2021年(令和3年)3月4日 予算審査特別委員会

◯さんのへあや委員 
 子どもに対する障害者意思疎通支援の普及について伺います。
 令和3年度にレベルアップ事業として計上されている障害者意思疎通支援事業のうち、新たにこども向けリーフレットを作成する費用が計上されています。既に事業に関する質疑がありましたので、リーフレットの内容等については割愛をさせていただきますが、現時点でどのような場面でこどもたちへの配布並びに障害者意思疎通支援に関する周知を検討しているか、御回答ください。

◯障害者施策課長 
 来年度に作成、配布する予定のこども向けの意思疎通支援のパンフレットですけれども、現在検討中というところでございますけれども、内容としましては、障害の理解ですとか、多様な障害者へのコミュニケーション方法の紹介などになります。
 今までこうした意思疎通支援のパンフレットについては、手話に特化したもので、区民まつりとか防災訓練のときに配布をしてきたんですけれども、今回はこども向けということですので、こどもの頃から障害に対して興味、関心、または理解を深めてもらえるような配布先ですとか、活用方法というのを検討していきたいというふうに考えてございます。

◯さんのへあや委員 
 配布方法については検討していくことは承知いたしました。
 障害も、目の見えない方、耳の聞こえない方、また見た目では分からない失語症の方など、様々な方がおられますので、なるべく多岐にわたる障害、またコミュニケーションの方法について周知できるように、内容については御検討いただければと思います。
 一番ちょっと避けてほしいのは、やはりリーフレットを配っておしまいとなってしまうところなんですが、やっぱりとてももったいないので、せっかくの機会ですので、学校での授業などと絡めて配布をしていただくことを提案いたします。
 具体的に言うと、今既に小学校で実施されている人権教育ですとか、あるいはやさしいまちづくりの出前授業などの機会に絡めて、なるべく当事者の方がいる状況で、様々な障害をお持ちの方にどのようにしたらコミュニケーションを取れるかというノウハウを、こどもたちに普及させていただければと思います。そういった視点から、教育委員会並びに学校と連携をして、そういった機会と絡めて配布していただくことを強く要望します。
 要望ばかりで恐縮なんですけれども、こどもたちは非常に素直ですので、幼少期からの多様性を尊重する視点というのを身につける機会を設けていただくことを改めて要望し、次の質問に移ります。
 令和3年度における新規事業のうち、重度障害者大学等修学支援事業並びに重度障害者等就労支援事業の2つがあります。後者については、令和2年10月に、国が任意事業として提案したもので、23区の中でも真っ先に江東区で実施される運びとなりました。
 これまで重度障害者の方が、経済活動、例えば通勤のときに同行援護を受けようとすると、制限されてしまうという状況がありました。この問題を、本事業では就労支援という観点から、通勤時にも支援を受けることが可能となります。
 そこで3つお伺いいたします。
 まず、予算の積算根拠につきまして、現時点でいかなるニーズを把握されているのか。
 また、対象となる区民がおられるとのことですが、本事業に関する周知をどのように実施していくのか。自営業だけでなく、民間企業に勤められている方も対象となることから、企業側に対しても雇用政策の一環として期待できることから、対企業への周知方法についてお答えください。
 また、当事者だけでなく、関係団体等にも周知し、いかにニーズを捉えていくのか、取組の方法を御説明いただければと思います。
 
◯障害者支援課長 
 まず、ニーズの把握でございます。本事業につきましては、対象者が重度訪問介護、それから同行援護、行動援護という、特定の障害福祉サービスを利用されている方という形で限られているもので、ニーズについては、個別にそちらのサービスを使っている方、かつ就労されている方、ケースワークの中で把握してございますので、そういった方々に状況をお聞きしているような状況です。現在のところ、少なくとも1名の方はぜひ利用したいというお声をいただいているところでございます。
 今後のこの周知につきましては、今申し上げたとおり、対象者が限られているという状況でございますので、個別の周知をしていこうというふうに考えてございます。
 次に、企業への周知ということでございます。
 確かに企業で働いている方についても本事業の対象となるというのは事実でございます。また、本事業が重度障害者等の就労支援の一助となるということは、区としても認識しているところでございます。
 しかし、一方で、本事業、まだ国が始めて半年というところもあって、全国でもまだやっている自治体が非常に少ない中で、ノウハウがまだ十分でないというところもございます。そういった状況であることから、まずは現時点でまさに必要とされている方にしっかりと着実にサービスを提供するということを優先いたしまして、広くさらに一般に周知を行う、企業に周知を行う、広く使うというところについて、次のステップということで、その後の検討課題というふうにさせていただきたいと考えてございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員 
 ありがとうございます。今、例に私、移動支援のところを挙げたんですけれども、このコロナ禍においては、やはりリモートワーク、テレワークの需要が高まっています。実際にこのリモートワークとなった場合でも、常時介護が必要な方、必要な障害者が働くと、本来、厚労省の基準では受けられなくなる訪問介護もこちらの本事業においては適用になるのでしょうか。この通勤の有無に関わらず、障害者一人一人が、お一人お一人に即した働き方を実現するという理念の下、本事業の対象とする区の所見を確認させてください。

