2020年(令和2年)09月28日 第3回定例会(第10号)
2020.09.28 定例会
録画中継
◯議長(若林しげる議員)
10番さんのへあや議員。
(10番さんのへあや議員登壇)
◯10番(さんのへあや議員)
江東・自由を守る会、さんのへあやです。
本年度においては、新型コロナウイルスが蔓延し、執行機関、議会共にこれまでに想定したことのない急迫の対応に追われ、大きく混乱したことと思います。しかし、来年度は事前に策を講じることができるはずです。年に1度の限られた貴重な機会ですので、大綱3点は、いずれも喫緊の課題となるものについて質疑をさせていただきます。
江東区役所における障害者雇用率が、本年6月時点で2.08%、法定雇用率の2.5%に達していないことが明らかとなりました。江東区がこれまでに達成したことはありません。
障害者雇用促進法の基本理念は、経済社会を構成する労働者の一員として、能力を発揮する機会を与えられると掲げています。障害者雇用とは、江東区の掲げる障害者福祉計画の理念そのものです。率先してこの理念を実現する責任のある江東区役所において、未達成は看過できません。
改善できていない要因として、OJTや職場定着支援などが配属先任せにされているからと考えます。まずは職員課の中で、御本人と受入れ職場、双方の支援体制の拡充を行い、特に精神障害をお持ちの方への職場定着支援等が必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、法定雇用率に達している他の自治体を参考にし、本年度導入された会計年度任用職員制度を活用しつつ、障害特性に合った仕事の創出をすべきだと思いますが、所見を伺います。
さらに、来年3月1日から、国、自治体の障害者の法定雇用率が2.5%から2.6%に引上げとなることを踏まえ、今後の計画的な取組について、当区の障害者に係る各計画を踏まえ、具体的にお答えください。
次に、ヤングケアラー支援についてです。
ケアマネジャーの16.5%が、大人並みに介護を担うこどものいる家庭を担当した経験があるとのことです。支援体制が不十分という訴えは、そのうち96.4%を占めています。
令和元年第3回定例会の一般質問では、ケアラー及びヤングケアラー支援について、支援方法については研究するとの答弁でしたが、その後、実際にどのような研究がなされたか、お答えください。
先行研究から試算すると、江東区にも50名ほどのヤングケアラーが存在していると推測されます。介護を担うこどもには、学業、心身の不調などが確認されており、早急な実態把握と対応策が必要と言えます。まずは区が主体になってヤングケアラーの実態調査をすべきと考えますが、見解と現状を伺います。
また、学校や青少年課を通じて相談を受けた場合、適切な支援先、相談先として障害者福祉課につなげられる体制にあるのかどうか。現時点で、ヤングケアラーに対し、関係機関の連携はできているかについて伺います。
例えば中学生以下のこどもは学校や教育委員会、中学生以上はこうとうゆーすてっぷといった窓口に相談できることを周知したいと思います。
次に、大綱2点目の、高齢者福祉施策における熱中症予防対策についてです。
今年の8月は連日猛暑が続き、さらに感染症予防対策によるマスク着用も相まって、熱中症の危険性が非常に高い状況でした。江東区では、本来9月に行われる予定だった敬老の集いの予算に上乗せする形で、高齢者の熱中症対策とフレイル予防と称し、冷感タオル配布事業を8月上旬に実施いたしました。
例年ならば9月に使う予算を8月の熱中症対策に使ったのですから、例年以上に区民の熱中症患者数、死者数の把握に努めなければならないのは当然です。しかし、8月25日の時点で、江東区に熱中症による被害状況を確認したところ、死者数すら把握していませんでした。区長も、同日の定例記者会見において、たくさんのお礼が寄せられているとして、冷感タオル配布事業は成功だったと繰り返し発言されていますが、実際の熱中症の状況は一切発言していませんでした。
しかし、独自で調査するとその実態はあまりにも悲惨なものでした。江東区では8名もの方が熱中症でお亡くなりになられています。50代1名、いずれも75歳以上の70代2名、80代4名、90代1名、このうち7名が自宅の屋内で亡くなられており、冷房設置がなかった方が6名、冷房設置はあったが未使用が1名とのことでした。この7名は、冷感タオルを受け取ったか、受け取るはずだった方です。
