はじめに
本日2月10日(月)、ODAIBAファウンテンに関する文書質問の回答が公表されました。
※文書質問とは…東京都議会会議規則第九章第八十四条に定められている質問手段の一つで、議員は会期中、執行機関等に対し文書で質問することができるとされています。但し、一般質問とは違いその回答が公表となるまで時差が生じます。
今回は世間を賑わせている都議会自民党の裏金問題により議長が辞職した事による臨時会(議長選挙)が行われたため、その日に併せて文書質問回答が公表となりました。
これまで私は情報開示請求を駆使してODAIBAファウンテン事業の不可解な意思決定プロセスを明らかとする為に調査を進めておりました。
詳しくは下記の過去ブログをご参照下さい▼
今回の文書質問を通じて、私は「海上に世界最大規模の巨大噴水を設置する事による水質や周辺環境の配慮について都として説明責任を果たす必要がある」と考え、①水質検査結果②航路・遊泳に関する制限③塩害の想定の3つについて東京都に質問を投げかけました。
文書質問の結果を元にした調査結果を以下に記します。
①対策は…?大腸菌汚染問題
さんのへ文書質問の1つめは以下の通り質問を投げかけました▼
お台場を含めた東京湾には、東京や他県の数多くの河川から合流し気下水道などからの汚濁負荷が流入しており、お台場海浜公園水域内における水質が未だに懸念されています。2019年8月17日、パラリンピックトライアスロンのテスト大会では、水質検査で糞便性体調金の数値が国際トライアスロン連合(ITU)が定める上限の2倍を超えスイムが中止されました。現在お台場海浜公園水域内の遊泳は禁止となっていますが、公園水域内における大腸菌の有無を含む水質検査結果について伺います。
そして東京都からの回答は下記の通りです▼
東京都が公表している令和5年度公共用水域水質測定結果によれば、お台場海浜公園の水域における大腸菌数については、以下の通り。

大腸菌を培地で培養し発育したコロニー数を数えることで算出されるとのこと。
都の文書質問回答を見ると、令和5年度の水質測定結果では令和5年5月9日と令和5年8月2日に、最小値と比較しておよそ1067倍〜9000倍もの大腸菌が発生している事が分かりました。いずれも「雨が降った日の翌日から数日以内」に水質測定をした結果であるとのことです。
東京都に確認したところ、こちらの水質検査は台場駅前先海域の地点で行なっているものであり、水の採取地が噴水建設予定地に限りなく近い事がわかりました。
環境省では、水浴場水質の判定基準を設けています。こちらの基準では、ふん便性大腸菌群数が1,000CFU/100mlを超える水質は不適な水浴場であると明記しています。

通常、噴水や人工池等の水景施設に使用される水は雑用水と呼ばれており、汚染された雑用水を噴水の飛沫等で吸引したり、小児が誤飲した場合健康被害が生じる恐れが指摘されていることから、雑用水による健康被害を防止するために厚生労働省が建築衛生法にて一定の基準を設けています。
この建築衛生法の雑用水水質基準では、大腸菌が検出されない事が基準となっています。そして、雑用水に健康被害のおそれがあることを知った時は給水停止及び関係者への周知を直ちに行わなければなりません。

つまり、ODAIBAファウンテンの水源となる海水は水浴場水質判定基準を超えるものであり、大腸菌を含む海水は本来噴水で想定される水源ではないことが判明しました。
大腸菌の検査結果から見てもわかる通りお台場海浜公園水域内における水質は安定しておらず、また、こうした水環境における病原菌の感染は大腸菌だけではなく、レジオネラ菌など他の病原菌についても拡散防止対策が求められます。
汚染防止対策としては、エアロゾルがあまり発生しない水景施設を選択するとともに、風向き等に注意することが求められますが、そこまでして東京都がお台場に世界最大規模の噴水を公金で建設すべきなのでしょうか。更に議論が必要だと考えます。
②塩害対策について
さんのへ文書質問▼
現在世界最大級の噴水とされているドバイ・ファウンテンの水はアラビア湾にある海水を脱塩し真水にされたものです。そのため、風向きによっては広範囲に水飛沫が飛んだ場合においても、塩害による周辺建物へ劣化や腐食等の影響がないとされています。ODAIBAファウンテン(仮称)により発生した水飛沫がもたらす塩害について都はどのような対策を講じるのか伺います。
東京都回答▼
噴水の運用については、公園内に風速センサーを設置し、風速に応じて噴射高を自動的に制御するとともに、強風時には演出を中止することなどを検討。
ここで唯一提示されている塩害対策が「風の強い日に噴水を稼働させない」というのが何とも皮肉です。
また、お台場海浜公園は陸地に向かって強い風が吹き付けることで有名です。
建設予定地を会場から撮影した動画からも、その風の強さは感じて頂けるかと思います▼
これまで塩害が発生してこなかったとされる地域で、海水を世界最大規模で噴き上げることによる影響を東京都がどれだけ検証しているか引き続き注視していきたいと思います。
③水域内における航路は検討中
さんのへ文書質問▼
噴水の建設によってお台場海浜公園内における海上バス航路及び屋形船等の入港にどの様な影響がでるのか、また、今後の水域内における遊泳については全面禁止となるのか伺います。
東京都回答▼
水域内に設定している航路については、現在当該航路を利用している屋形船等の水域利用者や海上保安部と協議しながら検討中。また、お台場海浜公園では、船舶やマリンスポーツとの接触による事故の恐れがあることから、海水浴場として整備したものではないこと等から、安全性の確保されたイベントを除いて水域内における遊泳については禁止。
夏場は多くの屋形船が集う海域となっておりますので、こちらについては関係者に引き続き確認を進めてまいります。
メンッ!と総括
文書質問により、ODAIBAファウンテンに関する新たな論点が浮かび上がりました。
今月から始まる第一回定例会では有難い事に一般質問と予算審査委員会における質疑をそれぞれ予定しております。
こうした調査で得られた情報をベースに、本当に噴水を建設する事が都民の利益になるのかという観点から引き続き追及してまいりますので、ご着目頂けますと幸いです。
また、ODAIBAファウンテン建設に疑問を持たれた都民の皆さまには引き続き都民の声として東京都にご意見をお寄せ下さい。
さんのへあや
シェアします。こういう情報なかなか出ないので。大阪万博も、開催近づくと論調もかわってきますね。