今年7月に入ると、日本各地で例年より早い梅雨明けが発表されました。

梅雨が明けるのが早いと暑い期間が長くなる恐れがあるとの事で、今年の夏(7月〜9月)は全国的に暑い夏になると予想されます。

「子どもの荷物を減らそうプロジェクト」でも触れましたが、例年以上に熱中症が心配です。

そこで、毎年恒例の「水筒持参問題」に関する実態調査を今年は早めに実施しました。

この問題では、学校管理権の名の下に子ども達の安全が危ぶまれている実態を危惧しています。

過去に私が江東区立小学校(全45校)を対象に行った水筒持参の可否と中身の実態調査についての詳細がこちらです。

水筒から考える教育現場(令和元年度調査)

水筒から考える江東区の教育現場(令和2年度調査)

今年も情報開示請求を行い、126ページに渡る資料を入手する事ができました。

それらを纏めた結果が下記の通りです。

課題となった点

  • 今年も去年に引き続き全校で水筒持参が認められる様になりました!

…と申し上げたかったのですが、6校においては文書(文面)の内容が確認できず、その実態については不明とさせて頂きました。

しかしながら去年は全校で水筒持参可能である旨の案内があったので、突然禁止にはならないかと思いますが、持参が禁止されている学校がもしあれば是非教えて下さい。

  • 中身の指定について相変わらず差が生じている結果となりました。

水筒の中身を細かに指定する学校から、相変わらずお水のみという学校があり、統一性の無い結果となっています。また、運動会(練習)の際と、普段の学校生活で水筒の中身指定に差がある学校も明らかとなりました。

また、普通学級と支援学級で中身を分ける学校も…。様々な背景があるかと思いますが、ご家庭での判断を尊重する対応がなされている事を願います。

良かった(改善された)点

  • 通知の時期が全体的に早まっている事が分かりました。

例年6-7月の通知であったのに対し、今年は4-5月には通知が行われている様でした。

感染症予防と並行して熱中症に対する危機意識、水分補給の必要性がしっかりと認識されている印象を受けました。

  • 湯ざましやお湯の持参許可が無くなりました

昨年度の調査で謎だった「お湯ならOK」の記載。

よほどの冷え性やお腹を下しがちな方でなければ、暑い夏の日にお湯持ち歩いて飲むシーンは中々考え難いです。常温や冷たいお水が標準となり安心しました。

東川小学校、第二辰巳小学校、砂町小学校、北砂小学校の4校が相変わらず素晴らしい4校全て水筒の中身の指定が幅広く、また他の学校においては「水筒の大きさは、子どもに合わせて手配しても良い」という文章まで記載される様になりました。
こういった記載であれば各ご家庭での判断・準備がしやすくなるかと思います。


今年度、国からどの様な通知が行われたのか


令和3年4月30日に文科省から通達された文章「熱中症事故の防止について(依頼)」を抜粋します。
1. 適切な水分補給や処置を行うことができる環境の整備等について
 熱中症は、活動前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分や塩分の補給ができる環境を整え、活動中や終了後にも適宜補給を行うこと等の適切な措置を講ずれば十分防ぐことが可能です。また、熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、体温の冷却、病院への搬送等適切な処置を行うことが必要です。

※太字はさんのへによるもの


活動前に水分と塩分を補給することの必要性が明記されています。

これを以てして「水のみ」や「登下校時には飲まないこと」と明記してしまうと、文科省からの依頼とは矛盾してしまう様に思います。子どもの権利や主体性を尊重し、適宜家庭や子どもに判断を促す事が理想的ではないでしょうか。


また、最後になりますが、例年通り誤解の無いように申し上げます。


私は、水筒の中身をスポーツドリンクにする様にという考え・論理を学校に強制させたいのでは有りません。子どもを教育する学校において、子どもの健康・安全よりも管理責任を逃れる事を優先した合理性のない判断が平然と行われているのではないか、その問題提起を水筒持参という切り口から問い掛けています。
水筒持参の様な一見些細と思われる学校独自の運営ルールにおいてこそ、子どもの人権・主体性について学校がどこまで真剣に捉えているか測れるのです。


特に熱中症にリスクが高い今年の夏に学校毎の対応が異なるのは問題と捉えています。


私はこの様な切り口、認識のアップデートを元に引き続き学校校則・ブラックルールについての調査・情報開示を進めて参ります。


さんのへあや

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