死者数の速報値については、監察医務院に電話1本すればすぐに分かるものです。今年は熱中症対策強化として事業を実施したにもかかわらず、例年以上に多くの方が亡くなられました。本年8月の熱中症による江東区民の死者数が例年以上となったことに対する区の分析と見解を伺います。
8月25日の区長定例会見において、区長はこのように発言されています。「家の中にいるときも、この冷感タオルを使っていれば多少はこの暑さをしのげるということで、こうした事業を発案したところでございます」。これは全くの真逆で見過ごせません。屋内で冷感タオルを使うというのは、エアコンをつけなくても大丈夫という逆インセンティブになり、高齢者を熱中症死にいざなう最悪の行為です。
江東区の熱中症死者の中に、冷感タオルがあるからエアコンをつけなくて大丈夫と考えた人がいたのでは。山崎区長は、熱中症について全く理解していないのだと疑念が惹起しました。いま一度明白にしておきたいと思います。冷感タオルに熱中症予防の効果はありません。むしろフレイル予防と称して外出を後押しして、高齢者を熱中症の危険にさらしています。幸いにも外出による熱中症死者は出ませんでしたが、来年は分かりません。来年こそ高齢者の皆様を本気で熱中症から守る事業を進めていただきたい。これは急務です。
本年8月は、新型コロナウイルスによる死者数を超える方が熱中症で命を落としておられるのです。突如として流行した新型コロナウイルス、未曽有の災害といった存在から江東区民の死者を完全に防ぐのは大変な困難です。しかし、熱中症の死者は絶対にゼロにできます。熱中症というメカニズムも、それにより亡くなる原因も状況も全て判明しており、予測ができるからです。冷房の設置と適切な使用を促すこと、これが高齢者の熱中症予防に対する着実な支援です。来年に向けて、冷房設置助成などを念頭に、熱中症予防対策を区として責任を持って行うべきと考えますが、その課題認識と所見を求めます。
特に独居の高齢者世帯に対する生活実態把握は喫緊の課題です。長寿応援課に確認したところ、今まで実施した高齢者生活実態調査においても、冷房設置については調査していなかったとのこと。江東区として本当に効果のある熱中症対策を行う上でも、まずは高齢者に対し、冷房関係の生活実態を調査し、適切な冷房の使用方法について周知を促すべきと考えます。いかに江東区として高齢者の生活実態調査を行っていくのか、実施の予定、可能性や調査に対する所見を伺います。
実際に私のところにも、生活保護受給者の区民の方から、冷房費が支出できずこの夏はつらかったが、冷房の使用を我慢した、来年は冷房使用料の助成が必要という御相談が寄せられています。このような方々を熱中症から守ることができるのは、冷感タオルではなく冷房の使用です。来年度は区内における熱中症死者ゼロを目標に、区として責任ある行動と調査、ほかの自治体の目標となるよう、画期的な対策を強く求めた上で、大綱3点目、本区の行財政改革に移ります。
冷感タオル配布事業では、本区の行政手続の運用の不明瞭さを実感しました。熱中症対策として実施した事業なのですから、熱中症の患者数、死者数という客観的指標で成功か失敗かを説明すべきでした。しかし、お礼の手紙が来たという主観的な事実をもって成果を評価した点がさらに問題です。
ここに、一枚のはがきがあります。これは区長への手紙として、区民が江東区に意見を伝えるための手段の一つです。裏面の左側には絵が書いてあります。口頭で説明をすると、区民の皆さんから寄せられた意見、要望が広報相談係に集約され、そこから区長に報告が行われるとあります。区長から出ている矢印の先には、担当課への指示、施策に反映とあります。
疑問を感じました。区民を代表する意思決定機関である議会の存在が全く書かれていないどころか、区長が担当課に指示を出しているのです。区長が全ての区民の個々の意見、要望に目を通して担当課に指示を出していれば正しい図ですが、そんな実態はないはずです。区長への手紙にある構図を、区議会が意思決定機関であることを含めて、公正公明な区政運営を示すものにする改定を求めますが、所見を伺います。
次に、指名業者選定委員会についてです。
冷感タオル配布事業の入札調書を見たところ、入札参加業者は全部で10社、そのうちの7社が辞退、2社が不参加、そして、1社のみが落札という結果が判明いたしました。事実上の随意契約です。実態談合、官製談合の疑念が生じます。指名委員会の設置により公平な入札を実施すれば、競争原理を働かせて価格競争につながり、財政メリットが期待されます。予算を扱う部署としても、稟議書が書きやすくなるなどのメリットがあります。
緩み、癒着、談合を起こさない仕組みを実現すべく、公平な入札を実施して競争を正しく働かせるため、工事請負以外の入札に指名業者選定委員会を設置する必要があるが、所見を伺います。
