2023年(令和5年)2月22日 予算審査特別委員会

◯さんのへあや委員  
 誰も取り残さない防災対策として、1点目、音声版ハザードマップ作成について伺います。避難行動要支援者への個別計画策定と合わせて、かねてより視覚障害者用のハザードマップ整備を求めてまいりました。令和5年度に、初めて音声版ハザードマップ作成が予算化されましたので、3点伺います。
 点字ではなく、音声版の作成に至った経緯について。また、現在江東区では、3種類の水害ハザードマップ及び江東区洪水高潮ブックレットを作成していますが、ブックレットの音声版も作成予定なのか。また、音声版として、どのような媒体を通じて配付をされる御予定でしょうか。

◯河川公園課長  
 本区では、水害ハザードマップを全戸配布するなどし、水害リスクの啓発に努めておりますが、一方で、紙での情報のやり取りが難しい、目の不自由な方への情報提供が不十分であるという課題がありました。そこで、障害者支援課、社会福祉協議会、視覚障害者福祉協会へのヒアリングを行ったところ、ハザードマップを音声化し、読み上げる音声版のハザードマップの要望があったため、これを作成し、必要としている方へ配付することといたしました。お尋ねの音声版のハザードマップにつきましては、3種類のハザードマップ及び洪水高潮ブックレットに記載している内容を読み上げたものを想定してございます。また、音声版の区報を配付している約120世帯につきましても、CDまたはデイジー版といった配付を考えてございまして、併せてホームページでの公開もしたいと考えております。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 ありがとうございます。私も、視覚障害をお持ちの方に、この事業の予算化に伴いヒアリングを行いました。場所ごとの情報を、やはり全て点字化して、それを読み取るというのが非常に困難であり、必要な情報に素早くアクセスするという観点では、音声版の作成が、非常にありがたいとおっしゃっていました。
 ただ、事前に何度も読み直すことを想定すると、ブックレットのほうは、点字版の作成を、ぜひ御検討いただきたいということでした。作成に当たって、既に当事者の御意見というのを聞いていただいていることかと思うんですけれども、今後、デモ版などを御作成いただいて、さらに当事者の方の意見が反映されるなどの予定はありますでしょうか。

◯河川公園課長  
 実際に利用されている視覚障害者の方々の御意見を反映したものを、作成していきたいと考えております。既に協会の方とはコンタクトを取っておりますが、さんのへ委員のお話にありました、そもそもハザードマップはどういうものなのですかとか、浸水の深さを、それぞれ町名ごとに読み上げていただくと助かりますとか、そういったこともお話は伺っているところでございます。試作品ができ次第、協会の方ともやり取りしながら、障害者の方に寄り添った、分かりやすい音声版のハザードマップを作成していきたいと考えてございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 ありがとうございます。お隣の江戸川区は、音声版のハザードマップに加えて、江戸川区障害者の防災マニュアルというものを作成されています。障害種別ごとに、障害に応じた対応に加えて、災害時避難のための個別避難計画の作成、記入例なども掲載されています。必要な情報が適切に届いていると感じておりますので、音声版ハザードマップの作成に加えて、江東区として、こうした地域防災計画ですとか、広域避難、避難確保計画をどのように踏まえて盛り込むのかというところをお聞かせください。

◯河川公園課長  
 ハザードマップのそもそもの目的につきましては、本区の地盤特性である低地を意識しまして、どう避難行動に結びつけていくのかということが重要となりますので、現在、改定中の新たな地域防災計画を踏まえて、防災課とも連携しながら、分かりやすいハザードマップの周知・啓発を図るとともに、地域におきます避難行動要支援者への避難支援、それから要配慮者利用施設が策定します避難確保計画につきましても、連携をしながら、分かりやすいハザードマップにつなげていきたいと考えてございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 ありがとうございました。
 次に、防災ギフト配付事業について伺います。既に多くの委員から質疑がありましたので、限りある税金を、より効果的に活用していただきたいという視点から、何点か確認をさせていただきます。
 江東区では、東京都葛飾福祉工場を通じて申し込む、27種類の防災用品を対象とした、あっせん事業を既に実施していますが、こちらの実績を踏まえて、今回のギフト配付事業の実施に至った経緯を教えてください。

