2020年(令和2年)10月05日 決算審査特別委員会

2020.10.05 決算審査特別委員会
録画中継

◯さんのへあや委員  
大きく3点について伺います。
まず、障害者支援の相談支援員育成確保について伺います。障害者特定相談支援事業所就業・定着促進事業は、障害福祉サービスを利用するために必要なサービス等利用計画を作成する相談支援専門員の育成及び確保を目的としていますが、本事業の実施件数を含め課題認識について伺います。

◯障害者施策課長  
まず、この事業ですけれども、令和元年度につきましては2件、平成30年度、29年度はゼロ件でしたけれども、28年度も2件という状況でございます。
課題としましては、本事業で一定の確保の効果は出してはございますけれども、区内全体の専門員の状況を見ますと、ここ数年50人前後で推移して増加に至っていないということで、この事業は財政的な支援のみでは、専門員の増加をさせることの限界を、課題として認識しているところでございます。

◯さんのへあや委員  
令和元年度の実施件数が2件で、さらに年度途中で専門員の方への助成を始めたということです。調査したところ、相談支援専門員の方は、現時点で江東区内には58名の方が在籍されています。江東区よりも人口が少し多い地区と比べてみると、杉並区で79名、板橋区では80名、江東区よりも人口の少ない葛飾区でも76名の相談支援専門員の方が在籍されています。他区と比較をしてみても、江東区の58名は少ないということが分かりますけれども、このことにより発生している課題、在籍数に関する江東区の認識をお聞かせください。
また、平成30年度決算審査時の答弁では、平成31年3月時点で、本区におけるセルフプラン率が障害者で31.6%、障害児で36%とのことでしたが、令和元年3月時点のセルフプラン率がもし分かれば、どのような変化があったかお聞かせください。

◯障害者施策課長  
専門員不足による課題というところでございますけれども、さんのへ委員御指摘のとおり、セルフプランでサービスを利用している方が一定程度出ているということで、専門的な相談支援を受けられていないところが課題かなと認識してございます。
あと、セルフプラン率につきましては、さんのへ委員御指摘にあったように、30%程度ということで現在も推移しているところでございます。

◯さんのへあや委員  
現時点においても、江東区では相談支援専門員の方が見つからず、障害をお持ちの方のおよそ3割がやむなくセルフプラン、つまり御自身でサービス等利用計画を作成している状態となっているとのことです。
セルフプランにおいては、担当者会議やモニタリングが実施されず、サービス提供事業所との調整は御自身で行わなければなりません。サービス提供における第三者からの適切な助言を受けることができないことからも、これは行政としてセルフプランは推奨できるものではないと考えます。
江東区として、相談支援専門員の方の育成確保を進めることも大変重要ですけれども、数としては増加していないということも鑑みて、現時点で働いている専門員の方に対する定着支援の充実化というところも必要なのかと思います。
本事業では、1年間限定での人件費補助が行われていると聞いています。しかし、令和元年度決算における事業の執行率は、金額で見ると約30%ほどとなっています。2年目以降の支援というところもさることながら、1人職場のケースが多いことからも、相談支援専門員の方の働き続けやすい環境づくりですとか、横の連携ですとか、ネットワークを区が主体となってつくること、またそういったことが結果として、相談支援専門員になりたいと希望する方自体が増えるものと思料します。
区をまたぐそういったネットワークづくりとか、江東区側にスーパーバイザーとしての機能を持たせて、ケース会議などを積極的に開催するという支援を行っていただきたいと思いますが、見解を伺ってもよろしいでしょうか。

◯障害者施策課長  
相談支援専門員は、利用者の人生を背負うといった重要な役割を果たしてございます。一方で、1人職場または困難なケースを抱え、非常に悩んでいるという話も聞きまして、そうした意味で1人職場でありながらも、そうした悩みを解決できるような専門員同士のネットワークづくりというのは非常に重要だと考えてございます。
江東区でも、定期的に専門員同士を集めた連絡会を開催してございますので、そうした場でネットワークづくり、つながりというものを、引き続きつくっていきたいと考えてございます。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。
次の質問に移ります。江東区役所内において、定期的に障害をお持ちの方の実習事業が行われているとのことです。障害者就労を進めたい江東区役所にとっても、そのノウハウを実体験できる事業であるかと思います。現時点では、どのような内容の実習事業が行われているかお聞かせください。
また、本事業について、依頼するお仕事内容や実習される方の固定化が懸念されていると伺いました。そちらについての課題等、江東区の見解をお聞かせください。

