はじめに
2023年9月25日(月)に監査対象部局及び関係者の陳述聴取が行われ、木村区長、広報広聴課長、政策経営部長、副区長の4名による陳述の立ち合い(傍聴)を行なって参りました。
これまでの住民監査請求に関する記録は過去のブログにて紹介させていただいておりますので、過去の陳述内容等はご確認頂けますと幸いです。
■住民監査請求記録その1
https://sannohe-aya.com/archive/2755/
■住民監査請求記録その2
https://sannohe-aya.com/archive/2786/
本ブログでは行政側でどの様な陳述が行われたかの記録を公表します。
なお、陳述会場においては撮影・録音ができる機器等の持ち込みが禁止されている為、メモをした内容を元に記述します。実際の陳述内容と一字一句同じではない事を予めご了承頂けますと幸いです。
監査対象部局(4名)の陳述内容
まず、住民監査請求をするにあたって行政職員側が口裏合わせをしてくる事は事前に想定していましたが、それでも「苦しい言い訳だな…」と感じられる点が多々ありました。
是非区民の皆さまも「税金が使われても良いと思える説明がなされているかどうか」という視点で以下の陳述内容を読んでみて下さい。きっと、矛盾を感じられるところがあるかと思います。
【1人目:木村やよい区長】
- 広報広聴課への指示はしていないが、広報公聴課長から「会場の設営撤去はこちらでやる」という打診があった。当初は辞退したが、課長からの説明を受け入れて了承した。
- 記者会見迄に何らかのストップがあれば、受け入れるつもりだった。会見は私的にやるものという認識だった。
- (区の職員が携わることにマズいとは思わなかった?という質問に対して)役所の中ではなく別の場所を手配して、司会も関係者がやった。会場の設営撤去に関しては、組織の中でそうなっているのであれば、それに従うものだと思った。
- 議会事務局側には記者会見前日の8月3日にスタッフが情報提供をした。どの様に情報提供をしたのか具体的な内容は分からないが、自身の選挙について記者会見を行うという内容だった。
【2人目:広報広聴課長】
- 7月に行われた定例記者会見以降、広報公聴課の元に、区長への手紙等を通じて区長の有料広告動画に関する問い合わせが区民や報道機関から数多く寄せられた。「江東区としては答えられない」旨を伝えて対応していたが、中には「いつ記者会見が行われるのか?」という問い合わせもあった。
- その為(区長の有料広告動画の件については)区政の関心事として何らかの対応が必要と認識していた。特に報道機関からの問い合わせが尋常ではなかった。円滑な区政を推進する上で、区長が記者会見を開く事は区の広報にとっても大変重要なものと捉えていた。
- 8月3日付で弁護士から記者会見を行う旨の案内があった。同日夕方頃に「会場の設営撤去はノウハウがある広報公聴課でやる」と政策経営部長、区長、副区長に説明した。区長は「いいよ、そこまでしなくて」「大丈夫かな?」という反応だった。円滑に進めるために必要な対応だと説明したら納得していた。「こちらでやらせて頂きます」と言い切った。
- 請求人からの最初の問い合わせで「把握していない」と言ったかは覚えていない。(自分が指示していたのになぜ答えられなかったのか?という質問に対して)自身は設営撤去に関わらなかった為、対応した職員に確認して電話を折り返すという意味で伝えた。
- 今でも公務の一環だったという認識。公務員として、区政が円滑に動く様に務める必要があると感じていた。
- 自身の課長としての発意から始まったことであり、上長からの指示無かったと断言できる。
- 7月11日〜8月4日の間に、有料広告動画に関して寄せられた区長への手紙は17件。現在までは28件寄せられている。
- 設営には4名想定していたが、3名加わって結果として7名の職員が30分かけて行なった。撤去は5名で30分ほどかからずに終わった。
- (公務という認識なのに会見中はなぜ会場にいなかったのか?という質問に対して)報道機関からの質疑応答には広報公聴課としては答えられないという認識だったため、会場にいる必要はないと考えた。
【3人目:政策経営部長】
- 8月3日に広報公聴課長から「区長が会見する。区長の顧問弁護士が対応するが、設営撤収についてはこちらでやりたい」という旨の報告があり了承した。その報告は理にかなっているものだった。
- 広報広聴課長は自身の判断だったと言っているが、区としての判断でもあったと捉えている。
- 会見は江東区とは何ら関係がないとまで言い切れない。区政に関わることだと思っている。
- 区長は企業で言う社長にあたる人。行政との関係は切り離せるものではない。
【4人目:大塚副区長】
- 8月4日の記者会見は、区として会見そのものには関われないという認識だった。
- しかし、8月3日の16時頃に広報広聴課長から「7月の定例記者会見で問い合わせがあったので、広報公聴課で会場の設営撤去のみを行いたい」と申し出があり、それは問題ないと考えた。間接的に関わり、設営撤去を実施する事は問題ないという判断だった。
- (今回の対応はマズいかもとは思わなかったのか?という質問に対して)区として直接は関われないという認識だったので、立ち会うのはまずいから「会見中は文化センターに入らない」という申し合わせを会見前日にした。
政治家としての不正=行政が対応すべき事なのか?