◯防災課長  
 あっせん事業に基づいた実績ということでございますけれども、福祉工場を通じてあっせんをやっていまいりましたけれども、なかなかあっせんの実績というのは上がっていないというのが、実際のところでございます。そういった点からも、プッシュ型といいますか、こちらからこういうカタログという形で提供することで、自ら主体的に選んでいただくという取組が、自助の備えの促進には必要だろうと考えたところでございます。

◯さんのへあや委員  
 防災ギフト配付事業では、コールセンター設置のほかに、相談申込み窓口を、総合区民センター、文化センター、豊洲シビックセンターの3か所に開設するとのことです。カタログでの申込みが困難な区民が対象とされていますが、具体的にどういった方の窓口利用を想定されているのか教えてください。

◯防災課長  
 相談窓口の位置づけということでございますけれども、特にどの方を対象としたという意味は、あまり考えてはございませんで、先行するような自治体との取組を考えながら、ある程度の場所で、何でも相談を受け付けるような窓口は必要だろうというところで、今回は、3会場を設定したところでございます。

◯さんのへあや委員  
 防災ギフト配付事業業務委託の仕様書では見つけられなかったのですが、外国人の対応は想定されておりますでしょうか。

◯防災課長  
 御指摘のとおり、外国人の対応というのは非常に重要だと考えてございます。調べますと、現在3万人強の方が区内にお住まいということで、また区の調査によりますと、外国人の方の備蓄というのは、日本人よりも進んでいない。また、避難所の認知度も低いということが分かっております。このカタログギフト事業を通じて備蓄物資を届けること、または啓発を行うというところでも、重要かと考えてございます。これから外国人対応については、事業者等との協議で検討していくことがございますけれども、具体的な方策として考えられるのは、分かりやすい日本語を用いることですとか、専用サイトの多言語化、また先ほどの窓口やコールセンターでの多言語対応というのが考えられまして、今後は検討してまいりたいと考えてございます。

◯さんのへあや委員  
 ありがとうございます。おっしゃっていただいたように、2023年1月末時点で、外国人の住民数は3万3,670人。この中でさらに外国人のみがお住まいの世帯数というのが、区内で1万7,261世帯とのことです。配付予定の29万世帯のうち、5%程度を占めることからも、引き続き外国人対応について御検討いただけますと幸いです。
 カタログギフトの特徴として、交換期限が設けられているかと思いますが、交換期限を過ぎたものや、未申請に対する予算の使い残しですとか、払戻しというのは、本事業では発生するのでしょうか。

◯防災課長  
 予算の使い残しということですけれども、もし申請いただけなかったという分については、経費はかからないということにはなります。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 分かりました。単純計算ですが、29万世帯へ5,000円相当の防災品を配付するのに、1世帯当たり7,200円の予算がかけられています。純粋な経費でいうと、1世帯当たり、およそ2,200円、全体で6億円以上の経費となっています。100%の実施を期待するものではありますが、もし29万世帯全員からの申込みというところが、どうしても確約が難しいというところであれば、私は、現在実施しているあっせん事業の案内を、より積極的に周知したり、手挙げ方式で、必要な方から申請を受けて、カタログギフトを配付するという方法もよいのではないかと思います。
 私は先月、防災士の資格を取得しました。この場にも、何名か防災士の資格をお持ちの理事者の方や委員の方がおられるので、既に御承知のとおりかと思いますが、防災士教本によると、地震・津波への備えとして、まずは災害時の対応方法など、災害時のルールを、家族や個人で定期的に確認し合うことが大切であると明記されています。
 阪神淡路大震災で、家屋倒壊で圧死した方の9割は発生後15分以内に、東日本大震災は、発生から1時間後に来た津波で、多くの方が亡くなられています。特に地震発生後は、まず15分から1時間を、確実に生き残ることを最優先にしなければなりません。備蓄物資を使って自力で生活するのは、あくまでもその次の段階です。区民の皆様に備蓄物資を配付するだけでなくて、まずは、身の安全を確保するための情報をしっかりとお伝えいただき、高い税金を支出するにふさわしい効果的な事業となるよう強く要望し、質問を終わります。

出典:江東区議会会議録