最後に、山崎区長、江東区の冷感タオル事業の成果としてお礼の手紙を発表されていましたが、手紙なら私のもとにも届きました。今年の8月に熱中症で亡くなられた区民の御友人様からです。共有させていただきたく代読します。
江東区のマンションに住んでいた友人の訃報が御親族より届きました。熱中症だったそうです。彼女は高齢のお母様と2人暮らしでした。彼女はお金がないからエアコンなんか買えないと言っていました。エアコンが壊れたままだったのか、あるいは新しいのを取り付けたけれど、電気代を気にしてつけていなかったのか、詳細は分かりません。しかしながら、お金を気にしていたことは間違いありません。
熱中症なんかで死ななくていい暮らしを望みます。熱中症なんかでかけがえのない友を亡くした私はひどく悲しく無力です。さんのへ様、どうか熱中症なんかで悲しい思いをする人が二度と出ませんよう御活躍ください。
エアコンを買い替えられなくて亡くなっている江東区民がいるという悲惨な実態を、区長は自分事としてお考えになっていただきたい。そして、もっと江東区議会を信頼してください。もっと区議会議員と議論してください。冷感タオルについても、仕様、目的、政策効果をきちんと説明していただけていれば、私たちが建設的な修正提案を行い、もっと意味のある形で公金3,500万円を江東区民のために使うことができました。たかが3,500万円の事業のあら探しをして目立とうとするなと思っているかもしれませんが、それは全く違います。これは税金の無駄遣いの問題ではなく、あなたを含む江東区民の命の問題です。私は、ただ、江東区民の命を心配し守りたいだけです。
以上をもちまして、江東・自由を守る会、さんのへあやの質問を終わります。(拍手)
(山崎孝明区長登壇)
◯区長(山崎孝明)
さんのへあや議員の御質問にお答えします。
まず、障害者福祉施策についての御質問のうち、本区における障害者雇用の展開についてですが、本年度の障害者雇用率は、御指摘のとおり2.08%で、法定雇用率2.5%は達成しておりません。これは、障害がある職員の想定外の退職や、職員本人の申出や同意がないと雇用率に算定できないことなどの要因によるものであります。現在、全庁を挙げて江東区職員の障害者活躍推進計画を策定中であり、計画的採用によって、法定雇用率を達成してまいります。
併せて、障害がある職員の支援体制についても推進できるよう、検討を進めているところであります。
障害特性に合った業務を全庁から集めて仕事を創出することや、会計年度任用職員を活用することについては、慎重に議論すべき内容だと考えておりますので、今後の検討課題といたします。
障害がある方がその能力を発揮し、組織の一員として生き生きと働くことができるよう、今後も着実に取組を進めてまいります。
次に、ヤングケアラー支援についてお答えします。
まず、ヤングケアラーへの支援方法の研究状況についてです。
平成30年度と令和元年度に民間企業が国の補助事業として実施した調査報告の中では、ヤングケアラーの認知度が低いという課題や、こどもが実際に家族のケアを行っている状況などが示されております。また、様々な自治体における早期発見や対応に向けた取組などもまとめられていることから、これらの事例なども参考にして、引き続き、ヤングケアラー支援に関する研究を進め、支援に生かしてまいります。
次に、ヤングケアラーの実態調査についてです。
ヤングケアラーについては、既に国等で実態調査が実施されており、改めて調査を行う考えはありません。区といたしましては、自立支援協議会や要保護児童対策地域協議会などと連携しながら、障害がある家族をケアしているこどもの実態把握に努めてまいります。
次に、ヤングケアラーへの支援に関する関係機関の連携についてです。
ヤングケアラーとなっているこどもを早期に発見し支援するためには、関係機関の連携が重要であると認識しております。現状においても、教育や児童福祉など、こどもの生活の状況や様子の変化を把握する機会が多い関係機関から、支援が必要なこどもに関する情報が寄せられた際には、障害福祉サービスの活用など、適切な支援につなげております。引き続き、関係機関で連携し、ヤングケアラーへの支援を行ってまいります。
なお、その他の御質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。
(堀田誠福祉部長登壇)
◯福祉部長(堀田誠)
次に、高齢者福祉施策についての御質問にお答えをいたします。
