はじめに
先日、三男が2歳の誕生日を迎えました。
三男は、私が都議会議員に初当選してから任期中に出産した子です。
三男出産から間もなく産後2週間絶たずして登庁し委員会に出席ましたが、正直に申し上げますと体力的にはかなり厳しいものがありました。
産後の体で長時間の審議に臨み、終電が間に合うかどうか、という時間帯まで続く委員会に出席する。
発熱、乳腺炎、膀胱炎を繰り返し、人生の先輩方からは「産後の肥立が悪いと、更年期大変なことになるよ」という忠告も何度受けたことかわかりません。
都民の皆さまから託された責任を果たしたい一心でしたが、「この働き方を、他の人にもさせていいのだろうか」と何度も考えました。
こんな思いを、他の人にはさせたくない。
けれど、育休手当とは違い、議員報酬を満額頂いているからには、議員が「休みやすくなる」だけの制度にもしたくない。とにかく悪い前例にしてはいけない…という葛藤を抱えていました。
その思いから、ちょうど2年前の2024年9月、会派として「議会の働き方改革に関する要望」を議会運営委員会と都議会のあり方検討会に提出しました。
2年前の要望が、いま検討のテーブルに
その要望で私たちが訴えた内容が、いま都議会のあり方検討会で優先的に検討する3項目として議論されています。
- 本会議・委員会の会議時間・運営(常任委員会)
- 委員会のオンライン出席の対象事由
- 本会議の欠席事由
検討会の委員を出していない少数会派・無所属議員にも意見を求めることになり、自由を守る会として、上田令子都議と連名で以下の意見書を提出しました。
少し長いので、お急ぎの方は下部の「自由を守る会の考え方」の章ををご覧ください。
検討項目に関する意見
会派等:地域政党 自由を守る会
議員:さんのへ あや/上田 令子
1 本会議・委員会の会議時間・運営(常任委員会に関すること)
【現状と課題】
・令和3年第3回定例会から令和8年第2回定例会までの常任委員会705回のうち、18時以降に終了したものは139回(約2割)、21時以降が37回、日付をまたいだものが6回ある。令和5年第1回定例会では翌午前3時17分まで審査が続いた例もある。
・21時以降に終了した37回のうち少なくとも21回は事務事業質疑である。令和3年から7年の事務事業質疑77回のうち、17時台までに終了したのは21回(約27%)にとどまり、令和4年は14回中1回のみであった。
・これに対し、政令指定都市を有する11道府県議会の常任委員会は、10時又は10時30分開会が多く、令和7年中は概ね昼から17時頃までに終了している。最も遅い例でも神奈川県議会の21時10分である。都議会では、21時以降に終了した委員会のほとんどが13時開会である。
・第2回から第4回定例会では、設定審査日数3日に対し、ほぼ全ての委員会が1日ないし2日で審査を終えており、日程には少なくとも1日の余裕がある。
・以上から、深夜審議の主因は審査量そのものではなく、「午後開会」「1日集中」「終了時刻の目安なし」という運営方式にあると考える。深夜に及ぶ審議は、議員と答弁のため待機する説明員の長時間労働、審議の質の低下、都民による傍聴・インターネット中継視聴の機会の喪失を招き、子育て・介護を担う世代の議会参画を阻む要因ともなっている。
【都議会としてあるべき考え方】
常任委員会は、都民の代表が執行機関を監視し、政策を質す場である。時間短縮を理由に質疑時間を削ること、特に少数会派・一人会派の発言機会を狭めることは、あってはならない。見直すべきは質疑時間の「量」ではなく、その「配置」である。
また、議会日程及び委員会運営は、都政と都民のための公務である審議を最優先に設計されるべきである。特定の政党の都合(党務や選挙対応等)に左右されて審査日程が圧縮され、結果として深夜審議を招くような事態は、厳に慎むべきである。
【自由を守る会の提案】
① 開会時刻の前倒し:事務事業質疑や第1回定例会の予算調査など、審査量の多い委員会は午前10時開会を原則とする。
② 標準終了時刻の設定:千葉県議会・京都府議会(17時を上限)に倣い、17時を目安とする標準終了時刻を申合せで定める。審査が長引く場合でも、日付をまたぐ審査は原則行わず、委員長の判断により予備日・別日に継続する。
③ 審査日の分割:政党の都合等に左右されず、審議を最優先した余裕ある日程とするため、質疑者が多い委員会は、日程の余裕を活用してあらかじめ複数日に分けて審査日を設定する(大阪府議会の例)。
④ 質疑項目の事前通告:北海道議会(前日正午締切)を参考に、質疑項目の事前通告により答弁準備を効率化し、説明員の待機を縮減する。ただし、通告は項目にとどめ、関連質疑・再質疑を妨げない運用とする。
