はじめに
本日10月6日(火)、自由を守る会 会派として、議会運営委員長宛てに「政務活動費のカード決済に係る提出書類の明確化を求める要望書」を提出しました。
実は、我々都議会議員が政務活動費をカード等で支払った場合、「いくら使ったか」は公表されても、「何に使ったか」が都民から見えなくなる場合があるという制度上の瑕疵が発覚したからです。
当然ですが、購入品目等が確認できる明細なしに、政務活動費の支出が認められることはありません。
問題は、その明細が都議会に「提出するもの」ではなく「提示するもの」=「議員各々が保管しておくべきもの」とされていたという点です。
政務活動費に関する条例が制定された当時は「現金」による支出が当然とされていたため、こうした運用規定が時代に合わなくなってしまったと捉えています。
本ブログでは、我々会派として何を求めたのかを解説します。
何が問題だったのか?
- 「提出」と「提示」の違い
提出:東京都政務活動費の交付に関する条例は、収支報告書と一緒に領収書等を議長に「提出」するよう定めています。提出された書類は議長が5年間保存し、閲覧や都議会ホームページでの公表の対象になります。
提示:都議会の「政務活動費の手引」(Q&A Q2)では、クレジットカード払いや口座引落し等で領収書がもらえない場合、通帳の写しや引落通知書など金額が分かる書類を「領収書に代わるもの」としています。そして、何を買ったか分かる請求書などは「提示」するものとされています。
「提示」とは、議会局に見せて確認を受けるだけという意味です。確認後、書類は議長の手元には残らず、会派側で保管されます。
- なぜ都民が確認できないのか
議長が保有していない書類は、閲覧やホームページ公表の対象になりません。
情報公開請求をしても、議会が持っていない以上、開示されません。
会派には5年間の保存義務があり、議長が調査の際に提示を求めることもできます。
しかし、都民の皆さんがその中身を確かめる手段はありません。
政務活動費の説明責任を負うのは議員自身です。しかし、議員が説明責任を果たさない場合もあるため、そのとき都民が自ら確かめられる仕組みが必要です。
- 現金とカードで生まれる不均衡
私たち都議会議員が政務活動費を使うときは、必ず「支出を証明する書類」を提出するか提示しなければなりません。その違いは以下の通りです。
【現金で支払った場合】
支出を証明する書類:領収書やレシート(品目が記載されているもの)
→購入した品名が書かれているため、何を購入したのかが一目瞭然です。
【カード決済の場合】
支出を証明する書類:現金発生主義に基づき、「いつ、いくら引き落とされたか」が分かる書類です。
一方で、何を買ったのかが分かる領収書や明細書は、提出ではなく「提示」にとどまります。

これだけでは何に使ったのかの明細がわかりませんが、提出が必要な書類として条例に明記されています。
そのため、都議会に提出される書類から分かるのは、日時と金額だけです。
何に使ったのかは、領収書等貼付用紙に記載されている「支出内容」からしか推察できず、その商標となる領収書や明細は都民から見えません。

同じ政務活動費でも、現金で払えば使い道が見え、カードで払うと、都民に見えなくなってしまいます。
支払方法が違うだけで透明性に差が出るのは、不自然であると考えます。
しかも、今後キャッシュレス決済が広がれば広がるほど、この問題は大きくなります。
私は、こうした現状は、条例が議長に求めている「使途の透明性の確保」にも反すると考えています。
なお、私が江東区議会議員だった頃は、カード決済であっても明細は「提示」ではなく「提出」の対象であり、開示請求の対象にもなっていました。
東京都議会でも、同じ水準の透明性は十分に実現できるはずです。
要望した内容
要望書では、次の5点を求めました。
- 提出書類の中身を条例ではっきりさせる 条例第10条第2項を改正し、提出する書類は「相手方・年月日・金額・内容」が分かるものだと明記します。
- カード払いの場合のルールを新設する 利用明細だけでは中身が分からないときは、品名等の分かる領収書・納品書等の提出を義務付けます。この書類を「領収書等」とみなすことで、保存・閲覧・公表の対象にします。
- 「提出」を「提示」で済ませない 条例が求める「提出」を、議長が定める運用で「提示」に置き換えることはできないと確認し、明確にします。
- 条例改正を待たずに手引を見直す 改正には時間がかかるため、まず手引の「提示」の扱いを速やかに見直すよう求めました。
- 関係する規程もあわせて整える 条例だけでなく、議長が定める施行規程なども整合させます。
なお、私費と按分した支出などで、書類に私的な情報が含まれることもあります。その場合も、公表時にその部分を黒塗りすれば対応できます。提出そのものを免除する理由にはなりません。
今後について
今回の要望は、政務活動費における制度の穴をふさぎ、都議会全体への信頼を守るための提案です。
本日は都議会の全会派に要望の趣旨を説明し、賛同を呼びかけました。
そのうえで、議会運営委員会での協議を求めてまいります。進展があれば、このブログでご報告します。
政務活動費は、都民の皆さんの税金です。
都民の皆様が、納税者として、当然政務活動費の使い道を確かめられる仕組みを作るべく、引き続き尽力して参ります。
【資料】要望書全文
令和8年10月6日
議会運営委員会 委員長 尾崎 大介 殿
