はじめに

本日2026年3月2日、東京都交通局は公式HPで以下の通り発表しました。

都営バスは乗務員不足により、複数系統の運行休止・運行パターンの休止・深夜バスの休止等を実施する
(令和8年3月29日・31日付で複数の路線・深夜運行が対象)

今回の改定では、乗務員が約40人不足する見込みであることを背景に、江東区における複数の路線が改定となり、利便性低下が危ぶまれています。

【廃止】深夜13系統(東京駅〜有明一丁目)
限られた乗務員を日中の運行に回すため、深夜の足も失われます 。

【廃止】錦22系統(臨海車庫〜東陽町駅前〜錦糸町駅前)
委託先の人材確保が困難なため、路線の維持を断念したとのこと。

一部休止・減便陽12系統(東陽町駅前〜豊洲市場・東京テレポート駅前)
豊洲市場への朝の運行は維持されるものの、土休日の東京テレポート行きなどは「利用者が少ない」として休止・減便となります。

【廃止】木11乙系統(東陽町駅前〜潮見駅前)
平日の通勤・通学を支えてきた路線ですが、損益額がマイナス8百万円であることを理由の一つに、運行を終了します 。

これまで私は一般質問等の場において、小池都政が力を入れているオーバーツーリズムに伴う都営バスの積み残し問題を取り上げてきました。

その結果、実際に過去2度にわたる都営バスの増便を実現することができましたが、一方で、その運行を支える運転手不足という構造的課題が解消されないままである事が浮き彫りとなりました。

「お金の問題ではない」は本当?

先日公表された「ドクターヘリ休止」のニュースに対して、X上で発信したところ

「整備士不足・運転士不足は構造的な人材不足であり、お金では解決できないからとの予算は関係ない」

というリプライが数多く寄せられました。しかし、これは行政内部の実務を知らない議論です。

ツイート上でも述べている通り行政予算は、単なる支出計上ではなく政策の優先順位の表れです。
以下、都営バスの運転手不足に併せて解説します。

論点①「価格」が合わなければ供給は途絶えます

あらゆる専門職の不足は、その労働の価値(給与・休日・福利厚生)が、責任の重さやリスクに見合っていないことから生じます。
現在も募集年齢を50歳未満に引き上げたり、週3日勤務を新設したりする「工夫」はされていますが 、そもそも成り手不足を劇的に変えるレベルの処遇改善をしようとする試みが、予算編成上、見当たりません。

論点②都の政策の優先度合いにおける都営バスの位置付け

実は、小池都知事就任以降、”新規事業”や"部局の編成"が相次いでいます。
我々地域政党 自由を守る会としても、あらゆる場面で新規事業の内容と予算の妥当性について審議して参りました。
ちなみに、令和8年度の新規事業予算は、合計657件、約1,999億円にのぼります 。

こうした新規事業に投じられる数千億円の一部を、既存インフラの「維持」と「現場の処遇改善」に回せば、離職を食い止め、新規採用を促す強力なインセンティブになると考えます。

過去に、「なぜ定年を待たずに離職してしまうのか」という点について理事者に確認したところ、「タクシー運転手の方が処遇面で条件が良く、転職してしまうケースがある」との説明を受けたことがあります。

実際にどの程度の処遇差が存在するのか、その具体的な実態についても含め、今後継続して調査・検証していきたいと考えています。

また、これだけ深刻化してしまったバスの運転手不足ですが、もちろん都は予見していました。
そのため、交通局の令和8年度予算案には、運転士の定着支援金として年間12万円の支給が計上されています(運転手1人あたり) 。

東京都は都営バスの運転士不足を「予算措置で対策すべき課題」と認識しているからこその定着支援金ですが、果たして年間12万円程度の追加支給で人材が集まるのか?という疑問が生まれます。

こうした金額の妥当性と効果を含めて審査するのが都議会であり、最低限の定着金と操業を維持するための最低限の対策では人材確保は困難という点で意義を唱える必要があります。

【注記】本ブログでは、例示としてドクターヘリ操縦士や都営バス運転手の人材不足に触れていますが、これらに限らず、保育や福祉に携わる方、教員をはじめとする多様な職種における処遇改善についても、これまでも議会の場で継続的に提案しているところです。

メンっ!と総括

東京都は、何を優先する行政なのか。都の税収が過去最高を更新し続ける一方で、都民の命を守るドクターヘリを飛ばせなくなってしまうことや、行政の基幹事業の一つともいえる公共交通を減便させたり路線廃止せざるを得なくなってしまったの理由を、私たち都民はよく考えなければなりません。

予算編成は本来、現場の声を吸い上げて作られるものです。
しかし、2,000億円近い新規事業予算がありながら、既存バス路線の維持すらできない現状は、都庁内部で「何が重要か」という優先順位の考え方が、都民と乖離していると言わざるを得ません。(本日発表された本件について、既に多くの都民の皆さまからの問い合わせが入っております)

「予算は現場から」と言いながら、実際には現場における人材不足を、IT化や自動運転など聞こえの良い政策で誤魔化し、最後は「不採算」や「人手不足」を理由に切り捨てる。これが首都・東京の現状です。

行政の価値判断は予算に表れます。議員として、今まさに行われている予算審査でも、その問題を追及しますが、同時に、こうした予算案を出してしまう構造的な問題の解決を求め、都民の皆様の想いを東京都に代弁してまいります。

本件について、東京都に対し思う事・ご意見は都民の声として是非東京都にお寄せ下さい。
都民総合相談窓口はこちら

さんのへ あや

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