私が補正予算で反対し追及を続けている江東区の冷感タオル事業ですが、情報開示請求により発覚した「補正予算の審議の前に業者が決定していた」という問題点は圧倒的な反響をいただいております。
ついにはマスコミからも注目をいただき、テレビ朝日の『グッド!モーニング』様から取材をいただきました。その様子が8月24日(月)の朝7時30分、『グッド!モーニング』のニュースコーナーにて放映され、江東区の冷感タオル配布事業についてご紹介頂きました。
以下、放送内容の引用です。
“コロナ予算で冷感タオル・江東区のバラマキが物議”
今月上旬、江東区では75歳以上の区民5万8000人に冷感タオルを配布。新型コロナウイルスに対応する補正予算の中から3500万円以上の税金が使われた。
区によるとコロナ予算を使った理由として「外出自粛で運動不足になった高齢者の外出を促す熱中症対策として配布」。砂町銀座にて75歳以上の区民の方に取材が行われ、実際に冷感タオルを使用している方と冷感タオルを配られたが不使用の方の夫々の意見が紹介。
三戸安弥(さんのへあや)区議は「議会で補正予算が可決する前の時点で業者まで決まっていた」と指摘。区の担当者は「8月上旬に配布するために逆算してその契約日となった。仮に補正予算が否決されても他事業から流用することも考えていた」と言う。
しかし江東区の予算事務規約では、やむを得ない理由がある場合をのぞいて予算の流用を禁じている。やむを得ない場合は区長に承認を受けなければならない。タオルの規格は非常に細かく指定されており、入札したのは1社のみだった。
三戸区議は「区民の税金を使った区長からのお中元じゃないか」と言う。山崎孝明区長は「毎年行っている「敬老のつどい」が中止になった代わりに実施。この事業は成功」と話している。
ジャーナリスト・増田ユリヤは「医療従事者にお金を回すなどするほうが結果的に区民全員の利益になる」とスタジオコメント。アベノマスクについて言及。
以上、引用終わりです。
この放送には想像を超える圧倒的に多くの反響があり、「事業をそもそも知らなかった」「もっと調査してほしい」などなど、ご意見を多々頂戴しました。
なお「女版半沢直樹!」というコメントまで・・・恐れ多いです。。。
他のTV取材も入る様になり、本日、8月25日(木)に行われた区長定例会見では急遽本事業に関する区長声明が出されました。
後日、口調定例会見の「テキスト」と「動画」がUPされますので、細かなインタビュー内容についての評価はUP後に触れさせて頂きます。
なお要約すると「江東区の冷感タオル配布事業は成功だった」と繰り返しただけとの事です。
そしてこの取材も通じてこれまでに触れて来なかった「細かすぎる仕様書」の問題点、そして「区長の成功発言」に対する意見について纏めます。
冷感タオルの細かすぎる仕様書は何のために存在したのか?
冷感タオルの仕様書の存在はこれまでのブログでは触れてこなかったため、報道によって初めて知った方も多いと思います。
私も仕様書の存在は知っていましたが、
「冷感タオルの材質等は准ずるもの(基本となるもの)として記述している」
という説明を担当者から受けて、そのまま納得してしまっていました。
しかし、再度調査を行い驚きました。
一般的な冷感タオルの材質は様々であり、ポリエステル100%のものも有ればナイロン素材の物も有ります。
サイズももちろん様々です。しかし今回配布された冷感タオルの仕様は恐ろしいまでに細かすぎる仕様でした。
改めて冷感タオルの仕様書を見返してみると、何を目的としてこんな細かい仕様を策定したのか全く意図が掴めません。
例えばこちらはYahoo!ショッピングで人気ランキング1位の「接触冷感タイプ」の冷感タオル「ひんやりタオル」ですが、その素材は「ポリエステル、ポリアミド繊維」です。
山崎区長は冷感タオルの配布目的について「高齢者の外出支援(フレイル予防)と熱中症予防」と説明していますが、この「ポリエステル45%、ナイロン55%」という仕様にどんな熱中症予防効果を期待したのでしょうか?是非とも科学的な説明を求めたい所です。
この細かすぎる仕様から推測されるのは熱中症予防ではなく、特定の「実物を指定」していたのではという疑惑です。担当者が説明した「基本的な仕様に准ずる」とは一言も書いてないので、この冷感タオル配布事業のためにわざわざ特注で仕様を変えてタオルを生産する企業は存在しないでしょう。
そしてその通りに入札では仕様に対応できないためか、10社中9社が入札を辞退しました。そして実質上の随意契約という結果になったのです。これも踏まえると、仕様書を書いた江東区と担当者には入札前には既にある特定の業者と商品の実物が分かっていたのではと思わざるを得ません。
山崎区長の「この事業は成功だった」発言を受けて
メディアによる電話取材に対して、そして定例会見で山崎区長は
「多くの区民からお礼の手紙が寄せられている」
「この事業は成功だった」
と成功を声高に主張しています。
それに対して私から区長にお伝えしたい事はただ一つ。
区長は何をもって冷感タオル配布事業が成功だと思われたのでしょうか?
