2020年6月30日に一般会計特別補正予算4号について審議し、私は江東区議会でたった1人予算案に反対の意を表明しました。

反対とした経緯をご説明します。

こちらが今回審査される事になった補正予算4号の概要です。

ブログでも何度か取り上げていますが、江東区長曰く、今回の補正予算は新型コロナウイルス感染症の第二波・第三波に備えて、区民の安心・安全を守るという強い危機意識とスピード感を持って対応するためのものです。

概要では分からないのですが、国・都からの補助金による支出割合を見るとこうなります↓

手書きで失礼します!

赤い波線部分が財調繰入金、言わば江東区=区民の皆様の貯金から支出されるものです。

補正予算審査委員会では、無所属議員は質問時間が回答時間含めて15分と限られている為、

質問を行う議案は今回は国や都からの補助金の歳入がある費目よりも江東区の貯金から支出される費用に絞りました。

各取り組みはどれもコロナ禍の影響を受けた区民、企業に対するもので一刻も早い支援が必要なものばかり・・・

しかし、その中でも多くの区民から「これは明らかに必要ないのでは」と言われた事業が、

75歳以上の高齢者に冷感タオルを配布するというものでした。

この事業目的は、新型コロナウイルス感染予防の自粛解除後、フレイル予防につながる外出のきっかけ作りと、外出時の熱中症対策を兼ねて、75歳以上の高齢者58,000人に冷感タオルを配布するとのこと。

補正予算額は3543万8000円、学校や病院の感染症対策強化と同額の大金です。

毎年行われている「敬老のつどい」が中止となり、1200~1500万円程の予算が浮くので高齢者に何か記念品を送ろうとでも考えたのでしょう。(現物支給大好きな江東区・・・)

この中止になった事業の予算内に収まる事業でしたらまだ良かったのですが、多額の税金を上乗せしています。

フレイル予防、高齢者の方の熱中症予防というそれらしい理由を述べられていますが、私が納得できない理由は一つ。

冷感タオルがこの今緊急的に補正で予算を組まなければならない程、

本当に必要とされているものなのでしょうか?

今回の質問では論拠で行政の認識の甘さを指摘し、無駄な支出を行っている行政の実態を議事録に残せるかどうかが勝負でした。

後日映像や議事録からでもご確認頂くことができますが、中継をご覧になった方から

「カッコよかった」「言いたいことを言ってくれて嬉しかった」という嬉しいお声を頂戴したので、

質問全文をブログに公開させて頂きます。

質問動画はこちら→https://koto-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2395

皆さんは質疑を観て、読んでどうお考えになるか、是非感想をお聞かせください。

*****

<さんのへ>

まず、⑴フレイル予防と外出のきっかけ作り、⑵高齢者の熱中症対策について江東区が現在実践している支援についてお答えください。

それに加えて、予算額3,543万8千円という多額の税金を投入することからも、冷感タオルを配布する事で、事業としてどのような効果が期待できるのか、多くの区民が納得出来る様、⑶施策の費用対効果並びに今この時期に予算を出す必要性についてお答えください。行政需要を確認しているのであれば、その旨お答え下さい。

<回答>

⑴フレイル予防と外出のきっかけ作りとしては、ご近所ミニデイや、福祉会館などで体操教室を実施している。

⑵熱中症対策としては、熱中症に対する注意喚起や、福祉会館やふれあいセンター等を避暑地として使用して頂ける様区報等の媒体を通じて案内をしている。

⑶費用対効果については計算が難しく(?)、具体的な効果についての分析はしていない。

<さんのへ>

ありがとうございます。

外出のきっかけ作りのお答えについて、江東区の実態には合っていないという印象を受けました。

最新の江東区高齢者生活実態調査報告によりますと、「外出を控えているか」という質問に対し、高年齢の方ほど外出を控える傾向が強くなっています。

その外出を控えている理由として、75歳以上では約半数以上の方が「足腰などの痛み」を上げ、次にお手洗いの心配、次いで外での楽しみがないという結果になっています。

ですが、こちらの調査期間は令和元年12月です。ともすれば、新型コロナウイルス感染予防の観点から、自粛解除後であっても更に外出を控える方が更に増えるのではないかと推測します。

こういった方への外出のきっかけ作りとして冷感タオルは有効な解決策と言えるでしょうか?