地域政党 自由を守る会 幹事長 さんのへ あや / 政務調査会長 上田 令子
政務活動費のカード決済に係る提出書類の明確化を求める要望書
(東京都政務活動費の交付に関する条例の改正要望)
東京都政務活動費の交付に関する条例(以下「条例」という。)第十条第二項は、収支報告書の提出に当たり「活動費の支出に係る領収書その他の支出の事実を証する書類又はその写し」を併せて議長に提出しなければならないと定めています。
しかしながら、東京都議会「政務活動費の手引」(Q&A Q2)では、クレジットカード払いや口座引落し等により領収書が徴収できない場合、通帳の写しや引落通知書等の金額が確認できる書類を「領収書に代わるもの」とし、その内容確認のための請求書等は「提示」するものとされています。このため、カード決済等で領収書が徴収できない場合には、購入した品名等の分かる書類が議長に提出されないまま支出が認められることになります。提示にとどまる書類は議長に提出されないため、条例第十六条に基づく保存・閲覧・インターネット公表の対象とならず、情報公開請求の対象からも外れます。
これらの書類は、会派の経理責任者に保存義務があり(東京都政務活動費の交付に関する条例施行規程第四条)、議長が調査に際して提示を求めることもできますが(同規程第六条第二項)、議長が保有する書類ではないため、公表・閲覧・情報公開請求のいずれの対象にもなりません。
その結果、現金払いであれば品名入りの領収書が公表されるにもかかわらず、決済手段をカードに変えただけで支出の内容が公表の対象から外れるという不均衡が生じており、この状態は条例第一条の二第三項が議長に求める「使途の透明性の確保」に反するものです。
なお、私費との按分等により私的な支出に関する情報が含まれる書類であっても、公表に当たって当該部分を非公表とする取扱い(マスキング)により対応できるものであり、書類の提出を要しないとする理由にはなりません。
電子決済の普及に伴い、この抜け穴は今後さらに拡大することが見込まれます。つきましては、下記のとおり要望いたします。
記
一 条例第十条第二項を改正し、提出すべき書類が支出の「相手方、年月日、金額及び内容」を明らかにするものであることを明記すること。
二 カード等の決済手段により支出した場合において、利用明細書のみでは支出の内容が明らかとならないときは、内容を明らかにする領収書・納品書等の提出を義務付ける規定を新設すること。
三 条例が義務付ける書類の「提出」を、議長が定める運用(条例第十七条第二項に基づく定め等)によって「提示」に代えることはできない旨を確認し、当該定めにおいてもその旨を明確にすること。
四 条例改正に先立ち、「政務活動費の手引」(Q&A Q2)における「提示」の取扱いを速やかに見直し、カード決済等の場合についても品名等の分かる請求書・領収書等の提出・公表を求めること。
五 条例改正に併せ、東京都政務活動費の交付に関する条例施行規程その他の関係規定について、所要の整合を図ること。
以上
【資料】東京都政務活動費の交付に関する条例 新旧対照表(案)
太字は改正部分です。第十条に一項を追加し、以下の項番号及び引用条項を繰り下げます。
| 改正案 | 現行 |
|---|---|
| 第十条第二項 前項の収支報告書を提出するときは、活動費の支出に係る領収書その他の支出の相手方、年月日、金額及び内容を明らかにする書類又はその写し並びに活動費の収入及び支出の出納を記載した会計帳簿の写し並びに議長が別に定める書類の写し(以下「領収書等」という。)を併せて提出しなければならない。 | 第十条第二項 前項の収支報告書を提出するときは、活動費の支出に係る領収書その他の支出の事実を証する書類又はその写し並びに(以下同じ) |
| 第十条第三項 会派又は議員がクレジットカード、デビットカードその他の決済手段を用いて活動費の支出を行った場合において、当該決済に係る利用明細書等のみによっては当該支出の内容が明らかとならないときは、前項の規定による提出に当たり、当該支出の内容を明らかにする領収書、納品書、請求書その他の書類又はその写しを併せて提出しなければならない。この場合において、当該書類は、前項に規定する領収書等とみなす。 | (新設) |
| 第十条第四項 議長は、前三項の規定により収支報告書及び領収書等が提出されたときは、必要に応じ調査を行い、活動費の適正な執行の確保に努めるものとする。 | 第十条第三項 議長は、前二項の規定により(以下同じ) |
| 第十条第五項 議長は、第一項の規定により提出された収支報告書を知事に送付するものとする。 | 第十条第四項 (同じ) |
| 第十条の二 議長は、前条第四項に規定する調査等に関し、(略) | 第十条の二 議長は、前条第三項に規定する調査等に関し、(略) |
| 第十一条 知事は、第十条第五項の規定による収支報告書の送付を受けたときは、(略) | 第十一条 知事は、第十条第四項の規定による(以下同じ) |
| 第十六条 議長は、第十条第一項から第三項までの規定により提出された収支報告書及び領収書等を、(略)保存しなければならない。 | 第十六条 議長は、第十条第一項及び第二項の規定により(以下同じ) |
第十条第三項の新設により、カード決済分の品名入り領収書等は「領収書等」とみなされて議長に提出され、第十六条の保存・閲覧・公表の対象となります。