まず注目すべきは「お礼の手紙」です。冷感タオルを配布したのは江東区ですので区役所宛のお礼の手紙はわかります。しかしこの中には区長宛の手紙も存在しています。それは裏を返せば、多くの区民が「区長が冷感タオルを配布した」と勘違いされた事に繋がるのではないでしょうか。
私の「税金を使った区長からのお中元」という発言を否定するためには、税金支出による高齢者政策の一環として区役所が区民需要と費用対効果を調査した上で配布した事実を証明しなければなりません。
「お礼の手紙を」頂いた事は確かに素晴らしい事です。江東区民の礼儀意識の高さに敬服する思いです。しかし本来区役所に届くはずのお礼の手紙を区長に届くのは宛先間違いと言えます。まさかその宛先間違いの反応を見て「成功だった」と発言をされるのであれば、それはこの事業の成功も失敗も何も証明できていません。
あたかも無かった事のようになっていますが、山崎区長は冷感タオル配布事業の目的を「高齢者の外出支援(フレイル予防)と熱中症予防」と説明しています。
それに対して多額の税金を支出したのであれば、その効果を科学的に論理的に検証して然るべきです。
理由はただ一つ。区民の命が何より大切だから
今年の夏は本当に暑く、都内では8月に入ってから何度も熱中症警戒アラートが出ています。8月の東京23区の熱中症の死者は170人を超え(8月25日時点)、過去最多を更新しています。
そして直前のブログ「猛暑で江東区内で熱中症死亡者が多発。しかし区役所が把握していない衝撃」でも触れましたが、8月に江東区内で熱中症が要因で緊急搬送されたケースは156件、7名の方が亡くなられています。
私は質疑でも触れましたが、冷感タオルでお年寄りを熱中症から守る効果は期待できません。なぜならば、高齢者が熱中症となる原因のほとんどが室内で冷房をつけていない事が要因と明らかになっているからです。
この酷暑の中、高齢者に冷感タオルを配布して外出を促すと言う事業は、むしろ高齢者の命を奪う大失敗だったと言わざるを得ません。
それらしい理由を付けてあたかも区民に目を向けているかの様な政策を推し進め、その裏では業者との癒着が垣間見え、利権による税金の私物化が否めない。
何より大切な区民の命を守れていないどころか危険に晒しているにも関わらず「成功だった」と嘯く往生際の悪さ。
私は、こういう政治を、もう終わりにしたいと思っているんですよ、区長。
この事実を知らなかったでは済まされません。
自治体として区民を本気で守りたいと思っているのですか?
本当に高齢者を熱中症から守りたいと思っているならば他に手立てはあったのです。救える命があったのです。私は悔しいです。こんな事業を推し進めてしまった議会、行政共々。
亡くなられた皆様には、心からお悔やみを申し上げます。
これからも公平な視点を持って一つ一つの事業を評価・検証することを怠らず議員としての仕事に務めて参ります。
理由はただ一つ。区民の命が何より大切だからです。
さんのへあや
<参考>
さんのへあやブログ「冷感タオル配布事業に3500万!?補正予算4号」
さんのへあやブログ「江東区の冷感タオル配布事業とは何だったのか」
さんのへあやブログ「猛暑で江東区内で熱中症死亡者が多発。しかし区役所が把握していない衝撃」
<7時のニュースまとめ>コロナ予算で冷感タオル・江東区のバラマキが物議
江東区「定例記者会見テキスト版」
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