人達だけでポストを回し合う状況が続くとどうなるか、昨今のニュースで皆様もよくお分かりかと思います。

メンっ!と総括

選挙期間問わず、私が公人として区民の皆さまにお約束している公約の一つに「税金の無駄遣いを無くす」というものがあります。

自身が出馬する選挙において、公費(税金)を支出させていただける事は特権に他なりません。また、「区民の為に働く」「区民の為に身を斬る」と言いながら選挙の時から特権を甘受していては、有権者からの信頼は得られないと私は考えています。

国会議員が応援に来なくても、選挙にお金をかけられなくても、私が区議選でトップ当選し、区長選挙において3万もの票数を頂けたのはこの貫いてきた姿勢をご評価いただけたからと感じています。

しかし、どれだけ私が「税金を無駄にしない」姿勢を大切にしていても、それが区民に伝わり投票行動としてご評価頂かなければ価値がありません。

無所属で議会では孤軍奮闘しながらも、選挙では組織力も資金も桁違いな大きな政党を勝たなければならない。そうした葛藤を抱えている議員(候補者)は数多くいると感じています。

どうか耳障りの良い政策で投票先を判断するのではなく、その候補者がそれまで何をやってきたのか、実際に何をしているのかを是非議員(候補者)本人に問いかけてみて下さい。

過日インターネット有料広告動画を選挙期間中に配信したことによる公職選挙法違反で国会議員や元区長が起訴されましたが、この有料広告動画も相当な資金が無ければ流す事はできません。

公選法違反者が出てもなお、今月執行される東京15区衆院選補選では選挙前に莫大な資金を投じて有料広告動画を流す候補者(政党)が多くいます。

選挙費用が得票数と比例するとまで言い切る事はしませんが、露出を格段に増やすことのできる“選挙期間中の有料ネット広告”に対して私が反対している理由はここにあります。つまり、お金をかけた候補しか当選できなくなってしまうのは、公平公正である民主主義の根幹を揺るがすことへの問題につながり、私は個人的にも大きな危機感を抱いています

区民の皆様におかれましては、我々の大切な税金の使い道や金額が、選挙の時から政治家(候補者)本人の意志で決められて使われてしまう実態を知って頂き、今後の選挙の際の候補者選びの一助となれたら幸いです。

さんのへ あや

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