2020年(令和2年)11月30日 予算審査特別委員会

◯さんのへあや委員  
よろしくお願いいたします。
在宅要介護者支援事業について、障害者福祉、高齢者福祉、それぞれの分野にまたがり質疑をさせていただきます。
体の不自由な高齢者や重度の障害者とともに生活する家族が新型コロナウイルスに罹患した場合、入院等で隔離せざるを得ない状況が発生します。その際、当事者が1人では生活できない状況で、濃厚接触者として2週間、自宅で過ごさなければなりません。本事業はこういった状況に対応するための支援と伺っております。この事業を実施するためには、要介護者の状況により、看護師、介護士、保健師といった資格を持つヘルパーが、日中や夜間に当事者宅を巡回する必要が生じます。
質問の1点目は、どのような有資格者がヘルパーとして充てられるのかについて伺います。
2点目は、既に要介護者が定期的な居宅介護を受けている場合、どういった調整がなされて、本事業の対象となるのかどうか。
3点目は、新型コロナやインフルエンザの感染拡大などにより、本事業における想定を上回る需要が発生した場合、どのように対応するつもりなのか。3点、お聞かせください。

◯障害者施策課長  
まず、1点目のヘルパーの資格でございますけれども、高齢、障害、共通してお答えいたします。
ヘルパーにつきましては、法定のサービスである高齢者であれば訪問介護事業所、障害者であれば居宅介護事業所で従事しているヘルパーということになりますので、特に国家資格というところまで必要ではないですけれども、一定のヘルパーになるために必要な資格を有する必要がございます。
次に、既存の訪問介護等のサービスを受けている方が本事業の対象となったときの調整ということでございますけれども、まずは、利用者、いわゆる要介護者の方に支援している、高齢で言えばケアマネジャー、障害で言えば相談支援専門員と、サービスの調整をしていくことになります。
具体的には、今まで使っていたヘルパーの内容、身体介護や家事援助、それから、回数、時間と、介護者がいなくなって在宅生活を継続しなければいけない時に必要なサービスの量や内容というものを、専門員、ケアマネと調整をして、追加的に必要になるヘルパーの回数を本事業で対応していくということになります。
3点目、予想を上回る状況が発生したときの対応でございますけれども、本事業につきまして、例えば、障害者のほうでいきますと、年度末までにお二人の方が発生するという想定で予算をお願いしてございます。それを上回るような方がこの事業を必要とする状況が発生した場合には、当然対応していかなければいけないことになりますので、財政課等とも調整しながら対応を図ってまいります。
以上でございます。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。
先ほど、相談支援専門員の方も含めて、そういった調整を行っていくということで御答弁いただいたんですけれども、本区においては、相談支援専門員の方の数が足りておらず、セルフプランで御自身のサービスを決めているという方もおられるので、そういった方に対しても、そういった専門員の方がいなくても、当事者の方と一緒に相談できるような体制の構築をお願いいたします。
在宅要介護者支援事業は、要介護者、つまり、当事者だけではなくて、その生活を支える御家族の支援としても大変有効であると判断しております。しかし、当方のもとには、相変わらず、対施設、対事業所のみならず、在宅で介護や支援を行う家族ケアラーの支援を求める声が多く届いております。
一般社団法人日本ケアラー連盟の調査によりますと、昨今のコロナ禍において、多くのケアラーが、介護負担とともに疲労とストレスが増して疲弊していることが分かります。主な要因として、臨時休校や介護支援サービスの休止、利用自粛が挙げられ、介護時間が1日当たり平均で5.7時間増という結果が明らかとなりました。これは、家族の支援ありきで、家族依存のまま地域生活支援を推し進めた結果と受け止めております。
また、障害者、高齢者のみならず、ひきこもりの方への支援としても、本事業の必要性を感じております。江東区において、満40歳から満64歳までのひきこもりの方は、少なくとも2,700名いると推測されます。こういった40代、50代、60代のひきこもりの方を世話している方が新型コロナウイルスに罹患してしまった場合は、ひきこもりの方に対して、誰がどのような関わりを持てるのかを危惧しております。
最後の質問となりますが、このような家族依存を減らしていくために、誰が、どのように、どこで判断をすれば、本事業の利用対象となれるのか、全区民が明確に分かる基準の制定とその宣伝が必要と考えますが、江東区のお考えを伺います。