健康への不安を懸念される方に対し、行政として一律で支援できないのであれば、せめて外での楽しみがないという方への支援として、地域で使用できる商品券をお配りした方が事業としての費用対効果はよほど高いと考えます。

次に、熱中症対策についてのお答えについてです。

こちらも課題に対する解決策として、冷感タオルの配布は見合っていないと言わざるを得ません。

内科医で在宅医療の権威的存在である佐々木淳先生に本事業と高齢者の熱中症に関する見解を伺ったところ、この様に述べられました。

「冷感タオルの原理的には深部体温を下げる可能性があります。ある程度、活動的で、なおかつリスクを自己管理できる人であれば、冷感タオルは無意味とまでは言えないと思いますが、高齢者のライフスタイルはさまざまですから、それぞれの生活スタイルに最適で、費用対効果の高いものは異なると思います。外出を促すための手段として、というのは少し方向性が違うようにも思います。」

「熱中症のリスクが高い日は屋外での活動を控えるべきだと思いますし、自宅でエアコンをきちんと使えているか、あるいは図書館やその他の公共施設のように安全な屋内活動ができる場所に誘導するかのいずれかです。体温調節能力が低下、あるいは体温上昇への感度が低下した高齢者が、安全に自宅で過ごせているか、気温と湿度だけでも良いですが、モニタリングできる仕組みを考えることが大切であるように思います。」とのコメントを頂戴しました。

私は去年、区役所付近で二度も高齢者が熱中症で倒れる現場に遭遇し、お一人に対しては一緒に病院まで同行しました。

お二方とも倒れた際は意識が朦朧とされていましたが、後になってお連れのかたやご本人が「気をつけていたのに何が起こっているか分からない内に倒れてしまった」と仰られていた事が印象に残っています。

ご高齢の方の熱中症リスクはご本人達が認識されているよりもずっと高いものである一方、

実施している施策や本事業を含めて、江東区のご高齢の方々に対する熱中症へ危機意識は極めて低いのではないかと思います。

基本的に熱中症のリスクが高い日の屋外への外出は控えて頂かなければならない点では、フレイル予防と称して外出を促す事と矛盾してしまいます。

しかも、配布先として一律75歳以上、58,000人の内、特別養護老人ホームに入所する方も配布対象となっています。特別養護老人ホームに入所されている方は要介護3以上です。要介護3とは、ひとりでできないことが増え、中程度の介護が必要な状態です。排泄、立ち上がり、歩行、みだしなみや掃除などの日常生活がひとりではできない状態です。 

私は、こういった方に、冷感タオルは必要ないと言いたいのではなくて、先ほどの申し上げた通り、高齢者それぞれの生活スタイルに最適なフレイル予防、外出を促すための手段は違うという事を認識して頂きたいと思っています。

最後に費用対効果、必要性、行政需要に関しての答弁は計算していない、と。

江東区が行政として本気で高齢者を熱中症から守るのであれば、多額の予算をかけて費用対効果も曖昧な冷感タオルを一枚配って終わりではなく、注意喚起や涼める公共施設の確保を率先して行うべきであると思います。

既に区報で熱中症に関しての注意喚起等をされている様でしたので、先週発行された区報を、お隣中央区の区報と比べて見ました。両者共に高齢者一時避暑地として施設の案内をしていますが、江東区の区報は開館時間の記載も無く、大変不親切であると感じました。

お金をかけずとも、熱中症対策として江東区ができる事があるのではないでしょうか?

私が今これだけ時間をかけて本事業の有効性に対して疑念を呈しても、江東区として冷感タオルの配布が止むを得ない事なのであれば、2点強く要望します。

1点、熱中症予防のために必要な、猛暑一時避難所マップと開館時間が記載されているものを冷感タオルの配布と一緒に必ず行なってください。

2点、封入、ふうかん作業に関しては障がいをお持ちの方が勤務する作業所等を積極的に活用してください。

こういった事を実施して頂けないのであれば、昨今のコロナ禍に置いて、区民にとって有益な予算の使い道でないと判断し、本事業に対しては賛同致しかねる事をお伝えし、次の質問にうつります。

*******

質問が終わった後に「江東区の見解をもう一度聞けば良かったかな?」とも思いましたが

費用対効果が「分からない」と答えられた時点で、そんな曖昧な事業に対して、

区民の血税を投入する事、賛成なんてできる訳が無い。と反対する事を決めました。

結果、44人中反対は私1人でした。

予算案に賛成した43名の江東区議会議員全員から賛成した理由を聞きたいところですが、

江東区議会では討論さえさせて貰えない・・・。

これを読んでる区民の皆様には、私以外の江東区議会議員に是非賛成した理由を聞いて下さい。

今回はこの様な結果となってしまいましたが、たとえ与野党会派から失笑されても、

徹底的に調査し行政の無駄を指摘するのが私の仕事と襟を正しました。

「ひとつひとつの案件を丁寧に追及し疑義を晴らし、議会できっちり発言をして、形を残す事こそが議員の本懐」

自由を守る会代表 上田令子都議の教え通り、引き続き諦めずに取り組んでまいります。

追記:その後本事業に関して調査を続け、驚愕の事実が明らかとなりました。

   是非ご確認ください→「江東区の冷感タオル配布事業とは何だったのか

さんのへ 

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