私、さんのへあやは、地域政党自由を守る会を代表し、知事提出の第164号議案に反対、その他の知事提出議案に賛成の立場から討論を致します。
先ず、知事提出議案第164号水道基本料金無償化に係る補正予算についてです。
今夏に想定される猛暑と熱中症への対策として、知事は水道基本料金四ヶ月分を無償化する方針を突如として発表しました。
本施策が四ヶ月間にわたって生活費をわずかに抑えられる点は否定いたしませんが、都の減収はおよそ368億円に登ります。
その「猛暑と熱中症への対策」の中身と有効性はどのようなものでしょうか。
都の説明によると、都民負担の軽減額は、4ヶ月間で一般家庭1世帯あたり約5,000円とのことです。
この額の根拠を、都はエアコンを1日1時間長く使用した場合の電気代(月約1,000円)」を4か月分まかなえる額としていますが、「水道基本料金の無償化がエアコン使用の促進につながる」または「エアコンを1日にあと1時間更に長く使えば熱中症が防げる」といった因果関係は全く説明されず、そのような調査データや学説は存在しません。
主たるコストである従量制の電気料金支援がない中、行動変容が促されるとは考えにくいです。さらに、冒頭に述べた368億円の減収に加え、一時的なシステム改修費は7,000万円とされています。巨額負担を費やしても、熱中症による救急搬送・重症化・後遺症・死亡を防げるという費用対効果は示されておりません。また、都民を真に熱中症から守りたいとの政策意思ならば、本来、当初予算に組まれるべきなのに、選挙直前になって拙速に提案するプロセスは異常であり、都民の血税が有効に使われるのか疑義を抱かざるを得ません。都が、物価高騰に喘ぐ都民の気持ちを顧みず、あろうことか、それを利用して、都民への生活支援を隠れ蓑・大義名分に“選挙対策の「バラマキ」”を行っているものだと断じます。
次に、ODAIBAファウンテン事業に関連し、環境・衛生面における懸念を申し上げます。
私は都議として唯一、お台場海浜公園に建設予定の世界最大級の噴水「ODAIBAファウンテン」事業における水質基準や根拠法令につき指摘してまいりました。海水や循環水を用いた演出により、最も避けなければならないのが、レジオネラ菌であることを先の一般質問で述べました。先日、大阪・関西万博において、海水を使用する噴水ショーが、基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたため中止されたと報道がありました。
まさに、都が進めるODAIBAファウンテン事業においても、同様のリスクを感じた都民の不安は拭えないにもかかわらず、同事業の汚水対策・循環設備・メンテナンス体制などを、一切都は明らかにせず、私が先日行った情報開示請求でも、全て不開示でした。明白な水質管理基準がないまま巨額の予算が投入されるのは極めて問題で、都民の安心・安全よりも、見栄えや話題性が優先されている印象・懸念を否めません。
誰がこの噴水を必要としたのか、なぜ会場のこの場所に、いかなる経済効果を期待して建設されるのか。その意思決定プロセスを明らかにすべく、私は令和3年から令和5年度に実施の「臨海副都心における来訪者等実態調査報告書」を公開請求し、分析しました。「より魅力的なまちに必要なもの」という設問に対し、来訪者の回答で最も多かったのは、令和3年度は「自然の景色を楽しめること」、4年度は「おしゃれな街並みを楽しむ」こと、5年度は「イベント」に次いで「自然の風景を楽しめること」が多数を占め、新設が求められている施設も、商業施設やカフェ・レストランが多く、水族館や美術館などの学習施設が上位に挙げられていました。
小池知事。お台場に噴水を設置する事を、来訪者は望んでいないのに、なぜ噴水ありき のにぎわい創出なのですか。これは東京都のエゴではないですか、強く疑義を呈します。
最後に、先日東京の合計特殊出生率が0.96に落ち込んだとが発表されました。