◯障害者施策課長  
障害分野についてお答えをしていきますけれども、それが高齢分野にも通じることになりますので、そう受け止めていただければと思うんですが、本事業の流れとして、まずは、支援をしている相談支援専門員や家族、通っている施設があれば通所の施設、または、コロナ等が発生した場合に発生届が行く保健所等から、そうした介護が必要となった障害者についての情報が届くと考えてございます。その上で、担当の相談支援専門員が御本人や家族等と相談の上、ヘルパーの介護事業所と提供するサービスの内容の調整を行っていくと。
先ほどさんのへ委員御指摘のように、障害のほうでは相談支援専門員がついていないセルフプランの方がいますので、そういった方については、区の職員、ケースワーカーが調整を行うことで、漏れなく在宅の生活を継続できるように支援をしていきたいと考えてございます。
以上です。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。
本事業が、新型コロナ禍で疲弊する家族ケアラーの最大の懸念である、自分自身が感染した際の対応を支援できるものであることを願い、次の質問に移ります。
次に、インフルエンザワクチンの無償化について伺います。
WHOはインフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行を警告し、インフルエンザの予防接種を積極的に受けるよう推奨しております。江東区は本年度に限り、65歳以上の方、60歳以上65歳未満の方のうち身体障害者手帳1級で、心臓、腎臓、呼吸器の機能、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害を有する方、並びに生後6か月から小学校2年生までのこどもを対象に、インフルエンザワクチンの公費助成を実施しました。
実施が決定された当初は、医療機関や対象となるこどもを持つ保護者の方より様々な御意見を頂戴いたしましたが、私は個人的に、本事業は国の通知に沿う形で、江東区がベストを尽くそうとした施策と評価しております。
1点目の質問は、江東区として実施に至るまでの経緯や、区民や医療機関からどのような御意見が寄せられたか、また、医師会とのやり取り等の中で課題に感じられたことがあれば、お示しください。

◯保健予防課長  
さんのへ委員が述べられたところもございますが、例年10月から、高齢者のインフルエンザは定期予防接種として実施してきたところでございますけれども、今般、コロナウイルス感染症禍において、コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行を見据えまして、高齢者、あるいはこどもの重症化リスクを軽減するために、予防接種を受ける際に要する実費負担を無料化するということを行ったところでございます。
実施に当たりましては、東京都の補正予算で成立したインフルエンザ予防接種特別補助事業を高齢者は活用しまして、今年度に限り、自己負担額を無料としたものでございます。また、こどもにつきましては、区独自事業といたしまして、これも感染症学会の提言の下、国が接種を推奨する6か月から8歳、小学校2年生までのこどもにも今年度、自己負担額を無料としたところでございます。
区民、それから医療機関等々からの声でございます。こうした決定、それから、9月11日付の厚生労働省からの事務連絡を受け、実際、検討に入ったところでございます。接種開始が11月からとなったところもあり、対象者への個別通知等、事務作業がぎりぎりの対応となり、10月中に予約を取られた方でありますとか、あるいは、実際、予約をしようとされてもなかなか取りにくいという状況を、区民からもお伺いするところになったところでございますけれども、医療機関の協力等を得て周知に努め、接種いただいているところでございます。
以上です。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。
確認をさせていただきたいのが、本事業の実施に当たって、今おっしゃっていただいた目的である高齢者のインフルエンザワクチン接種率の向上についてです。インフルエンザワクチンの量が限られている中で、必要な方へ適切な時期に接種を促すために、高齢者の方は10月から、こどもは11月からと、助成対象となる接種期間を区切られました。
インフルエンザの流行で最も懸念されることは、インフルエンザと新型コロナの初期症状が同じであり、区別がつかずに医療機関が混乱してしまうことです。そのために、新型コロナで重症化しやすい高齢者のインフルエンザワクチンの接種率向上は、ツインデミックを防ぐためにも最も重要な課題と捉えております。
そこで、10月の高齢者のワクチン接種率や昨年同時期と比較しての変化など、具体的な数字が分かればお答えください。

◯保健予防課長  
10月から始まりました高齢者、11月からこどもの接種が始まりましたけれども、直近の10月のデータがやっと出てきたところでございます。
10月の実施状況でございますけれども、およそ5万人に接種いただき、昨年同期、昨年の10月に打っていただいた高齢者の予防接種と比較いたしますと、およそ2.9倍に当たる方が、効率的にというか、医療機関の御協力もあり、受けていただけたところでございます。順調に優先接種者が接種いただけたと考えておるところでございます。
以上です。

◯さんのへあや委員  
ありがとうございます。
昨年度と比較しても10月は高い接種率であったことは、本事業の狙いであった効果が出ているものと思われます。
しかしながら、江東区には65歳以上の区民の方だけでも、現在11万2,756名おられます。接種率で見ると、高齢者の方で現時点で大体50%程度となっていると推測します。
最後になりますが、特に会社や職場といった場がない高齢者にとって、予防接種を医者まで出歩いて受けに行くという苦労をどうしても伴います。接種率が低下することは、集団免疫が形成されない危惧に直結いたしますので、ワクチンの無償化だけで接種率100%を目指すというのはどうしても難しいと考えております。
高齢者の接種率向上の実施に至るまでの経緯と課題を明確にした上で、具体的施策につなげることが必須と思います。江東区として、例えば、最寄りの集会所で受付時間を割り当てた上で、インフルエンザワクチンを接種できるようにする、接種しなかった人に対して理由を調査する、接種率の高い自治体の施策を調査するなど、接種率向上のために無償化以外での具体的施策を行ったか、もし行う予定があれば、その予定についてお伺いします。

◯保健予防課長  
国も推奨するような対象者、高齢者がそうでありますけれども、こうした方々のできるだけ多くの方にきちんと予防接種を打っていただくのは大変重要なところでございます。
そういう意味で、江東区は個別通知をお送りして、周知、啓発、接種が大事であり、受けてくださいという周知を様々な機会で行っておりまして、そうした中で努めておるところでございます。

◯さんのへあや委員  
終わります。

質問数:6

出典:江東区議会会議録