◯障害者支援課長  
就労支援庁内実習事業についてでございます。本事業につきましては、就労を希望する障害者の方が区の業務で就業体験を行う事業でございます。実習で行っている事業については、庁内各課で募った業務でございまして、例年15課前後から業務をお願いしますということで、障害者の方がやっているところでございます。
具体的な業務といたしましては、実績としてあるのが、例えば封筒への封入・封緘、またシール貼りですとか、パンフレットへの資料の挟み込みなどを行ってございます。
固定化という部分につきましては、確かに近年、お願いしている部署がある程度固定化されているというのは実情でございまして、こちらについては庁内に広く知っていただいて、もっと様々な業務を、もしやれることがあればお願いすることもできるのではないかということで、課題には感じているところでございます。

◯さんのへあや委員  
現在、15課前後から事務を委託されているとのこと。聞くところによりますと、議会事務局でも区議会だよりの送付準備等、お手伝いいただいているとのことでした。回答を受けた印象では、実習事業というよりは1日単位、1人単位でお手伝いいただいているという、かなり小規模な事業である印象も受けております。
先日、一般質問でも触れさせていただいたとおり、江東区役所における障害者雇用は喫緊の課題です。法定雇用率を達成している先進自治体の取組事例を見てみますと、区役所内での事務を一堂に集約する形で、就労の場を創出している手法が多い印象を受けております。
本事業においても、ぜひこの事業を職員課などと連携して実習内容の充実化を図り、実習者の範囲も同時に広げて、江東区役所における障害者雇用のノウハウの構築として、本事業を役立ててほしいと感じています。その充実化などの可能性について区の見解を伺います。

◯障害者支援課長  
本事業の充実というところでございます。先ほど課題として申し上げた部分もございますけれども、多少作業が固定化されているところはございます。
ただ一方で、本事業、先ほど小規模でやられているという、さんのへ委員の御指摘もございましたとおり、庁舎2階の「るーくる」で、毎日当番として各作業所の方が来ていただいているのですけれども、その作業所の利用者の方が庁内で同時に実習を行うというスキームを取ってございます。そういった意味で今以上に作業所の人数の拡大というのは、なかなか即座には難しいのかと考えてございます。
しかし、一方で、先ほど申し上げたように、庁内に広く周知は行って、どういった業務、もう少しできることがあるのかないのかというところについては、今後検討していく必要があるのかと考えてございます。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。時間の関係で、実習生産品開発費補助に関する質問を飛ばして、次の質問に移ります。
次は高齢者支援についてです。さきの質問者と質疑が重なる部分があり、少し違った観点から質問をさせていただきます。
現時点で江東区においては、自ら望まれた高齢者の方に対する見守り・声かけが実施できている一方で、支援を拒否されてしまった方、地域社会から孤立してしまった方に対して、いかに行政としてつながり続けていくのかが課題になっていると感じています。
令和元年度初めて、敬老祝金事業のうち、民生委員の負担減に鑑みて、喜寿77歳の方への祝い金を現金書留で送付しています。今年はコロナ禍で直接の訪問が難しいこともあり、全ての年齢の方に対して現金書留にて祝い金を送付しているとのことです。令和元年度は、喜寿の方5,012名に対して送付した現金書留が何通戻ってきたか、その戻ってきた敬老祝金に対してどのようなフォローをされているかお答えください。また、施設などに入られている方にはどこへ送られたのか。受取を拒否された方がいるのか。もしおられれば、そういった方に喜寿のお祝い以降の対応をどのようにされるのか確認させてください。