合計特殊出生率は、若い女性が流入する都市部において特に低くなる傾向があるとされているため、都として、率が低いことを、行政側としても、問題視しなくなってしまったのではないでしょうか。
都は今年度予算に、出産や子育てを支援すべく子ども政策に総額約2兆円余りを計上しています。危機的な少子化に瀕する日本において、議員からすると子育て政策は疑義を呈しにくいものであり、云わば金科玉条です。
子育て政策の効果測定に、様々な指標を用い始めると、金科玉条たる子育て政策にかこつけて、曖昧な目標・疑わしい効果の事業を、特定の事業者に委託させたり中抜きさせられるようになります。
例えば、都知事選直前に突如として発表し1,200億円もの予算を計上した018サポートは、担当の事務準備が整わないまま推し進められた結果、誤送付・誤配が相次ぎ、生活保護世帯への支給漏れや、子ども1万人分の過支給等、大量の事務ミスが発生し、対応に、多くの都民の税金が浪費された上、未だに誤配損失額は私たち会派が公開請求を続けても明らかにされておりません。
かつて小池知事は、「都政はエピソードベース、経験則らエビデンスベース、客観的データへと転換すべきだ」と主張されました。私も強く賛同するもので、子育て政策のみならず、公共政策は、具体的な数値や指標をもって立案・実施・評価されるべきです。
しかしながら、かつて都は掲げていた合計特殊出生率2.07を長期計画から削除しました。「成果の物差し」たるベンチマークを自ら放棄してしまえば、それは主観と雰囲気に頼った“エピソードベース”のふるい都政に逆戻りしてしまいます。
都政が今後とも「少子化対策」を真剣に真摯に推し進めるのであれば、説明責任から逃げず、数値目標・指針を曖昧にせずに都民と共有していただきたいのです。
しかし、だからこそ、その東京が合計特殊出生率を上げる為に効果的な政策展開を追求し続ける必要があると考えます。
そしてその取り組みの効果を測るのは、客観的数値に裏付けられたエビデンスに他なりません。
私は子育て支援に係る施策の所得制限の撤廃を国や都に訴え続けて、児童手当などにおいて所得制限の撤廃が実現しました。引き続き、障害児(者)支援に係る所得制限の撤廃に取り組み、当事者である都民の声に真に応える政策の実現を希求し活動してまいります。
同時に、未来世代に責任を持ち、私たちの子どもたちにツケを回すようなバラマキ政策を許さない姿勢で、エビデンスベースの都政運営を求めてまいります。
育児支援策の大半に所得制限が設けられている現状では、経済活動の中軸となる中間層の多くが取り残されてしまいます。制度の隙間に取り残されている人々にこそ、支援の光が届くよう、抜本的な改革が必要です。都がこれまで行ってきた政策について、効果検証がなされているのか、都民の実感と乖離していないか、今一度真摯に見直すことを求めます。
以上のとおり、都が掲げる政策の中には、他団体より豊かが故に財政規律や効果検証を欠いた場当たり的なバラマキ、意思決定プロセスの不透明さ、効果検証なき子育て支援といった根本的な課題が横たわっています。私たち地域政党自由を守る会は、都政の情報公開と説明責任を徹底し、「都民が本当に必要なこと」に血税が使われる都政改革をこれからも粘り強く訴えてまいります。それこそが、本来の「東京大改革」です。
以上の各指摘について、小池知事においては、登壇者によって態度を変え、メディア報道先行で打ち出し、執行部局に後始末や無理な理由づけをさせ、甚だしい議会軽視と理事者を苦しめる独断専行を改め、当たり前の首長たる知事の職責・職務を果たすよう、都民のための都政運営を求めるものです。
税金の無駄遣い、利権、癒着、裏金を許さない!ありとあらゆるしがらみと一線を画し、権力に決して屈せず忖度しない、東京で唯一無二の地域政党自由を守る会として本定例会に提案された各議案への討論を終わります。