はじめに

榎本元議員があっせん収賄容疑で逮捕された事件を受け、こうした議員と業者との癒着が長年に渡り行われていたのではないかと各報道により指摘されています。

事件発覚後も、特定の業者に便宜を図ることは「議員として当然のこと」と主張する議員が多数いることから、賄賂こそ受け取っていないものの過去の入札でも事業者を紹介してきたという経緯が伺えます。

私は、過去の入札も議員による介入が行われていた可能性が否めないことからも、たとえ契約が終了した案件であってもこうした内容を精査する必要があると考えています。

「誰(議員)が、どの業者を、何の入札で便宜を図ったのか」そして、「江東区役所側でも議員からの圧力が長年黙認されていたのではないか」。この2点を明らかとする証拠となるのが「議員推薦メモ」です。

議員推薦メモとは

私が議員推薦メモの存在を知ったのは、東京新聞の報道を通じてでした。

新聞記事がネット上で閲覧不可となっていましたので、手元にある新聞記事を抜粋します。

区議からの入札ねじ込み常態化?汚職事件の舞台、江東区の元職員が明かす業者「議員推薦」の実態とは

東京都江東区の指名競争入札を巡る汚職事件で、あっせん収賄罪で8月に起訴された元自民党会派の区議榎本雄一被告(66)は、贈賄罪で起訴された清掃業者が入札に参加できるよう、区の担当職員に働きかけていたとされる。

取材を進めると、複数の元担当職員が口々に「自分も他の区議から依頼されたことがある」と証言。入札の公正さを害するような行為が、区役所内部で常態化していた疑いがある。(井上真典)

(省略)

◆区議「支援業者の頼み断れない」

 公契約関係競売入札妨害罪は、偽計または威力を用いて公の競売や入札の公正を害する行為を禁じている。元職員は複数の区議から働き掛けられていたとし、「精神的にやられる仕事だった」と証言。区議の求めに応じ、指名業者に選んだことがあったと明かした。

 記者がこの問題を掘り下げようと思ったきっかけは、榎本被告が入札担当職員に、懇意の業者らがどの指名競争入札への参加を希望しているか文書にまとめ、事前に手渡していたという情報を得たことだった。

 こんな露骨な圧力がまかり通るのだとしたら、ほかの区議も同様の行為をしているのではないか。そう疑って職員らの取材を進めると、別の元担当職員も「複数の議員から業者を指名競争入札に参加させるよう依頼を受けたことがある」と証言した。

元職員は議員名と業者名を記録し、指名業者に選ぶことができたか否か区議に伝えていたという。

パソコンで管理していたという「議員推薦」のメモ。

「公契約の情報を漏らすことは許されないが、議員の顔をつぶすわけにはいかなかった」と振り返る。

ある区議は「自分を支援してくれる業者に頼まれたら断れない。職員に『こういう業者がいるけど、どうですか』と紹介することはあるよ」と語った。(以下省略)

この議員推薦のメモが今も存在するのであれば、今回の事件以外でも不正を行なったとする議員の名前が明らかとなり、過去の入札案件の調査ができるかもしれない。

事件の再発防止に向け、私は議会に対し百条委員会の設置を求めるも「司法の調査を待つべきだ」「議員は辞職したから」等という意見が挙げられています。

また、区役所側からは事件に関する真相究明が行われないまま、区長は事件に関する説明責任を対外的に果たす事なく、事件に関わったとする職員に懲戒処分を下しました。

区議会も、行政も、過去に行われた不正の追及に後ろ向きであることは間違いありません。

まずはこの議員推薦メモの存在を明らかとするために、私は情報開示請求を行いました。

情報開示請求の内容とその結果

最初に行なった開示請求は、議員推薦メモがたとえ削除されていたとしても、その存在を明らかにさせるものでした。

請求した公文書は「経理課が保有する議員等公職者から推薦・口利き依頼された業者にかかる区政情報全て(削除記録を含めた電磁的記録を含む)」

江東区にとって不都合な公文書(議員推薦メモ)を簡単には開示しないはずです。
しかし存在しているのであれば「そんなデータ(公文書)は無い」と主張する事ができません。

開示までの期限(2週間)が切れる直前となり、通知されたのは「非開示決定通知書」でした。

非開示の理由は「対象文章が刑事訴訟法第53条の2に規定する訴訟に関する書類及び押収物であるため」でした。

つまり、結論として「⑴業者名及び指名を希望する案件名が記載された資料」「⑵⑴の指名希望を一覧表にまとめ、指名の有無等の結果を表示した資料(要望・結果一覧表)」は存在していました。

議員推薦メモは確かにあるが、そのデータは刑事事件で押収されているし、訴訟に影響する恐れがあるので開示することはできない。これが江東区が議員推薦メモを非開示とする理由でした。

ただ、ここで私は疑問を持ちました。

「議員推薦メモは、榎本元区議のあっせん収賄事件と関係しているのだろうか?」

刑事事件の焦点とは

業者側(株式会社アクト社長)に対する贈賄罪を問う裁判で、一審判決では有罪判決を下しました。(その後控訴されています。)

榎本元区議に対する裁判は未だ始められていませんが、あっせん収賄罪が問われていると聞き及んでいます。

つまり、本刑事事件において榎本氏の余罪が問われているのではなく、本事件でお金を受け取ったか・受け取っていないか焦点となっている筈です。

そのため、本事件と、その物的証拠として議員推薦メモが押収される事に明白な因果関係があるとは言えません。

そこで私は議員推薦メモが「訴訟に関する書類及び押収物」である事を証明する必要があると考えました。

2回目の開示請求

議員推薦メモが事件の押収物として回収されている事を明らかとするため、私は下記の開示請求を行いました。

「押収品目録」とは、事件に係る証拠品を差し押さえる時に警視庁から交付されるものです。

この目録の中に議員推薦メモがあれば、江東区の主張が正しいものと証明できます。

もしも押収品目録自体も訴訟に関わるとして非開示とするのであれば、江東区として何かを隠している可能性が高いと捉えられます。

開示請求の結果は得られ次第ブログにてまた公表させて頂きます。

メンッ!と総括

11月16日に区長定例記者会見が行われました。

「契約にかかる不正行為等防止検討委員会」にて職員アンケート調査等の結果が明らかとなった後の初めての記者会見であり、更に記者が不正防止に関する質疑を行なったにも関わらずその質疑回答は公開されていません。

■区長定例記者会見 11月16日 テキスト版 https://www.city.koto.lg.jp/011502/kuse/kucho/text/r04/r041116.html

一般質問でも述べましたが、不正が起こってしまったのであればそれを隠すのではなく、行政も議会も区民へ積極的に情報を公開するべきです。

私は区民の代表として、また不正癒着の再発防止に真っ向から取り組む唯一の議員として、実態解明に努めて参ります。

さんのへ あや

不正癒着の証拠「議員推薦メモ」は存在した!長年に渡る不正を断ち切るには” に対して1件のコメントがあります。

  1. 土屋賢一 より:

    元丸紅の方とプロフィールを拝見いたしました。
    どの事業部にいらっしゃったのか存じ上げませんが、かつてはバッジを良いように利用していた側だったのではないですかね?
    応援してますが、少し違和感を覚えました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA