はじめに
GIGAスクール構想に伴い児童生徒にChromebookが配布されて以降、ランドセルの重量が子どもの成長に与える影響を懸念し、これまで様々な改善要望・申し入れを行って参りました。
昨年夏に区民と共に端末持ち帰りルールの見直しを要望した際、「少しでも荷物の軽量化をはかるため、ランドセル以外のリュックも可とする様に」と文章で申し入れしたところ「教育委員会として指定しているものではないので、各学校に改めて周知する」旨の回答を得る事ができました。
令和6年度入学案内には持ち物として「ランドセル以外の学用カバンも可」とする事が明文化されましたが、既に入学している子ども達や令和5年度入学への通知が課題となっていました。
教育委員会からの回答後暫くして「XX小学校では文章による通知があったお陰で、身体が小さくて悩んでいた子供にリュックを使用させることができました。」というご連絡を保護者の方から頂きました。
そこで、この様に通知が既に行われた学校を可視化するため、周知が行われているかどうかの調査を情報開示請求により行いました。
全46校園における通知状況
学校名 | 通知 有無 | プリントOR メール | 通知日付 | 通知内容の抜粋 |
明治小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル等(学習用具が入り、背負えるものが望ましい) |
深川小学校 | ○ | プリント | 2月14日 | 在校生保護者、新一年生保護者宛に「学用カバンは両手があく背負うタイプのもの(ランドセルも含む)」他、留意点や置き勉についても周知 |
八名川小学校 | ○ | プリント | 2月号 | 学用かばん(ランドセル等)、両手で背負えて、中で形が崩れない、軽いものを推奨。 |
臨海小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセルまたはランドセル型のかばん |
越中島小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセルやリュックサック状のかばん(背負う形状で両手が自由になるもの) |
数矢小学校 | ○ | プリント | 10月21日 | 在校生保護者、新一年生保護者宛に「学用カバンは両手があく背負うタイプのもの(ランドセルも含む)」他、留意点や置き勉についても周知 |
平久小学校 | ○ | プリント | 入学前 | かばんは自分で開け閉めできるもの |
東陽小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル等の学用かばん |
南陽小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学用かばん |
川南小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル等(開け閉め・道具の出し入れ・背負い方の練習をする) |
扇橋小学校 | ○ | プリント | 1月31日 | ランドセルについて、学校への通学はランドセルと決まっているわけではなく、「両手を空ける為に背負えるもの」「A4サイズの教科書を入れても折れないもの」であれば利用して頂いて構いません。今後買い換える場合はお子様にあった鞄をご購入いただけますよう、お知らせ致します |
元加賀小学校 | ○ | プリント | 10月29日 | 「ランドセルが重い場合はリュックなどで登校しても良い」他、置き勉についても周知(但しタブレット端末は毎日持ち帰り充電をするよう明記) |
毛利小学校 | ○ | プリント | 入学前 | こどもの身体にあった背負うカバン(リュックサックやランドセル等) |
東川小学校 | ○ | プリント 学校説明会でのプレゼン資料 | 入学前 | ランドセル(背負う形の代替のものでも結構です) |
豊洲小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学カバン(学校指定のものはありません) |
豊洲西小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル等(学用カバンを指定するものではありません) |
豊洲北小学校 | ○ | メール | 不明 | 通学用かばんについて:江東区立小学校では一律にランドセルを通学用かばんとして限定しないことにいたします。両方で背負うもの、A4サイズが収納できるもの、キャラクターなどの装飾が無く華美でなければ色・形状・材質は問わない |
東雲小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセルまたはそれに準ずるもの |
有明小学校 | ○ | プリント | 1月31日 | 重さに対する児童の負担軽減について、軽量な通学用かばん(リュックタイプのもの)のご活用をご検討願います |
枝川小学校 | ○ | プリント (口頭?) | 入学前 | 持ち物にランドセルと書いてあるものの、説明会では通学用かばんとして説明し、必ずしもランドセルではなくても構わない旨を伝えているとのこと |
辰巳小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 両手をふさがず、安全に登下校できる背負うタイプのバッグ(ランドセルでなくても可) |
第二辰巳小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学バッグ(学用カバンの指定はありません) |
第一亀戸小学校 | ○ | 口頭説明 | 入学前 | 持ち物にはランドセルという記載になっていますが、江東区では学用かばんをランドセルのみ指定とはしていません |
第二亀戸小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル等の通学用カバン |
香取小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用カバン(ランドセルでなくても、同様の仕様のものであれば構いません) |
浅間竪川小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセルなどの学用カバン |
水神小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用かばん(ランドセル等) |
第一大島小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル(色は自由です)もしくはそれに準ずるもの(背負えるもの) |
第二大島小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用かばん |
第三大島小学校 | ○ | プリント | 入学前 | ランドセル等 |
第四大島小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用カバン |
第五大島小学校 | ○ | プリント | 入学前 | かばん…ランドセル等 |
大島南央小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学用かばん・特に指定はありません・なるべく軽く、出し入れが簡単にできるもの |
砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学用かばん |
第二砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学習用具を入れる物(両手があいていて、背負える物が望ましい) |
第三砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用品を入れる鞄(ランドセルなど) |
第四砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用カバン(学校指定なし) |
第五砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用品カバン等 |
第六砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学用かばん |
第七砂町小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学用バッグ…色・形は自由です。ただし、背中に背負えるもの |
小名木川小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用カバン ランドセル等、両手が空く背負うタイプのもの |
東砂小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用カバンの指定はありません(ランドセル等) |
北砂小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用かばん(背中に背負えて、中身がつぶれないもの、色は自由) |
南砂小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 学用かばん(両肩に背負えるもの) |
亀高小学校 | ○ | プリント | 入学前 | 通学カバン、成長に合わせたもの、軽量なものなどお子様に合わせてお選び下さい |
有明西学園 | ○ | プリント | 入学前 | 通学鞄、両手に背負えるタイプの通学鞄。色や形に指定は無いが、ロッカーに入るもの |
調査結果まとめ
- 全ての令和5年度入学説明会或いは入学説明時に配布される持ち物として「ランドセルが必須では無い」旨を説明している事が分かりました。
- 6校においては、在校生保護者に対してもメールやプリント等で再通知が行われている事が分かりました。
- 荷物用ロッカーを使用している学校においては、その多きさを説明した上で学用カバンとして適切な多きさを通知しているところが多くありました。
- 全ての学校において、通学カバンとしてリュックタイプを推奨している事が分かりました。
今後の課題
- 在校生への通知をどの様に行うのか
在校生(並びに保護者)に対する改めての周知が行われた学校は46校園中6校のみでした。
入学前のタイミングを逃してしまうと「ランドセル以外のリュックも利用しても良い」旨が伝わらないままとなってしまう可能性があります。
"荷物が多い事に対する懸念"は特に小学校1〜3年生に集中している事からも、少なくとも低学年の保護者に対しては学級だより等を通じて改めて通知する必要があるのではないかと感じます。
- 令和6年度入学予定児童に対してどの様に通知を行うのか
既に明記した様に、令和6年度入学案内には全ての小学校園において持ち物として「ランドセル以外の学用カバンも可」とする事が明文化されています。
しかし、いわゆるラン活というランドセルを選び予約購入する時期が早くて年中の夏頃から始まるとされています。通常入学案内が各家庭に配布される時期が秋頃である事を考えると、この情報は年中の春頃から周知されている必要があります。
- 既にランドセルを購入している場合
まだ身体が小さい低学年の内は少しでも軽いリュックを使用し、高学年になるとランドセルを使用するという方もおられます。反対に、ランドセルが壊れてしまい、買い替えを検討している方もいるケースが考えられます。
いずれにせよ「もっと早く教えてほしかった」という状況にならないよう、私も微力ながら下記イラスト等を用いてSNS等で発信を続けてまいります。
メンッ!と総括
近年はランドセル自体の軽量化も進み、重量のみでいうとリュックとの差は数百グラムにまで縮まったとされています。
また、小学校1年生からの6年間毎日酷使しても耐えられる頑丈さや、祖父母の代から見慣れたランドセルを子どもに持たせる事への想いや喜びなどもあり、リュックへの移行を強制的に進めるものではありません。
さまざまな事情からランドセル以外の学用カバンを利用していても"浮かない"と思える環境は、子ども達にとっても過ごしやすく、自立性を育むものであるとも言えます。
伝統的な価値観も大切にしつつも、子ども達に負担をかける状況は積極的に変えていく必要があると考えます。
さんのへ あや