まず、熱中症予防対策についてのうち、熱中症の死者数が例年以上になったことに対する区の見解についてです。
今年の夏は記録的な猛暑となったことから、報道によれば、23区内での8月の熱中症による死亡者数が、昨年6月から9月までの人数を上回っている状況となっております。特に高齢者の死亡が目立つとされており、区といたしましても、とりわけ高齢者に対する熱中症予防の取組が重要になってくると認識しております。
次に、冷房設置助成などの熱中症予防対策を進めるべきとのことですが、区では、福祉会館や老人福祉センターなどの高齢者施設を、7月から9月までの夏季期間中、猛暑避難場所として開放し、高齢者が日中を冷房の効いた場所で過ごしていただけるようにしております。
また、今年度は75歳以上の全ての高齢者に冷感タオルを配布し、手軽に体を冷やすことで熱中症予防の一助にしていただいております。このため、現時点では、高齢者に冷房設置費用の助成を行う考えはありません。
現在、長寿サポートセンターの職員が夏季期間中に単身高齢者などの自宅を訪問し、エアコンやマスクの適切な使用法の指導等も含めて、熱中症予防の指導を行っております。また、福祉会館等において熱中症予防講座を開催するなど、高齢者の熱中症予防啓発活動を行っているところです。今後もこのような活動をきめ細かく行うことで、高齢者の熱中症予防に取り組んでまいります。
次に、高齢者の生活実態調査について、冷房関係の調査を行い、適切な冷房の使用等について周知を図るべきではないかとの御質問にお答えします。
現在、高齢者を対象とした大規模な調査としては、高齢者生活実態等調査があります。この調査は、3年ごとに作成している高齢者地域包括ケア計画を策定するための基礎資料を収集することを目的としていて、既に昨年度、実施しております。
したがいまして、現行の高齢者生活実態等調査とは別に、高齢者のエアコンの利用状況等について調査を行うことは、現時点では考えておりません。
しかしながら、適切な冷房使用等についての普及啓発を行うことは必要であると認識しており、既に御答弁いたしましたとおり、長寿サポートセンターによる訪問指導の際には、エアコンを積極的に使用するよう注意喚起に努めております。また、パンフレットの配布や、福祉会館での熱中症予防講座等の事業も通じて、引き続き、熱中症対策を図ってまいります。
(長尾潔政策経営部長登壇)
◯政策経営部長(長尾潔)
次に、本区の行財政改革についての御質問にお答えします。
まず、透明性のある区政手続についてのお尋ねです。
現在、区をめぐる社会状況は、区民ニーズや地域課題が複雑化・多様化する中、区長への手紙は区民の声を区政へ反映する重要な役割を担う制度であります。
区長への手紙は、専用の広聴はがき、メール、電話、ファクスなどで受け付けており、広報広聴課で受付後、回答の要否に関わらず、庁内の関係部署へ送付し、回答を要するものは各部において2週間以内に回答をしております。
お寄せいただいた御意見は、生活での困り事や放置自転車、騒音、路上喫煙のマナーなど、区政全般に係る区民の貴重な生の声であり、区に届いた全ての区長への手紙は庁内各課で共有され、施策の検討、改善を行っております。
また、全ての区長への手紙の内容は、最終的に区長へ報告し、問題解決に向けて各部署で対応に当たっております。
御質問にありました広聴はがきに記載された構図につきましては、区民からの貴重な御意見、御提案を確実に区政に反映する公正公明な区政手続を、限られたスペース内で分かりやすくイラストで示しているものであり、改定の予定はございません。
引き続き、区民の声を庁内で共有、活用し、区政の課題に積極的に取り組み、区民の負託と信頼に応えてまいります。
次に、指名業者選定委員会についてです。
工事請負契約以外の指名競争入札においても、指名業者選定委員会を設置することについてですが、契約担当者は公正さを確保しつつ、物品や業務の提供について、できる限り安価で良質なものを迅速に調達することが求められております。
一方、令和元年度の工事契約件数を除く物品、委託等の契約は2,000件余に及んでおり、指名業者選定委員会を設置することは困難です。
なお、入札手続における透明性、公正性の確保については、指名競争入札を含む全ての入札結果について、その経過も含め、電子調達サービスのホームページ及び情報公開コーナーで公表をしております。
また、2,000万円以上の財産の買入れ、9,000万円以上の工事、製造の請負は、その契約方法や相手方について、契約状況調書にまとめ、区議会への報告を行っているところであります。
質問数:9
出典:江東区議会会議録