◯長寿応援課長  
昨年度でいいますと、77歳の方5,012人に郵送し、143人の未配布となりました。その方については、1か月後ぐらいに、5年間区のほうで保管しておりますので、窓口に取り来てくださいという通知を出しています。その結果、本年度7月28日現在で、未配布の方は61人となっているところでございます。
あと、施設入所の方につきましては、すみません、その後の詳しいところまでは把握してございませんが、敬老祝金につきましては、そういう通知も含めて、着実に皆様の手元に届くように努めてまいりたいと思います。

◯さんのへあや委員  
拒否された方がおられたかどうかについてお答えください。

◯長寿応援課長  
失礼しました。祝い金を拒否したということに関しての意見は届いておりません。
以上です。

◯さんのへあや委員  
現時点では、61名分の祝い金をこちらで保管したままとのことです。再通知を去年、2019年9月に現金書留で送られて1か月後なので、10月に発送してからもう1年がたつかと思います。
現金書留に関しては、御本人でなくとも家族の方でも受け取られるため、状況としては、61名の方は独居世帯の方が多いのかと推測します。この61名の方、皆様御病気なのか、コロナ禍で外出が難しい状況であるのか、御家族と同居されている場合は虐待を受けていないか、そういった状況が全く分からない今の状況がとても心配です。
敬老祝金は、単にお祝いのお金をお渡ししておしまいではなく、江東区が今、課題としている見守り訪問体制確保の一助になり得るとも考えますし、この61名という数は、お年寄りにとって自ら助けを求めることの難しさという数値、表れではないかと捉えております。
強制的な介入が難しい一方で、高齢者支援においては待つ姿勢というのは絶対に避けなければなりません。今年発送して戻ってきた方々への対応も、ちょうど今課題になっているかと思いますが、再通知を発送した後、例えば半年たっても反応がない場合は、電話して状況を確認するですとか、長寿サポートステーションと連携して、御自宅に訪問するなどの対応を必ず取っていただきたいのですが、見解を伺います。
また、既存の見守り・声かけ事業に限界を感じているのであれば、私は江東区が今年行えなかった敬老の集いを、今後は小規模で、様々な地区において実施してほしいとも考えています。なぜなら、本当に人を助けられる高齢者支援というのは、自発的な意思に頼るのではなく、ある種の半強制的に人と人をつなげる環境づくりが必要だと考えております。
助けてほしいと言われて助けるという待ちの体制で、江東区は既に61名の方の声を聞き逃しています。今後の支援の在り方について再考の必要性と、そういった工夫した形での敬老の集いの実施に関して、江東区の見解を伺います。

◯長寿応援課長  
まず、戻ってきた61人の方について、さらに状況確認等々を行っているのかという質問ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、昨年143人未配布となりまして、通知をしたところ、取りに来た方が61人。この中に関しては、5年間保管しているので、都合のよろしいときに取りに行こうという方も中にはいらっしゃって、取りに来た方がいた結果、半分まで減っているというところで、この方に関してはさらにどういう状況にあるのかという確認までは、区のほうでは行っておりません。
ただ、さんのへ委員のおっしゃるとおり、61人という状況について確認すべきかどうかにつきましては、ほかの見守り事業等で確認等々もやっているのですけれども、それと併せて今後の検討課題とさせていただきます。
そのほかの敬老の集いをもう少し地域別にとか、そういった開催の仕方を検討できないかということですけれども、地域別になると会場の問題とか運営の方法、もろもろのことがありますので、今現在のところは今のやり方を変える予定はございませんけれども、地域の高齢者の皆さんを見守っていくという各種見守り事業を着実に行っていくことによって、高齢者の皆さんが住みよいように見守り体制を強化しながら、やっていきたいと思います。
以上です。

◯委員長  
長寿応援課長、取りに来た方61名というのは間違いないですか。

◯長寿応援課長  
失礼しました。未配付の方が61名です。

◯委員長  
では、修正で。

◯さんのへあや委員  
分かりました。
次に、子育て支援の充実についての質問に移ります。ファミリーサポート支援事業に関してです。本事業の令和元年度における執行状況と、この間における利用会員数と利用件数の推移について伺います。