⑤ 質疑時間ルールを設ける場合は、所属委員数に比例して会派に配分する方式ではなく、委員一人当たりの持ち時間を均等に保障する方式(大阪府議会:委員1人当たり60分)とし、全ての委員の発言機会を確保する。
⑥ 効果検証:見直し後、開会・終了時刻、審査時間、説明員の待機人数・超過勤務時間を議会局が記録・公表し、1年後に効果を検証する(EBPM)。
2 委員会のオンライン出席の対象事由
【現状と課題】
・都議会委員会条例のオンライン開会の事由は、令和5年5月の新型コロナウイルス感染症の五類移行以降、感染症法第6条第7項第3号に規定する新型コロナウイルス感染症のみとなっている。大規模災害すら対象としていない。
・13都道府県議会のうち、大規模災害を対象としていないのは、都議会と規定自体のない福岡県議会のみである。11道府県議会が大規模災害を、6議会(宮城・埼玉・静岡・京都・大阪・兵庫)が育児・介護を対象としている。標準都道府県議会委員会条例も、令和5年10月の改正で、大規模災害、感染症のまん延、育児、介護その他やむを得ない事由を規定している。都議会の規定は全国で最も狭い水準にある。
・首都直下地震が想定される東京こそ、災害時に議会機能を維持する手段としてオンライン出席が必要である。
・当会派は令和6年9月、「議会の働き方改革に関する要望」において、災害時や、出産・育児・介護、身体・健康上の理由で登庁が困難な場合のオンライン出席を提言したが、その後も対象事由は見直されていない。
・他議会では、制度導入後の利用実績がない、又はごく限られる例が多く、濫用の懸念は実態として小さい。
【都議会としてあるべき考え方】
オンライン出席は、議員個人の便宜ではなく、都民の信託を受けた代表が審議に参加し続けるための仕組みであり、都民の代表権を保障するものである。少なくとも標準都道府県議会委員会条例と同水準に改め、首都の議会として先進的な水準を目指すべきである。
【自由を守る会の提案】
委員会のオンライン出席の対象事由を、次のとおりとする。
(1)大規模な災害の発生(公共交通機関・幹線道路の途絶等により参集が困難な場合)
(2)感染症のまん延(新型コロナウイルス感染症に限定せず、法令上の就業制限や保健所等からの外出自粛要請を受けている場合等)
(3)育児(少なくとも小学校就学前の子の養育。静岡県議会の例。預け先への送迎を含めると参集が困難な場合を含む。兵庫県議会の例)
(4)介護・看護(対象親族の範囲は宮城県・静岡県議会の例を参考とする)
(5)妊娠・出産(産前産後の期間を含む)
(6)本人の疾病・負傷(登庁は困難だが、審議への参加は可能な場合)
(7)その他やむを得ない事由(委員長が認める場合)
運用に当たっては、本人の申出による選択制とし、オンライン出席を強制しない。申請には事由の区分の記載を求め、私的事情の詳細な記載は求めない。本人確認、通信環境、秘密会の取扱い、表決方法は規程で明確にし、利用実績は公表する。
あわせて、総務省通知(令和5年2月)を踏まえ、本会議において欠席議員がオンラインで質問を行う方式についても検討を進めるべきである。
3 本会議の欠席事由
【現状と課題】
・都議会会議規則第11条の欠席事由は「疾病、出産、家族の弔事、家族の看護又は介護、配偶者の出産補助その他の事故」であり、育児が明記されていない。
・13都道府県議会のうち、育児を明記していないのは都議会のみである。他の12道府県議会と標準都道府県議会会議規則は、全て育児を明記している。
・公務を明記していないのは都議会と京都府議会のみである。また、産前8週(多胎妊娠14週)から産後8週の範囲内で欠席期間をあらかじめ届け出られる旨の規定がないのは、都議会と兵庫県議会のみである。
・11道府県議会では、育児・介護を理由とする欠席について会議規則やその下位規程等で具体的な定義を定めている議会はない。欠席届に具体的な理由の記載を求めていない議会が6議会と多数である。
【都議会としてあるべき考え方】
欠席事由の明記は、議員が正当な事由による欠席を気兼ねなく届け出られることを保障し、子育て・介護を担う世代を含む多様な人材が議会に参画できるという、都民へのメッセージでもある。首都東京の議会が全国で唯一育児を明記していない現状は、速やかに解消すべきである。
また、欠席事由に「公務」を位置付けるに当たっては、議会活動を最優先とする規律が大前提となる。政党の党務や選挙応援等の党派的事情と公務とを厳格に峻別し、党の都合による安易な日程調整や欠席の正当化を許さない厳正な運用が不可欠である。
【自由を守る会の提案】
① 標準都道府県議会会議規則に準拠し、欠席事由を「公務、疾病、出産(配偶者の出産補助を含む。)、育児、看護、介護、家族の弔事その他のやむを得ない事由」に改める。なお、ここでいう「公務」は議会活動その他の公的な職務に限り、政党の党務や選挙応援は含まないことを運用上明確にする。
