はじめに

10月1日は「都民の日」、都立学校や多くの区立小中学校がお休みになります。
息子の学校もお休みだと分かり(しかも毎度毎度前日に…苦笑)「さて、どこへ行こう?」と考えたときに思い出したのが、以前から気になっていた砂町水再生センター(江東区新砂)の「オータムフェスタ」でした。

息子が写真を撮影してくれました

水再生センターとは、いわゆる下水処理場のことです。

近くを通られた方や、併設されている運動場にお越し頂いた方は「ちょっと匂いが気になる場所」というイメージを持つ方も多い場所だと思います。

実際に行ってみると、内容が驚くほど充実していて、親子で夢中になってしまいました。

中でも私が心から感動したのが、「りん利活用」 と 「微生物」 の2つです。

自身への備忘録も兼ねて、当日いただいたパンフレットや会場のパネル、公表資料をもとに、データを交えながらご紹介します。

数字で見る砂町水再生センター

砂町水再生センターは1930年(昭和5年)に運転を開始した、歴史ある施設です。パンフレットの数字を見ると、その規模に驚かされます。

項目数字
敷地面積約82.7万㎡(東京ドーム約18個分)
1日の下水処理量平均45.4万㎥(学校の25mプール約1,260杯分)
担当エリア(汚水処理)23区の約10%
担当エリア(汚泥処理)23区の約31.3%(東部スラッジプラント)
遠隔制御している施設22施設(ポンプ所20、有明水再生センター、南砂雨水調整池)
敷地内の樹木約200種類・8万本

江東区をはじめ東部地域の下水を、毎日休むことなくきれいにしている、まさに「縁の下の力持ち」です。

感動その①:下水から“りん”がよみがえる

今回いちばん感動したのが、「下水再生りん」の取組です。

りんは、実は輸入頼みの大切な資源

「りん」は、窒素・カリウムと並ぶ肥料の三大要素のひとつで、根の発達や花・実をつけるのに欠かせない栄養素です。
ところが日本は、肥料原料のりんをほぼ全量、海外からの輸入に頼っています。農林水産省の資料によると、主要原料「りん安」の輸入の約9割は中国からです。数年前には中国の輸出制限やウクライナ情勢が重なり、肥料価格が大きく高騰しました。
肥料の安定確保は、私たちの食卓に直結する問題ともいえます。

これまでは「燃やして処分」されていた

実は、私たちが毎日流している下水の汚泥にも、りんがたくさん含まれています。
東京都の下水処理量は全国の約1割を占めるため、そのポテンシャルは大きいのですが、これまでは汚泥と一緒に焼却され、灰として処分されてきました。

砂町で、りんを回収して肥料に

そこで東京都下水道局は、国土交通省の実証事業(B-DASHプロジェクト)として、太平洋セメント・メタウォーターと共同で2024年1月、砂町水再生センター(東部スラッジプラント)に「りん回収・肥料化施設」を稼働させました。
汚泥を脱水した際に出る液体(脱水分離液)にりんを吸着する資材を混ぜて沈め、脱水・乾燥して粉末状の肥料原料にします。
年間生産量は約70トンの予定です。

会場には、白い「りん回収資材」、回収した「りん回収物」、それを配合した「試作品(複合肥料)」が並び、実際にこの肥料で育ったピーマンやマリーゴールドも展示されていました。

品質は既存の肥料と遜色なし

気になる品質ですが、都内の農業試験場での栽培試験では既存肥料と同等の効果が確認され、野菜と土壌の重金属含有量は定量下限値未満だったそうです。都内の農業者からも「既存肥料と遜色ない品質で同等の収穫量が得られた」との声が寄せられています。

2023年12月には東京都とJA全農が全国初となる連携協定を締結し、全国への流通に向けた準備が進んでいます。報道によると、2026年度から全国流通が始まる見込みです。

これは、ある種の「究極のエコ」

私が感激したのは、この仕組みがぐるっと一周つながっていることです。

下水からりんを回収する → 肥料になって作物が育つ → 作物を食べた私たちの体を通って、りんは再び下水へ → また回収して肥料に。

輸入に頼っていた資源を、東京の中で、しかも私たちの暮らしから取り出して循環させる。
まさに東京都が目指す循環型社会にぴったりかなう取組だと感じました。
さらに、りんは海に流れると赤潮の原因にもなるため、回収することで東京湾の水質改善にもつながります。