◯障害者支援課長 
 本事業がリモートワークですとかテレワーク、自宅で勤務する方が対象となるかという部分でございます。本事業、障害者雇用助成金という雇用施策と、それから福祉施策の連携ということで、就労支援するということを基本的な考え方としております。
 具体的には、文書の作成や朗読、それから機器の操作などは雇用施策、それから、例えば吸引であったり、体位交換、安全確保の見守りなどは福祉施策という役割をそれぞれ担っているというところでございます。
 リモートワークやテレワークが可能な方については、いわゆる雇用施策が必要のない方、文書の作成等が自ら行える方ということも想定されますので、雇用施策と福祉施策の役割の整理というのは必要かなと思ってございますけれども、今後こういう事業を進める中で、そういった御相談、利用したいというお話があった際には、雇用先の企業ですとか、それから障害者雇用助成金を所管している機構ですとか、そういったところとも協議しながら支援方法を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員 
 ありがとうございます。リモートワークの方を対象とすると、もう少し対象範囲が広まるのかなと推測いたします。東京都の中でもせっかく江東区が一歩進んでいる状態なので、課題ばかりをあまり指摘したくはないんですけれども、対象者へ確実に情報を届けていただけるように、障害を問わず社会的資源へのアクセスが可能となりますよう、人的支援や物的支援の双方から就学や就労の支援を実施されていくことを要望し、次の質疑に移ります。
 ひとり暮らし等高齢者世帯調査について。3年に1度行われているひとり暮らし等高齢者世帯調査につきまして、令和3年度に調査の予算が上がっています。既に郵送調査や前回調査時の未回答の方への対応について質疑がありましたので、別の視点から質問をさせていただきます。
 調査対象者や郵送調査の増加以外で、平成30年度に実施した際の調査条件で何か今回のものと変更となる点があるかどうか、御説明いただけますでしょうか。

◯長寿応援課長 
 調査対象者における条件の変化ということで、今回と前回で変更する点はございません。

◯さんのへあや委員 
 条件に変更がない旨承知いたしました。
 前回の平成30年度のひとり暮らし等高齢者世帯調査報告書に、調査対象に関する項目があります。こちらの中に、対象とならない方の条件に関して、前回調査時に同居2世帯住宅の理由で調査対象者となった方という方については調査対象としないという文言があります。3年前、平成30年度の調査の際に、この理由で調査対象外となってしまった方がどれほどいるか、もしお分かりでしたらお答えください。

◯長寿応援課長 
 すみません、その方たちについての抽出のデータは、今この段階では把握しておりません。

◯さんのへあや委員 
 分かりました。この住民基本台帳上では一人暮らしとされているのに、家族と同居しているという理由だけで対象外となってしまうのであれば、例えば万が一家族から高齢者虐待を受けているといったケース、年金暮らしされている高齢の方の中に、お家に上がり込んでしまう形で一緒に生活しているケースという、ある種の高齢者虐待なんですけれども、そういったケースというのが見逃されてしまうのではないかなと懸念しております。
 過去の審査でも質疑させていただいたんですが、江東区は、敬老祝金などを送付して戻ってきてしまった、ちょっと状況が分からないといった、ちょっと心配な、連絡が取れない高齢者の方の情報というのを、今手元に持っているはずです。こういった持ち得る情報と照らし合わせて、そういった調査対象者というところを再度見直しする必要があると思うんですが、見解を伺います。

