初めに

先月3度目となる緊急事態宣言が発令され、東京都から改めて「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に則り事業者向けにテレワークの実施接触を低減する取り組みを行う様要請がありました。

しかしながら、緊急事態宣言からおよそ一ヶ月経った現在も

「江東区を走る東京メトロ東西線がまた混み始めた」

「会社からテレワークを辞めて出勤する様要請された。どうしたらいいのか…」

など、区民の方から、要請に従いたくでもできない現状を伺う機会は依然として多いままです。

そしてそのお声は私にとっても大変心苦しいものでした。

何故なら、こういった取り組みを事業者へ要請する筈の行政と議会が、テレワークを活用できていないからです。

江東区役所におけるテレワーク活用状況

現在(2021年5月31日時点)、江東区役所においては職員の出勤率は100%です。

区役所におけるテレワークは第一回目緊急事態宣言下で実施されましたが、

*窓口業務の人出が減り区民サービス低下の恐れがあった

*業務上区民の個人情報を取り扱う為に、区役所外でセキュリティを保護する為の環境が整っていなかった

これらの理由から実施期間は2020年4〜5月のおよそ二ヶ月に留まってしまったのです。

現在江東区役所では時差出勤を実施していますが、人出を抑えるテレワークと比較するとあまり効果は期待できません。

自治体区役所における実施について、東京都庁や都内自治体におけるテレワーク状況などを確認しつつ今後に備えられる様提言して参ります。

江東区議会におけるテレワーク活用状況

江東区議会においては任意の会議体(検討会)のみリモートでの開催が実施されています。

私は令和2年度タブレット運用検討委員会に所属していましたので、実際にリモートでの会議に参加しておりました。

※イラストはイメージです

参加した感想として、とてもスムーズに開催する事がきていたと感じています。

これは江東区議会がいち早くペーパーレス化に取り組み、タブレット(iPad)が議員に1人1台配布されていた=各議員がある程度使い慣れていた事が主な理由として挙げられます。

但し、タブレットはセルラーモデルではない為議会以外ので通信環境は議員が各自で整える必要があります。

江東区議会においてリモートワークを実施する上でハード面は既に整っている一方、本会議・委員会では相変わらず「議員は出席=その場にいること」が地方自治法上で定められています。

これによって、地方自治体としてはリモート会議を実施したくともできない状況でした。

しかし、その状況はコロナ禍によって少しずつ変わっていったのです。

なぜ地方議会がテレワークを実施する必要があるのか

「身体の事情で出勤できない方への配慮ならまだしも、地方議会がテレワークを取り組んだところでお金がかかるだけで費用対効果はあまり無いのでは」

これが議員になる前の私の正直な考えでした。

ところが議員になって以降、災害やコロナ禍を通じてテレワークの意義を思い知らされる出来事が相次ぎました。

その一例が、身体が無事でも仕事が"できない"事態になり得るという体験です。

2019年10月に江東区を襲った台風19号。

暴風が吹き荒れる最中、区議会議員がFacebookのMessenger機能を使用して情報を共有したり、行政と連絡を取り合う場面がありました。

危機管理の観点から、今後も災害時においては議員が一堂に同じ場所に集まることができなくとも対策本部や議会を開催する事が必要なのではないか?と考え始めました。

翌年から始まったコロナ禍では、自覚症状の有無に関わらず、区民として、議員としてできる限りの感染拡大防止に努める必要がありました。

区議会議員としてその活動を最優先する必要がありつつも、議会で感染を拡大させてはなりません。

議会でクラスターが発生しても皆休めばいいだけでは?と思われるかもしれませんが、

地方自治法第百十三条において普通地方公共団体の議会は議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができないと定められており、クラスターが発生した場合は議会運営が止まってしまう恐れがあります。

議会運営が止まる、つまり行政に対する監視機能が無くなると、専決処分(行政側が議会の承認を得る事なく予算を使ったり条例を改正できる)が連発される恐れが出てきます。

実際に江東区では緊急事態であることを理由におよそ50年振りに専決処分が下される事態となりました。

こういった状況は、二元代表制を担う議員並びに議会として最も避けなければなりません。

議会では絶対に感染を広げる訳にはいかない。

けれど、万が一感染症に罹ってしまったら?

家で高齢の両親を介護している状況だったら?

子どもが罹ってしまったら?

現行のルールではテレワークは許されず、議会に出席する事はできません。

リモートでの参加を望む議員が居ればできる限り対応し、有事の際にはこの基盤が活用できる様になっていて欲しい。

この想いから、2021年5月24日(火)に江東区議会議長並びに区議会議員宛「リモート会議の活用に関する意見・提案書」を提出して参りました。

議会でテレワークを導入する事のメリット・デメリット

提出した提案書の本文は下記の通りです。

議長を始め、議員控室にてお話しを聞いて下さった各会派の議員さんには心より感謝申し上げます。

皆様には予々ご同意頂く事ができましたが、協議させて頂いた中で議題に上がったのはリモート会議導入にあたってのメリット・デメリットです。

メリットは意見書に記載の通りですが、デメリットとしては

「各議員の通信環境やICT対応スキルに差があること」

「充分な議論が行えないまま、安易に賛否を出すこと(議会軽視)に繋がらないか」

「理事者側・議会側でのハード準備がある程度必要となる」

などが挙がりました。

私の答えとしては「いつか来る大地震や大災害に備える上でも、地方議会として今変わらなければならない」と思っています。

この変革の機会を捉えて、区民の皆様と共に歩み続けられる議会となれます様に出来ることに尽力して参ります。

本件に関して、多くの方からご意見頂戴できますと幸いです。

引き続き宜しくお願い致します。

さんのへ あや

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