はじめに

先日収受された住民監査請求について、2023年9月13日(水)午前10時より陳述を行なって参りました。

「傍聴してみたいけれど、平日は難しい」という区民の方からご連絡を頂いていましたので、”クリーンで開かれた区政の実現”に向け、本ブログにて本日の私の陳述内容のほぼすべてを紹介いたします。

今回の住民監査請求の内容や論点について振り返っておきたい方は、前回ブログ記事をご参照頂けますと幸いです。

口頭陳述の内容(原稿全文)

本請求では、木村江東区長が区長になる前の選挙関係の違法行為に関する釈明記者会見において、本区職員に記者会見会場の設営撤去を行わせたことに対して、地方自治法第2条第14項違反により職員4名分の1時間分給与として10,800円を木村弥生区長に請求するものです。
事実関係を元に、順を追って詳細を説明させて頂きます。

2023年8月4日(金)16時から17時にかけ、木村弥生江東区長は江東区文化センター3階第1、第2研修室において記者会見を実施しました。本会見は、新聞やテレビにて報道された通り、区長就任前に、選挙期間中においてインターネット上で有料広告動画を流していた問題に関するものです。
本記者会見が木村やよい個人又は後援会の政治活動に過ぎず、区長並びに職員にとって公務性が無かった事に対する証左は以下の通りです。

一点目、私が行った情報開示請求によって、記者会見会場の施設利用費用並びに器具のレンタル費用は「木村やよい後援会」宛に請求されている事が判明しています。
二点目、当日江東区文化センター内に掲げられる看板の表記に「木村やよい後援会」という名称が使用されていました。
三点目、同会見は区長の担当弁護士である笠原静夫弁護士並びに木村やよい後援会板津道也事務総長によって答弁・司会進行が行われています。
四点目、区長が公務として行う定例記者会見の内容は、江東区のホームページにてテキストや動画にて公表されています。本記者会見は江東区とは関係がない会見という説明の通り、記者会見に係る記録は江東区として一切区民に公開していません。
五点目、木村区長は記者会見が開始され1時間ほど経過した後に、公務がある事を理由に途中退席しています。
六点目、区長自身も、同月8日(火)に開催された定例記者会見の場において「私が区長になる前のことでございましたので、場所も変えて、一人の当時の候補者として会見をさせていただきました。」と説明しています。
これらの事実関係から、本記者会見は公務として行われたものではなく、木村やよい後援会の主催によって行われたものである事は明白です。

記者会見が開催された翌週に、職員から「区長が私用で行った記者会見会場の設営撤去を、広報広聴課の職員が手伝わされたようだ。取材に来る記者の目につかない様に、会場撤去は記者が全員退出するまで待機するように命じられたと聞いた。」と情報提供がありました。
そこで、事実関係を確認する為に、8月10日(木)午前11時前後に●●広報広聴課長に電話にて問い合わせたところ、「把握していない」との返答がありました。職員が関わった旨の情報提供があったと伝えると、「職員に確認して折り返す」と言われ、およそ1,2時間後に電話にて「自身の判断により、広報広聴課職員らが設営撤去を行なった」ことを認められました。設営撤去は職員4,5名で対応したとの事でしたが、それ以上詳しい事を教えていただく事はできませんでした。後日、他の職員関係者からも「係長級の職員も対応させられていたようだ。」と情報を得ました。

8月31日付東京新聞の記事において、●●広報広聴課長は取材に対し、「設営のノウハウがあるので、区長に私からやると伝えた。区には記者や区民から(有料広告の件で)問い合わせがあり、(公務と)切り離せることでは無い」と話をした。

また、9月5日付け都政新報の記事では、取材に対して、係長以下の職員に設営と撤収の指示をしたことを認め、「区長の指示ではなく、自分の方から「設営をする」と伝え、区長は「大丈夫なの?」と言った。この問題では毎日の様に報道機関と区民から問い合わせがあり、メディア対応の一環として必要だったという認識」と答えています。

しかしながら、●●広報広聴課長が指示をしたのではなく、区長、副区長、部長を含む上長からの指示があった事が疑われます。もしも本当に広報広聴課長がこれらの行為を公務の一環と捉えているのであれば、最初の私からの問い合わせの際に関与を否定する必要性がなかったからです。
また、職員側からの情報提供でも「当初は記者会見の会場設営のみならず、司会進行も広報広聴課で対応する様に指示されていたのを、●●課長は「それはできません」と最後まで反対していた。」という旨の主張をしている職員の方もいました。

公務である江東区長の定例記者会見では、司会進行並びに会場準備を広報広聴課で対応されています。その事を知っている上長が、本記者会見が江東区と何ら関係のないものであった事を知りながら課長に強く指示をしたものと考えます。上からの指示であれば、公務性は課長の立場で発生しうるからです。一体だれが、課長にそうした事をやらせ、責任を負わせたのでしょうか。職員を利用して、区長に忖度する行為を許す事はできません。●●広報広聴課長の立場を考えると、上長から指示があった旨を自白する事は極めて難しいと思います。しかし、前述の職員からの追加情報にあるとおり、●●課長が当初反対の立場をとられていたのであれば、その名誉は汚されるべきではないため、この場で改めて知って頂きたい事実として、述べさせて頂きました。
職務を正しく全うしようとする職員に対して、職務外のことを無理強いするだけではなく、その責任を転嫁するなど、あってはならないことだからです。

都政新報の報道の通り、たとえ職員側から会場設営への協力の申し出があったとしても、1人の当時の候補者としての記者会見を開くという認識をしていた区長が、申し出を容易く受け入れてしまうのであれば、公私混同も甚だしく、極めて遺憾です。「大丈夫なの?」と提案を聞き返すのではなく、区長としてせめて「勤務時間中は区民のために働いてほしい」とたしなめるべきでした。

更に、区長も把握している筈の江東区文化センター条例では、利用者による施設の現状回復が義務付けられています。第14条第1項において、「利用者は、利用を終了したときは、直ちに利用した施設を原状に回復しなければならない。」事、第3項では「利用者が前2項の義務を履行しないときは、区長においてこれを執行し、その費用を利用者から徴収する。」とされています。区長自らがこうした条例違反を行なっておいて、区民にその義務を課す事ができるのでしょうか。

前述の通り、区長が実施した会見は自身の公職選挙法違反に係ることで江東区とは何ら関係がありません。本来は江東区として財務会計行為は発生しない筈であったにも関わらず、本区職員が勤務時間を利用して対応することは地方財政第2条第14項の違反です。
地方自治法第2条第14項では「地方公共団体は、その事務を処理するにあたっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とされています。また、職員の給与は血税から賄われている事からも、職員を私用に使う事は区民利益に反します。

よって、係長級を含む職員4名分の1時間分給与として10,800円を木村弥生区長に請求します。区長の公職選挙法違反を弁明する政治活動の場に、区民から集めた税金を使うべきではありません。今後二度と、江東区の職員を自身の政治活動や私用に使う事が無いようにして下さい。
以上で陳述を終わります。

メンっ!と総括

上記の陳述をした後、すぐその場で監査委員全員との質疑応答を行い、本日の口頭陳述は終了いたしました。

監査委員の皆さまとの質疑応答のやり取りにおいて、監査委員の皆さまが今回の住民監査請求の主旨をよくご理解頂いていると感じられる場面が多く、私が今回の監査請求を通して申し上げたいことをしっかりと受け止めていただいたと手応えを感じました。

次は9月25日に監査対象部局側(広報広聴課長)の陳述が行われます。また進捗報告いたします。

さんのへ あや

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