② 産前8週(多胎妊娠の場合は14週)から産後8週を経過する日までの範囲内で、出席できない期間をあらかじめ届け出ることができる規定を設ける。
③ 育児・介護の定義は細かく限定せず、本人の届出を基本とする。欠席届には事由の区分の記載を求めるにとどめ、私的事情の詳細な記載は求めない。
④ 一方で、都民への説明責任の観点から、本会議の出欠状況を議会ホームページで公表する。
⑤ 欠席事由の拡充とあわせて、項目2のオンライン出席や、本会議における欠席議員のオンライン質問の導入を検討し、「欠席するか、無理を押して出席するか」の二択ではなく、議会活動を継続できる選択肢を整えるべきである。
全国のデータで見えた、都議会の「遅れ」
意見書を作るにあたり、議会局が用意した資料(都議会と、政令指定都市を有する12道府県議会の比較)を確認したところ、次のような現状が見えてきました。
- 深夜審議の常態化
令和3年以降の常任委員会705回のうち、21時以降に終わったものが37回、日付をまたいだものが6回ありました。翌午前3時過ぎまで続いた例もあります。他の道府県議会は、ほとんどが夕方までに終わっています。 - オンライン出席の対象は「新型コロナのみ」
他の多くの議会が大規模災害や育児・介護も対象にしているなか、都議会は災害すら対象外です。首都直下地震が想定される東京で、これでいいのでしょうか。 - 欠席事由に「育児」がない
比較した13都道府県議会のうち、欠席事由に育児を明記していないのは都議会だけでした。
自由を守る会の考え方
意見書の詳細は画像のとおりですが、大切にした視点は3つです。
- 審議を削らず、時間の「配置」を見直す
深夜審議の原因は審査の量ではなく、「午後開会」「1日に集中」「終了時刻の目安がない」という運営の仕方にあります。開会時刻の前倒し、審査日の分割、標準終了時刻の設定などを提案しました。ただし、少数会派・一人会派の発言機会を狭めることがあってはなりません。 - オンライン出席・欠席事由は「都民の代表権」を守るため
子育て・介護中や災害時でも、都民の代表が審議に参加し続けられる仕組みです。議員の便宜のためのものではありません。強制はせず、本人の申出による選択制としています。 - 公務最優先の規律とセットで
欠席事由に「公務」を加えるなら、政党の党務や選挙応援とは厳格に分けるべきです。国政政党の選挙や党の都合で議会日程が左右されたり、欠席が正当化されたりすることがあってはなりません。制度を広げるからこそ、規律と説明責任(出欠状況の公表など)が欠かせないと考えています。
あり方検討会の議事録・各会派の意見は、まもなく公開予定
他会派や無所属議員から出された意見、検討会での協議の状況や議事録は、まもなく都議会議会局のホームページに掲載される予定です。(掲載され次第こちらのブログにも追記させていただきます)
各会派がどのような考えを持っているのか、ぜひ見比べてみてください。
メンっ!と総括
今年5月、京都府八幡市の川田翔子市長(35歳)が、出産に伴い産休を取得すると報じられ、話題になりました。現職の女性首長が産休を取るのは、全国で初めてとのこと。
川田市長は「市政運営が滞ったり、公約実現に影響が出たりしないようにしている」とお話しされている通り、産休中は副市長が職務を代理し、市長はオンラインで報告を受けていたとのこと。また、その後の育休中は、職務代理を置かずにオンラインや時短勤務で対応されているそうです。
「全国初の産休女性市長」京都府八幡市の川田翔子市長 現場の受け入れはスムーズも「両立これから」(京都新聞デジタル)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1804876
休むことと、責任を果たすことを両立させようとする姿勢は、まさに私たちが今回の意見書で求めた「公務最優先の規律」と重なります。
ただし、首長と議員とでは事情が異なります。
首長には副市長などの職務代理の仕組みがありますが、議員には代わりがいません。
都民から託された一票と発言は、当たり前ですが、ほかの誰にも代わってもらうことはできません。
だからこそ議会には、オンライン出席や明確な欠席事由といった「議会活動を続けるための選択肢」が必要です。
子育て中でも、介護をしていても、災害が起きても、都民の代表として責任を果たし続けられる議会へ。
そしてそれが「甘え」ではなく、公務を最優先する規律と両立する議会となるように、次の子育て世代が当たり前に議員を目指せる都議会をつくるため、これからも取り組んでまいります。
さんのへ あや