会場では、この肥料の試供品(20g)と春咲きの球根をいただきました。
わが家でもこの肥料を使って、息子と一緒にお花を育ててみるつもりです。
咲いたらまたご報告しますね。

試供品とリーフレットを手に

感動その②:はたらく微生物

もうひとつ心が躍ったのが微生物観察コーナーです。
実は私、小学生のときにテーマ学習で微生物の研究をしたほどの「大の微生物好き」なのです。。。

下水がきれいになる鍵は、反応槽にいる微生物たち。空気を細かな泡にして送り込むと、微生物が元気に活動して汚れを食べ、分解してくれます。

パンフレットには、流れてきた汚水がどんどん透明になっていく4本のシリンダーの写真があり、その働きぶりがひと目で分かります。

会場では、顕微鏡のモニターで実際の反応槽の水を観察できました。

モニターに写っているのは、クマムシです!

ツリガネムシ(ボルティケラ)、クマムシ(マクロビオツス)、イタチムシ(カエトノツス)など、図鑑でしか見たことのない生きものたちが「小さなはたらきもの」として紹介されていて、子どもたちも大人も夢中。
観察した人にはかわいくデフォルメされた微生物の缶バッジのプレゼントもありました。

下水道は「まちを守る」インフラでもある

下水道の役割は、汚れた水をきれいにすることだけではありません。
大雨のとき、雨水を速やかに排除・貯留して、まちを浸水から守るという大切な役割も担っています。
砂町水再生センターには雨水貯留池があり、南砂雨水調整池なども遠隔で管理しています。
会場には、浸水時の水圧を体験できる模型や、雨水ますが塞がると浸水するようすを示した模型も展示されていました。

そして意外だったのが緑の豊かさです。
敷地には約200種類・8万本の樹木があり、春には桜の鑑賞会も開かれます。カワセミに出会えることもあるそうです(!)

「下水処理場=近寄りがたい場所」というイメージは、すっかり変わりました。

来年の都民の日の候補にぜひ!

私の周りの子育て中のママたちからも、「都民の日、どこに行けばいいか迷う」という声をよく聞きます。お休みが取れる方には、ぜひ水再生センターのイベントをおすすめしたいです。

今年のオータムフェスタは入場無料(10時〜15時)。
水処理施設やポンプ・発電機の見学ツアー(整理券制)、下水道技術実習センターでの運転シミュレーター体験、パトカー・消防車の展示、起震車での地震体験や煙ハウス体験、計量検定所の「豆はかり100gチャレンジ」など、学びと遊びが一日中楽しめる内容でした。
私は時間の都合で見学ツアーには参加できなかったので、次回はぜひ参加したいと思っています。

特に江東区、なかでも砂町地域にお住まいの方には、身近な施設として一度足を運んでいただきたいです。

  • 所在地:江東区新砂3-9-1
  • アクセス:東京メトロ東西線「南砂町」駅から徒歩約15分(車での来場は不可)
  • 問い合わせ:03-5632-2180

メンっと総括!

下水からりんを取り出し、肥料として東京・全国の農業に返していく――。
輸入に頼ってきた資源を足元から生み出すこの取組は、食料安全保障の面でも、環境の面でも、大きな可能性を秘めています。

一方で、砂町での生産量は年間約70トンと、国内需要(約30万トン)に比べればまだごく一部です。
都の担当者も、再生りんの製造コストが輸入品と比べて高いことを課題に挙げています。
都議会議員として、この取組がどれだけの成果をあげ、どこまでコストを下げられるのか、データに基づいて見守り、応援していきたいと思います。

息子と過ごした都民の日は、私にとっても学びの多い一日になりました。
皆さんもぜひ、身近な水再生センターを訪れてみてください。

アンケートに答えたり、様々な体験するとアースくんグッズや防災グッズを頂けました!(写真は2人分です)

参考資料

  • 砂町水再生センター パンフレット(令和8年1月発行)、オータムフェスタ2026 チラシ・会場パネル
  • 東京都下水道局「りん回収・肥料化施設の運転を開始しました」(2024年1月29日)
  • 東京都・JA全農「東京都産下水再生りんの広域での肥料利用に向けた連携協定締結について」(2023年12月15日)
  • 農林水産省「化学肥料を取り巻く現状」資料
  • 時事通信「肥料原料のリン『国産化』 下水汚泥から回収、自治体で拡大」(2026年5月4日)

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