◯こども家庭支援課長  
まず、本事業の執行状況についてでございますが、予算現額2,347万8,000円、決算額2,232万3,000円余、執行率95.1%となってございます。この内容につきましては、本事業を委託している社会福祉協議会の人件費及び事業費、事務費等でございます。
次に、利用状況についてでございますけれども、利用会員の登録者数は平成29年度が4,386人、平成30年度が4,809人、令和元年度末におきましては5,193名となってございます。また、延べの利用件数で申し上げますと、平成29年度が9,714件、平成30年度が1万1,723件、令和元年度は1万171件となっている状況でございます。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。このコロナ禍での自粛期間を経て、区民の方よりファミリーサポート制度に関する御意見を頂戴する機会が多々ありました。それは在宅ワークやリモートワークにより、自宅で就業する機会が増えたことによる、預かり場所の指定についてです。私自身もこどもの保育園がお休みになってしまった中でも、在宅ワークを求められる機会が多々ありました。しかし、こどもがそばにいる状態で、オンライン会議に一、二時間集中することが非常に難しいということが分かりました。
そういった御家庭からも、ファミリーサポートで規定されている、こどもの預かり場所は原則として協力会員自宅というものを、利用者会員自宅も認めてもらいたいという意見を頂戴いたしました。
よい機会なので、このたび23区のファミリーサポート制度を比較してみました。江東区と同じように、原則として協力会員の自宅のみでこどもを預かれるとしている区は9区、預かり場所についての記載が特にない区が9区、双方承認している場合は、どちらの自宅でも預かり可能としているのが4区ありました。
このうち、特に世田谷区と杉並区がすばらしいのが、利用者会員宅、援助会員宅、児童館、公園、おでかけひろばその他近隣の公共施設なども預かり場所として認められ、明記されているというところです。屋外も認められていることに関しては、利用者会員と協力者会員以外の目も届く状況であり、協力会員の自宅でこどもを預かってもらうことに、不安や心理的なちょっとしたハードルを感じてしまう家庭からの利用登録というところも、改善されると増えるのかと思います。
また、協力会員登録数も過去数年間横ばいである一方、登録者数は年々増えているとのことです。この協力者の方と登録者の方の需要と供給のバランスの崩れを防ぐためにも、協力者の方も増やしていかなければならない。こういった登録はしたいけれどもできないという方の中には、自分が集合住宅に住んでいて、自宅が狭くて預かれる場所として適切かどうか分からないという人も、中にはいらっしゃるのではないかと思います。
アフターコロナの情勢を鑑みつつ、こういったサービスの拡充を図るためにも、預かり場所の規定というところを一度見直す必要があると考えますが、御意見を伺います。

◯こども家庭支援課長  
こどもを預かる場所についてでございますが、これはさんのへ委員おっしゃられたとおり、国の実施要綱におきまして、原則、協力会員の自宅とされております。さんのへ委員がおっしゃったような他区の実例もございますけれども、これはこどもの事故を防ぐ上で預かり場所の安全点検を行う必要があるということから、要綱上行ってございまして、協力会員が日頃から注意すべきポイントを確実にチェックできる、協力会員の自宅を預かる場所としているところでございます。
繰り返しになりますけれども、ファミリーサポート事業ではこどもの安全確保を第一に考えてございますので、現状どおり協力会員の自宅での預かりとさせていただくことを御理解いただければと存じます。
また、これもさんのへ委員からありました公園での預かりであったりとか、児童館の預かり、これは例えば公園につきましては、協力会員が預かっている時間帯の中で、例えば天気のいい日は公園に行って、一緒に遊ぶとかいう実情はあろうかと思います。また、児童館におきましては、今後は児童館の事業として、一時預かりを検討してまいることも考えてございますので、このファミリーサポート事業とは別に、子育て施策全体の中で検討してまいりたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、さんのへ委員がもろもろ御提案いただいた内容につきましては、今後の子育て施策全体の中で検討していくべきものと考えてございますので、よろしくお願いいたします。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。
以上です。

質問数:11

出典:江東区議会会議録