区長の私的な記者会見会場の設営撤去を職員が行なった事に関する行政側の主張は、
⑴広報広聴課長が自発的に指示をした(上長からの指示は無かった)
⑵広報広聴課へ多くの問い合わせが寄せられていることからも、広報広聴課(公務)として対応すべきと判断した
この2点に集約されると考えます。
⑴については、完全に口裏合わせをされている為、行政側の人間が真実を告発しない限りは覆す事が難しいかもしれません。
しかし、⑵の広報広聴課(公務)として対応しなければならなかった理由については、その背景を明らかにする必要があると考えます。なぜならば、この行政側の主張がまかり通ってしまうと「区長の政治家としての進退に関する問い合わせが江東区に多く寄せられているから、行政職員がその公務として出馬会見の手伝いをする」というトンデモない行為さえ問題がないと判断されてしまう可能性さえあるからです。
そこで、私は⑵の主張に対して以下の疑問を持ちました。
政治家(候補者)としての木村やよい氏の問題にも関わらず、後援会や個人ではなく江東区広報広聴課に問い合わせが殺到した背景・理由は何だったのか?
木村やよい氏は、個人の公式ホームページを所有しています。首長として行政側に立つ人であり、同時に政治家という側面を持っています。つまり、区長の仕事は公務と政治活動に分かれます。
そして、区長の公務に関する問い合わせ先は行政(区長への手紙)で、政治家個人としての問い合わせ先は別である事が当然求められます。
しかしながら、木村やよい氏の個人のホームページで「問い合わせ」というところをクリックすると、江東区ホームページの「区長への手紙」に自動的にリンクで飛ぶ仕様になっています。
こうした"公私混同"仕様になっているホームページは、23区の区長の中でも木村やよい氏のみで、中央区長・練馬区長は個人ホームページなし、台東区長と新宿区長は問い合わせフォームが準備中となっていましたが、他の区長は皆、区政以外のご意見・お問い合わせとして別途メールアドレス等を用意されていました。
この「区長への手紙」という問い合わせ業務を運用しているのが、江東区の広報公聴課です。
この事から、政治家としての木村やよい氏への問い合わせであっても全て広報広聴課(公務)として対応せざるを得ない状況になっていた事がわかります。
余談ですが、この公式ホームページ上の個人献金の申し込みのところでは「江東区 新時代の会」宛のメールアドレスも記載されていましたが、このアドレスは既に無効になっている事を確認しました。
江東区(広報広聴課)への問い合わせが殺到していることは、政治活動を公務として手伝うことの理由にはなりません。
しかし、実際は江東区として対応せざるを得ない状況を木村区長自身が作っていたと指摘します。
こうした実態は、これから協議を進められる監査委員の皆さまには是非知って頂きたいと思います。
9月26日追記:本日付で木村やよい氏ホームページが改定され、直リンクが削除されているのを確認しました。しかしながら、今年5月頃〜9月26日まで上記の仕様になっていたのは事実であり、証拠が残っていますので"無かった事"にはなりません。
メンっと総括!
改めて説明するまでもありませんが、開かれたクリーンな区政を政策に掲げながら、その説明責任を行政や第三者に負わせ、区長自身はその責任を果たしていません。
自身は批判を受けたくないが故に全て行政に対応させているのだとすれば、血税を使ってやる事の認識があまりにも欠けているのではないでしょうか。
更に、職務を正しく全うしようとする職員に、全ての責任を押し付ける事は首長としての道義的に絶対に間違っています。
今月末から10月末頃にかけて住民監査請求の結果が出ますので、改めてブログにて共有させて頂きます。
さんのへ あや