とある日の午前10時頃、

議会事務局より「本日15時までに賛否確認をお願いします」という旨のメールと留守番電話が入りました。

無所属議員あるあるですが、事前説明が充分にされないまま、賛否だけ求められる事が多々あります。

(大きな会派に属する議員には事前説明があって、無所属議員には事前説明が無いのは、不当な差別だと感じます。)

その賛否確認の内容は、江東区教育委員会委員選任同意方について。

(この役職については後述しますが、要はこの役職の候補者が選任される事についての賛否を問うもの)

メールには被推薦者の経歴書が添付されていましたが、内容を見てびっくり。

その方は、先日の江東区議会議員選挙で残念ながら落選してしまった前江東区議会議員(会派:民政クラブ)の方でした。

背景も分からずして賛否表明はできないと、一先ず事務局職員さんへ話を聞きに行く事に。

職員さんが教えてくださったのは、

・教育委員会の委員に辞職者が出た。辞職理由は不明。

・その一名の空きが出たところに対して、江東区議会の会派の一つである民政クラブから一名の推薦があった。

・それ以外の団体からの推薦は無く、民生クラブからの推薦のみ。

ということでした。

【補足:民政クラブとは】

立憲民主、国民民主、無所属の江東区議会議員11名から成る会派。

江東区議会の中では、自民党に次いで二番目に大きい。

【補足:教育委員会とは】

江東区に三つある行政委員の一つ。行政委員とは江東区の職員とは別の立ち位置の役職で、教育委員、選挙管理委員、監査委員の三つから成る。

決して今回推薦された方に教育委員の資質が無いという事ではなく、

客観的に見て、公的な役職を自分達の仲間内で回しているという疑念を抱いてしまいました。

(読者の皆様、区民の皆様はどう感じたでしょうか。)

このあと調べてわかった事実で、更にこの疑念が深まります。

先ず、現在の全行政委員の所属・経歴を調べてみました。

(氏名は敬称略)

教育委員(月額報酬:23万1千円)

進藤孝さん(総務省行政相談員)

松江恒治さん(元江東区議会議員:公明党)→今回辞職された方。

このポジションに鈴木清人さん(元江東区議会議員:民政クラブ)が推薦された。

選挙管理委員(月額報酬:23万1千円)

柴田幸雄さん(元江東区議会議員:公明党)※委員長の月額報酬は28万9千円。

小櫻勲さん(法人役員)

植村典侑さん(会社役員)

小西典子さん(所属なし)

監査委員(月額報酬:常勤は63万7千円、非常勤は28万9千円、議員から選出された委員は14万5千円)

松土英男さん(元江東区町会連合会会長)

秋田茂夫さん(元区議会議員:公明党)

おおやね匠議員(現江東区議会議員:自民党)

福馬恵美子(現江東区議会議員:立憲民主党、会派は民政クラブ)

上記も含めた本件に関する気づきは下記の通りです。

①報酬と職務内容は見合っているのか

委員には少なくない報酬が支払われているます。(ちなみに、江東区のHP内には報酬金額の記載が無い。)

具体的な仕事内容は調査中ですが、月に二度の委員会があるという事のみ確認できました。

委員の多くが高齢で江東区の名士たる肩書きの方が多いことから、これだけの報酬を区民の税金から支払うような実務を行なうに当たって、適切な選出方法で選んだのか、単なる名誉職として選任しているのではないかという疑念を抱きました。

②公的な役職の中に、一部の会派が推薦できる同会派の元区議会議員枠がなぜ存在するのか

三つある行政委員全てにおいて、元区議会議員が委員を務める枠が一名設けられています。

これは条令によって定められたルールではなく、過去からの慣習によるものである可能性が非常に高いと考えます。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第2項の資格要件によれば、「当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもの」とあり、教育委員会委員は元議員が務めるべき職務など一言も書かれていません。

③大きな会派による既得権益の囲い込みの疑い

2019年6月末時点では、三つある行政委員の元区議会議員に割り振られた枠は、全て公明党が独占していました。

2019年春までは、公明党が江東区議会の中で二番目に大きい会派であったのですが、前回の選挙の結果により民政クラブの議員数が公明党の議員数を上回り、江東区議会の中で二番目に大きい会派になりました。(前述しましたが、最大会派は自民党)

民政クラブが二番目に大きい会派になった直後の行政委員の選出で、公明党に代わって民政クラブが自分達の仲間を推薦したその背景には、大きな会派同士の密約があるのではないかと疑ってしまいます。