◯長寿応援課長 
 確かに前回の調査時から2年が経過して、状況が変わっている場合もあるかもしれません。今回の調査前には、住民基本台帳等により、対象外であるか、改めて確認を行いたいと考えております。

◯さんのへあや委員 
 調査直前の住民基本台帳に基づいて調査対象者を抽出されるということですので、この基本台帳上のデータというところと、江東区が持ち得る連絡が取れない心配な御高齢の方というところをしっかりと照らし合わせた上で、調査対象者を広げていただきたいと思います。
 民生委員の方の負担というのを減らす観点も必要かと思うんですけれども、やはり調査の目的の中に、江東区長寿サポートセンター、民生委員が調査で把握した情報を共有して、迅速かつ多角的に問題解決のための対応を行うというものがあります。やはり高齢者の孤独死ですとか、熱中症死を未然に防ぐには、こういった調査をきっかけにつながりを持つことがまず大切と考えます。その視点からも、広く多くの方を対象としていただき、結果を確実に施策に反映していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 保育所、病児・病後児保育事業に関する利用者負担の軽減について、それぞれのICT化に関して質疑をする予定だったんですけれども、少し時間の関係上、こちらの項目については割愛させていただきます。
 生活保護事業に関する事業に移ります。
 新たに被保護者健康管理支援事業の予算が計上されています。こちらの事業では、どのような方が対象となるのか、また、具体的にどういった支援が受けられるのか、その条件と想定している対象者数について、また、本事業によって期待される効果について教えてください。

◯保護第二課長 
 それでは、被保護者健康管理支援事業についてのお尋ねでございますが、まず、当該事業の対象者についてですが、40歳以上の被保護者のうち、生活習慣病重症化のおそれのある方で、対象者としましては30名程度を見込んでおります。
 次に、具体的な支援内容、こちらにつきましては、ケースワーカー等、福祉事務所職員による健康診査未受診者への受診勧奨、また、レセプト及び健康診査データから生活習慣病重症化予防の取組を要する対象者を抽出し、その対象者へ、専門知識と技術を持つ委託事業者による保健指導などです。
 次に、期待される本事業の効果でございますが、健康診査未受診者への受診勧奨により疾病等の早期発見と早期治療を行うことで、被保護者の健康や生活の質の向上、あるいは医療扶助の適正化につながることが期待されております。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 健康診査未受診の方や40代以上の方が対象となる旨、承知いたしました。
 既に生活指導に関しては、ケースワーカーを通じて実施されているところであるかと存じますが、やはり医療面での保健指導、生活支援に関しては、専門的知見が必要になるかと思います。
 私も社会福祉士として、区民の方から要請を受けて、江東区のケースワーカーさんとともに被保護者の方と面談に同席させていただいたことがありますが、やはり精神的な不安からくる理由で医療機関へ頻回受診をしてしまったりですとか、もしくは御自身で健康管理がどうしても難しい場合などに関して助言をしてもなかなか受け入れていただけないというケースがあると伺っております。
 ただ、先ほどほかの委員の方への答弁の中で、既に保健師と連携して医療機関への受診を勧めているとありましたが、大まかに言うと、本事業との違いは何なのか、ちょっと教えていただいてもよろしいでしょうか。

◯保護第二課長 
 そちらは自立支援事業の一環のうち、生活自立支援事業という格好で、専門的な医療、社会福祉士の資格を持つ支援員の方が、個々のケースに応じた形で通院同行であるとか、そういったことをやっております。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 通院同行ということで承知いたしました。
 先ほどの御答弁の中で、本事業における期待できる効果として、医療費の抑制が挙げられるというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、やはりこの点を見ると、生活保護費というのを全体で見ると、江東区、年間約187億円かかっています。そのうち、この医療扶助、医療費のところ、医療扶助だけで見ても89億円から90億円と伺っております。全体の保護費のうちおよそ半数がこの医療費であるということが明らかとなっています。このことから分かるように、被保護者に対して適切な健康管理を促すことというのは、増え続ける全体の扶助費を抑える上でも非常に大きな役割があると考えます。
 今後、コロナ禍がもたらす影響を受けて、生活保護受給期間の長期化、そして被保護者の増加、強いては扶助費の増加というところが見込まれるかと思います。それに備える上でも、本事業の効果として、被保護者の方々の自立支援に加えて、こういった医療費削減の効果も併せて期待しております。
 以上で終わります。

出典:江東区議会会議録