2021年(令和3年)3月3日 予算審査特別委員会

◯さんのへあや委員
 コロナ禍における情報発信の多言語化について伺います。
 おととしに発生した台風19号の災害時、さらに、去年から続くコロナ禍において、区民からの相談支援に応じてきた身として痛感しているのが、正しく身近な区政情報をリアルタイムに、かつ、あらゆる立場の区民の皆様に届けること、確実に届けることの重要性です。
 江東区はホームページの更新や、SNS等を活用した情報発信に積極的に取り組まれてこられましたが、惜しいと感じている点が1点ございます。それはPDFファイルのまま、情報が掲載されているケースが多々見受けられることです。例えば、住居確保給付金事業に関する紹介ページ上には、主な事業概要等は文章で掲載されておりますが、申請された書類不備に関する解説はPDFページとして掲載されており、多言語の翻訳、あるいは、やさしい日本語への翻訳が難しい状態となっています。PDFファイルには読み上げ機能が附帯されておりますが、翻訳には適しておりません。また、PDFの掲載内容は検索エンジンの優先度が低く、情報として見逃されてしまうケースも考えられます。
 そこで、区報発行事業のうち、令和3年度より江東区ホームページに区報をHTML形式で掲載し、多言語自動翻訳機能等へ対応するための新たな予算が計上されています。情報発信におけるHTML化の必要性に関して、議会でたった1人要望してきた身として、本事業の予算化は非常に喜ばしく思います。
 そこで、本事業のHTML化対応がどのようにして行われるのか。加えて、検索エンジンの最適化、いわゆるSEO対策について、どのような取組を併せて行うのか、改めて事業の仕組みと、また、HTML化以外のところでもどのような情報発信に取り組まれていくのか、江東区として望む展望についてお伺いします。

◯広報広聴課長
 まずは、今回の区のHTML化をどのように行うかという御質問でございます。
 区報のHTMLということについては、先ほど簡単に御説明させていただいておりますが、PDFで現在も掲載しておりますが、こちらについては、言ってしまうと、写真のイメージと言いますか、システム上からは文字として認識ができないものですから変換ができないというところでございます。ですので、通常のホームページに載っている文字と同じような形で区報も載せるというのは簡単な話になりますが、この作業は今、印刷、デザインを委託している事業者のほうに、文字として納入していただく形で、併せてHTMLのタグも入れて納品していただいて、区のほうで、それをホームページに再編集して載っけるという作業を通じて、区報の発行日にはPDFと併せて、HTMLの形で表示できるというようにしたいと考えております。
 これをやることによりまして、PDFというのは書籍ですとか、そういった読むというものですとか、あとは書式が固まっていて、様式が固まっていて印刷するようなものであれば向いておりますけれども、HTMLですと画面をスクロールしながら見られるということなので、どちらかというと見やすくなるという形かと思っています。
 これらのSEO対策というところでございますけれども、SEO対策というのは、今、お話がありましたけども、検索エンジンに、言ってしまうと、グーグルの検索結果に、なるべく上位に来るようにするという形の対策ということかと思います。グーグルは検索結果を表示するためのアルゴリズムは、具体的には公開していませんので、どのように区の区報、今回、追加しても、どう表示されるのかというのは、実際分からないところはあります。
 ただ、グーグルのほうでは、ウェブの管理者向けにアドバイスと言いますか、情報を定期的に提供していますので、これについてはホームページを管理しています事業者と、都度対応しているというところです。具体的な対策と言いましても、区のホームページについては、専用のシステム、業者のほうで作っているシステムで作成している関係で、システムの機能に依存してくるところがございますけれども、先ほど言いましたように、グーグルから定期的に提供される情報に基づいて対応するということと、あとは、ページ作成の基本であります、タイトルのタグとか見出しのタグというのは、グーグル検索上、設定されていないと上位に行きませんので、これは確実に設定していくというところについては、職員向けの研修などで周知していきたいと考えております。
 これ以外の情報発信というお話がありましたけれども、先ほどさんのへ委員からもお話がありましたが、様々な媒体で情報発信、提供を行っておりますので、今回、区報のほうがHTML化されますと、今もSNSで区報が発行されましたという御案内をしていますけれども、発行しましたというお知らせからHTML化されることによって、その中の記事に対する案内というのが、もう少し具体的にできるのではないかと考えています。PDFですと、1面ですとか2面ですとか、そういう単位で御案内できるとしても、その中の記事までは御案内できませんでした。今回、HTMLで納品されて、それらの作り方、ページの構成、後はタグの構成を工夫することで、SNSから具体的な記事を案内するとか、そういったことが活用できるのではないかと考えているところでございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員
 ありがとうございます。まずは、広報広聴課において、区報発行事業にHTML化を活用していただき、その効果や、どのような場面でアクセス数が増えたなどの分析の上、そのノウハウを全庁的な多言語化対応に生かしてほしいと考えております。
 HTML化は事業者に委託されるとの御答弁でしたが、これはHTML化だけではなくて、ウェブサイトの制作というのは下請、さらに孫請けの構造が起きやすい事業であります。新型コロナウイルス接触確認アプリ、COCOAの不具合も、発注金額の94%が再委託された孫請構造になっていたことから起きたと言われています。区報の更新はリアルタイムでのHTML化が必要になることは重々理解しております。その上で、委託が必要になるということも承知いたしました。
 しかしながら、それ以外の情報、例えば、長期計画ですとか、先述した給付金等申請書類の詳細な説明などに関しては、講習の機会があれば、十分に職員間で、職員の皆様でもHTML化というところは十分対応できるものと考えます。職員が自らウェブサイトを制作、また更新に携わることによって、より素早く正確な情報を区民に届けることができると考えております。また、区報発行以外のほかのウェブ発信にも好影響があると考えます。
 職員のウェブ制作、こういったHTML化などのスキル向上について、江東区としてどのように取り組まれていくか、御計画があれば、少しお答えを願います。

◯広報広聴課長
 ウェブページの職員での対応というところでございますが、基本的なお話でありますけれども、区のホームページの一つ一つは、基本的には区の職員が作っております。これは先ほど申し上げたCMSというシステムを介しまして、職員が作成しているというところでございます。
 御指摘のありました、PDFを添付することで若干不便と感じられる方もいるというところでございますけれども、一般的に行政の場合ですと、紙媒体での広報というのが中心的な部分もありますので、各職場では、資料作成は紙から始めるというところがあります。その紙の内容を課ですとか係の中でしっかり、区民に対して伝わるのか、分かりやすいのかというのを吟味した上で、ウェブページの制作にかかるというのが一般的です。
 そういう流れからいきますと、内容をしっかり調整されて、精査されたPDFをホームページに説明用として添付するというのは理にかなっている部分もあるのかとは考えています。ただ、御指摘のように、不便と感じられる方がいるというところでございますので、これについては、職員に技術的な研修というのは毎年やっておりますので、技術的な対応というのは問題ないのかなと。ただ、こういったケースがあるんだということを、区民からも声があるんだということを知ることで、それを知ることで適材適所なPDFの使い方というのを各職員が考えることが必要かと思いますので、これらにつきましては、先ほど申し上げた職員への研修、それは操作研修が中心になりますけれども、今のような事例もあるんだということを紹介しながら、個々の職員が対応できるような形の対応をしていきたいと考えております。
 以上です。

◯さんのへあや委員
 ありがとうございます。区民の貴重な税金を効率的、かつ多くの方、いろいろな立場の区民の方がいらっしゃいますので、そういった方を対象とした情報発信に使っていただけるよう要望し、質問を終わります。

出典:江東区議会会議録