はじめに

2024年9月13日(金)、小池都知事は突如として「お台場に世界最大級の噴水を作る」と発表しました。また、不可解な事に整備費用についてはまだ精査中とされていました。

▲当時の報道映像(動画)です

一般的な企業勤めの感覚からすると、これほどの規模の計画は、費用の試算を細かに行なったうえで社内決裁を得て、社外向けの発表を行うために更に細かな調整を進めていくものだと考えます。ODAIBAファウンテンにおいては、議会に諮る前の段階で、次年度に完成させると華々しく発表し、その内容を確認しようとしてもまだ精査中・・・
費用を含め詳細が明らかにならないうちは、都側に何を聞いても「協議中」としか回答が無く、議員として事業を十分に精査する事ができません。

その後、11月上旬に総事業費26億円超という予算要求が計上され、地域政党 自由を守る会として「反対」を表明しました。

本会議答弁において、ようやく、東京都として総事業費はおよそ26億4000万円維持管理には年間1億5000万円から2億円を見込んでいることを明らかにしましたが、プロジェクションマッピングでも指摘された「税金の無駄遣い」という批判から逃れるためか「税金は使用しない」という苦しい言い訳を披露しました。

各種SNSにおいても、ちらほらと、「ODAIBAファウンテンの整備費用は埋立地の売却等の収入を財源としているのだから、税金は使っていない」という都の強弁を鵜呑みにする方もいますが、「税金じゃないから事業を進めて良い」という短絡的な理由で決めて良いものではありません。埋立地は都民共通の財産であり、明瞭なプロセスを経て、本当に都民のためになるものに使われるべきです。

しかし、小池都知事の政策には何にでもオール賛成の会派が大半を占める今の都議会では、まともな検証がされることなく、後世に長く残るこの噴水の建設が決定されてしまったのです。

果たして、ODAIBAファウンテンは都民の為になる事業なのか否か、先ずはこの決定プロセスを明らかにさせる必要があると感じました。

情報開示請求とその結果

「なぜODAIBAファウンテンを建設することになったのか?」という質疑に対し、東京都は本会議の答弁や東京都港湾局HPにて「多くの事業者等から賑わいを創出を図る取組について要望を出された」と説明しています。

参照:https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/kanko/park/odaiba_fountain/faq

そこで、私は2024年11月7日に「お台場海浜公園の噴水について東京都に寄せられた事業や団体からの要望の内容、要望を受けた日付、要望者が分かる文書の全て」を東京都に対し開示請求を行いました。

本来であれば開示請求のあった日の2週間後2024年11月21日には情報が開示される予定でしたが、開示予定日当日になって2ヶ月後に延長される旨が通達されました。延長の理由は「対象となる文書を短期間に確認することが困難であり、かつ、都以外の者へ意見を聞く必要があることから、期間内に開示決定することが困難である」旨が記載されていました。

私は「多くの事業者から要望があったと説明しているのだから、量としても相当数のものがありそうだな」と考え、素直に開示決定を期間まで待つことにしました。

受領した開示決定等機関延長通知書

年が明け、2025年1月6日(月)に情報が開示された旨の連絡を受けたため、1月8日(水)にその文書を取りに東京都庁へ向かいました。

そして出てきた文書は、たった5枚の紙でした。

情報開示で出てきた文書は一般社団法人 東京臨海副都心まちづくり協議会による「令和7年度東京都予算に係る要望」というもので、肝心のODAIBAファウンテンについて触れられていたのは3ページ目のみ、さらに不可解な事に、この文書はODAIBAファウンテン建設が決定した後の2024年10月28日に発出されたものでした。

文章の抜粋部分

東京都港湾局に対し私は「本当にこれ以外に都が受けた要望の記録はありませんか?」と確認すると「こちら以外ありません」とはっきりと回答されました。

私は、この要望以外の記録が一切ないことが事実であることの裏付けを得るため、「2017年以降の東京都が事業者、都民、都議会議員などから受けた要望・働きかけがあった際に記録する対応記録表の全て」という内容で別途情報開示請求を行なっていました。こちらの結果にも、噴水に係る要望はありませんでした。