先輩議員に聞いたところ、公明党が江東区議会の中で二番目に大きい会派であった過去数年間、

行政委員の元区議会議員の枠を全て公明党の元区議会議員が務めてきたとのことでした。

次に改選される選挙管理委員会と監査委員会の元区議会議員の枠が、

公明党から民政クラブ出身者に切り替わった場合は、この私の推測が限りなく黒に近づきます。

④監査委員会の現職議員枠も当然の如く大会派の議員が独占

行政委員会の中で監査委員会だけは、四名中二名を現職議員が務めることになっています。

前回の選挙が終わった直後の2019年5月に改選されているのですが、

最大会派の自民党から一名、二番目に大きい会派の民政クラブから一名選出されています。

改選される前の任期において、当時の最大会派の自民党と二番目に大きい会派の公明党から、

それぞれ一名選出されていました。

これに元区議会議員の枠として公明党からもう一名選出されていましたので、

監査委員会四名中二名が公明党の方だったのです。

過去の話ではありますが、江東区の監査委員会四名の内、二名が同じ党・同じ会派の人間が務めるなんて、常軌を逸しています。

監査委員会に関する条令を確認しましたが、監査委員には大きい会派から推薦されるべきなどの決まりは一切ありませんでした。

⑤選挙管理委員会の委員長に、元区議会議員が就任していることの異常性

議員を選ぶ選挙を管理する委員会のトップに、元議員が就任することに、私は大きな違和感を覚えます。

公平な選挙が行われているのかどうか、不信感が拭えません。

政治色が出来るだけ薄い区民を選ぶべきではないでしょうか。

勿論、選挙管理委員会に元区議会議員を入れなければならないという条令はありません。

しかしながらこちらは特別区や県議会のみにみられる傾向とのことで、

お住まいの選挙管理委員会に元区議が居るか否か、これを機に是非調べてみて下さい。

⑥閉ざされた行政委員の人選

私が上記のことを調べるにあたっての基礎資料にする為に、事務局担当者が手に持っている現在の江東区の行政委員の名簿が欲しいと依頼をしたところ、「こちらは内部資料で全く公開していない。」との答えが。

「そんな情報も与えず、都合よく賛否だけ求めるのですか。判断材料を下さい。」と伝えると、

小声で「一部の会派には公開しています…。」との返答を受けました。(結局名簿は渡してくれませんでした。)

勿論、このようなルールは過去の慣習によるもので、条令や職員の職務規定によるものではありません。

区の公的な役職の名簿ですら、会派に所属していない無所属議員は見ることが出来ないのです。

不公平以外の何者でもありません。

(上の名簿は検索をして自力で調べました…。)

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本日7月1日の本議会にて本件に関する議案採択が取られ、私は反対を表明しました

(他に反対を表明していたのは、共産党会派と無所属(市民の声・江東)の中村議員のみでした。)

繰り返しになりますが、私は今回推薦された方が教育委員としての資質があるかどうかについてではなく、

元議員と言えど、政治色やしがらみのある立場の人間が区の事業に深く関わる事

資格要件に適した人材が広く平等に選定された経緯が見られない事から、反対意見を表明致しました。

議員として培われた経験や知識が区政に活かされるのは大歓迎ですが、

行政委員に対しては報酬(区民から得た税金)が支払われ、地方自治法の下では区長と並ぶ程の立場であるが故に、

「公平・平等」に選ばれた人物でなければならないと考えます。

選挙中はあれほど「区民に寄り添う!」「区民のために!」と言って当選した議員も、

議会では大会派に所属し、自分たちの既得権益を囲う行為を容認していることを、区民にどう説明するのでしょう。

賛成の場合は起立するのですが、反対の立場の私は座ったまま起立した議員一人一人の顔を見てしまいました。

本当に、信じられない事ばかりです。

※イラストは本文とは一切関係ありませんw

何度でも言いますが、私は不公平・不平等な事が特に許せません。

今後も天下りなど見えない所でこっそり行われている不正にはしっかりとNO!と表明して参ります。

本当はこうしてブログで公表するだけでなく、

本会議場で天下り疑惑を指摘する為に反対討論を行いたかったのですが、

更にありえない事に、江東区の本会議では議員が討論する機会が与えられていません

(議員の仕事は、条例を定める為に議論・討論する事だと思っていましたが・・・。)

次のブログにて、また詳しく書かせて頂きます。

【ブログ補足】

 自治体においては、教育委員会、選挙管理委員会、農業委員会などの行政委員会は合議制執行機関なのに対し、監査委員は独任制執行機関となっています。独任制執行機関の監査委員は、原則として一人ひとりそれぞれが独立して監査権限を行使します。よって、「監査委員会」とは呼びません。通常、「監査委員」と書くのが正しいです。

 なお、委員会型の株式会社においては、「監査委員会」が置かれます。

さんのへ あや

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