一般社団法人 東京臨海副都心まちづくり協議会とは

公式ホームページによると、一般社団法人 東京臨海副都心まちづくり協議会は平成9年9月に発足した「臨海副都心まちづくり協議会」が元となり、東京オリンピック・パラリンピックを機に平成27年2月26日に一般社団法人として新たにスタートしたとのこと。

また、この法人の理事長は、少なくとも過去9年間にわたりフジテレビジョンの日枝久氏が在位し続けている事も判明しました。日枝久氏といえば、87歳にして尚フジサンケイグループの代表に君臨するフジサンケイグループのドンともいえる方で、財政会に強い影響力を持つ存在です。

こちらは、東京都が出した噴水のイメージです。このイメージを元に確認した建設予定地は以下の通りです。

東京臨海副都心まちづくり協議会の正会員である、ヒルトン東京お台場、おアクアシティ台場、そしてフジテレビ、これらの事業者の場所から噴水がよく見える位置に設置される事になります。

なぜこの場所に噴水が設置されるかという点に関しては、小学館が運営する情報サイトでは以下のような興味深い推察もなされていました。確かに、フジテレビ社屋の目の前にあるODAIBAファウンテンをフジテレビが頻繁に放映することは確実です。

(中略)「フジテレビ社屋のあるお台場に噴水を建てることで、番組のロケ地として使われたり、情報番組のお天気コーナーで気象予報士が噴水の前でレポートしたりすることもあるかもしれない。すると、小池さんの成果が一気に全国区になる。自身のアピールもしっかり計算し、自民党的なばらまき政治で業界にも利益を与える。小池さんのアイディアマンとしての、ずる賢さがうかがえます」

-マネーポストWEB『《小池都知事がぶち上げた26億円お台場噴水事業》東京都が見込む「経済効果98億円」は“年間2000万人来訪”を想定する現実味のない試算』(https://www.moneypost.jp/1212248/2/)

一旦、メンっ!と総括

私は情報開示請求を通じて、この事業の決定プロセスを明らかにする事を試みました。

その結果は、「東京都として多くの事業者からの要望をうけた」ということが事実かどうか疑わしく、都民の為になるものかどうか、この時点では否定的な態度をとらざるを得ない内容でした。
・東京都が要望を受けた記録が残っているのは一般社団法人 東京臨海副都心まちづくり協議会のみ。←果たして多くの事業者の意見によるものといえるのか。
東京都が計画を発表する以前に、東京都が事業者から要望を受けた記録は一切無い。←まともな記録がない要望を基に、都の財産を使って世界最大の噴水を建設してよいのか。

小池都知事がよく使う手法の一つに、外郭団体からの要望や計画に仕立て上げ、情報を全てブラックボックス化してしまうものがあります。ここでいうブラックボックスとは、限られた人しか本当のプロセスや実態を把握できていない状態の事を指しますが、小池都知事が初当選した2016年の都知事選では、当時の自民党都連をブラックボックスだと批判していたことを覚えている方も多いことでしょう。

繰り返し申し上げますが、ODAIBAファウンテンが完成してしまうと、今後も多額の税金や都民共有の財産が長きにわたって使われることになります。
現在見込んでいる維持費・修繕費そしていつか発生する撤去費を負担するのは、都民の皆様です。

本事業の決定プロセスはなぜ明瞭に示されないのか。都民の皆様に知られたくない別の意図があり、必要十分な検証がなされないまま、無理に推し進められている様子が感じられてなりません。
私は都民の皆様に広くお台場噴水事業の実態を周知すると共に、「本事業は都民の為になるものなのか否か」という観点で、今後も以下の調査を進め、適宜情報公開をしてまいります。 
・東京臨海副都心まちづくり協議会以外の臨海副都心関連の事業者に対する、ODAIBAファウンテンに関する聞き取り調査。
・衛生状態が懸念される東京湾の海水を使用して世界最大の噴水を行うことによるリスクの検証。(世界的に有名なドバイやラスベガスの噴水は真水を使用)
・東京臨海副都心まちづくり協議会側に対して、東京都が発表する以前の段階で東京都へ要望を提出したことの記録等に関する聞き取り。

引き続きご着目頂けますと幸いです。

さんのへ あや

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