はじめに

1月30日(金)、東京都の令和8年度予算案が公表されました。

<東京都公式HP:令和8年度予算(当初予算)>
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/zaisei/yosan/r8

この予算案を受け、同日、地域政党 自由を守る会として幹事長談話を作成しましたので、本ブログにて公表します。
談話の要点は以下の通りです。

3行で分かる!幹事長談話】
・令和8年度予算は過去最大規模だが、規模の大きさが都民の暮らしを保証するものではない。
・ゼロエミ偏重や効果不明な外部委託など、事業ありきの歳出を厳しく見直すべき。
・子ども・若者支援は前進も不十分で、都民の意思を基軸に費用対効果を徹底検証する。

過去最大規模を更新し続ける東京都の予算について、規模の大きさに目を奪われるのではなく、都民の意思がどこまで反映されているのか?費用対効果は十分に検証されているのかという視点からも、引き続き厳しく検証して参る所存です。

本文は以下の通りです。

談話全文(テキスト+PDF)

令和8(2026)年1月30日

【令和8年度東京都予算案発表にあたって(幹事長談話)】

地域政党自由を守る会 幹事長 さんのへあや

「無知」と闘う都政へ。都民不在・事業ありきの過去最大 令和8年度予算案を問う!

地域政党 自由を守る会は、不安定な税収構造と急速な少子高齢化を見据え、税収増の局面においてこそ財政規律を徹底すべきとの立場に立ち、都債発行の抑制と着実な償還、財政調整基金の回復・積立を重視し、不要不急かつ費用対効果の不明な事業の凍結・見直しを断行します。将来世代に過度な負担を残さぬ健全財政を堅持し、都民の意思に基づく予算編成を強く求めます。

こうした基本姿勢を踏まえ、令和8年度予算案を検証します。令和8年度予算案は、「2050東京戦略の迅速かつ確実な実行に向け、大都市東京の強みを遺憾なく発揮し、明るい未来を実現する予算」と位置付けられています。都税収は前年度比4,560億円(6.6%)増の7兆3,856億円となり、予算規模は全会計で前年度比4.7%増の18兆6,850億円、一般会計で5.4%増の9兆6,530億円と、6年連続で過去最大を更新しました。新規事業は657件、約1,999億円に上り、1件当たりの規模拡大も懸念されます。

税収が堅調な今こそ、災害対策はもちろん、不可避の超少子高齢化に備え、均衡財政を徹底する必要があります。本予算では都債が前年度比119億円減の2,226億円、都債残高は4兆2,372億円と前年から2,893億円減、起債依存度も2.3%となり、借金体質の改善傾向は一定程度評価します。一方で、財政調整基金は令和元年度末に約9,300億円あったものが、令和8年度末で8,085億円(令和7年度末7,879億円から151億円増)にとどまります。社会情勢の不確実性が高まる中、より強固な財政基盤の構築に向け、借金の圧縮と貯金の積み増しを一層加速させるべきです。

分野別歳出の増減率で最も伸びが大きいのは、断熱・太陽光住宅普及拡大事業等を含む「生活環境」分野で、前年度比28.6%増の4,813億円規模となっています。中でも、「ゼロエミッション東京」の名の下に、CO₂削減や都内気温低下の実効性が確認できない事業に、昨年度からさらに約1,000億円増となる約4,000億円が計上されました。国際的に脱炭素政策の見直しの動きもある中、東京都は実現可能性を欠いた「ゼロエミ2050」を掲げ、歳出拡大に歯止めをかけていません。                  

さらに本会 上田令子政務調査会長の一般質問における独自調査により、業界大手企業によるEV充電機器補助金の水増し請求が発覚し、支給中止に至りました。ゼロエミ政策が公金を狙った補助金ビジネスの温床となり得る現実を、都は重く受け止めるべきです。加えて、物価高騰に苦しむ中小企業に脱炭素設備導入を事実上求め、対応できなければ炭素クレジット等で補填するかのような政策運営も看過できません。カーボンオフセット等への「グリーンウォッシュ」との指摘も踏まえ、脱炭素事業実施の都民への強制、費用対効果に乏しい補助金のばらまきは大幅に見直すべきです。

また、国際金融都市構想を含め、効果不明な外部委託事業が散見される点も課題です。都は昨年度、スタートアップ推進戦略本部を設置しましたが、業務を大手コンサルや広告代理店に丸投げするような運営は行政の役割から逸脱し、税金の無駄遣いにつながります。本部長による海外出張の回数が異常に多いことも、私の令和6年度決算特別委員会における指摘により明らかとなりました。海外出張も含め、厳格な費用対効果の検証を強く求めます。

一方で、本会が予算提言で指摘してきた「若者ケアラー調査」に新たに900万円が計上された点は評価します。本調査は都内18歳から39歳までのヤングケアラーの実態把握に資する重要な取組であり、今後は全年齢を対象とした悉皆調査も視野に入れ、さらなる予算拡充を求めます。あわせて、乳児院の緊急受入体制強化についても評価します。子どもたちに愛着障害が生じないよう、養育家庭や特別養子縁組への移行が円滑に進むことが重要であり、フォスタリング機関事業による養育家庭委託の促進に期待します。

「様々な困難を抱える若者を切れ目なく支援」として44億円が計上されている点は一定の前進と受け止めますが、支援を必要とする若者が急増する現状に照らせば、なお十分とは言い難い水準です。少子化が加速する一方で小中学生の自殺者数が過去最多となっている事実は、若年世代が置かれている状況の深刻さを示しています。ヤングケアラー、不登校、いわゆるトー横に集まる若者など、複合的な困難を抱える若者への支援は、限定的・断片的な施策では対応できません。切れ目のない相談体制の構築、アウトリーチ支援の拡充、年齢や制度の狭間に置かれた若者への継続支援を実効性あるものとするため、より踏み込んだ事業展開と大胆な予算拡充を強く求めます。

前期に厚生委員として、無痛分娩費用助成等事業の制度設計の不十分さに警鐘を鳴らしてきた立場から申し上げます。助成は拡大そのものが目的ではなく、安全性と質が担保されて初めて都民にとって意味のある支援となります。産科医・麻酔科医・助産師等への研修体制の整備、緊急時対応を含む医療機関の体制要件の明確化など、助成の前提となる条件を不断に点検・改善することを不可欠とし、都に徹底を求めます。

東部低地帯(江東区・江戸川区)選出の都議で構成される地域政党 自由を守る会としては、重点地区における浸水対策強化や大規模水害に備えた高台まちづくり事業の速やかな成果を期待しています。浸水対策強化・下水道事業強靭化の費用補助が拡充された点は評価する一方、小松川第2ポンプ所が未だ完成していないことは重大であり、早急なインフラ整備を強く求めます。

かつて、関東大震災という未曾有の危機に対し、壮大なビジョンと不屈の実行力で立ち向かった後藤新平は、その著書『都市計画と地方自治という曼荼羅』の中で、都市が闘うべき「四つの敵」として疫病・無知・貧困・無慈悲を挙げ、とりわけ「無知」との闘いの重要性を強調しました。都市計画とは、単なる図面や事業の積み重ねではなく、市民と行政の双方が知を共有し、不断に問い直し続ける「経綸(けいりん)」でなければならないと述べています。関東大震災後の帝都復興を振り返る中で、彼は、震災がもたらした最大の教訓は技術や資金の不足ではなく、「市民のイグノランス、当局のイグノランス」、すなわち無知と闘うことが最も困難であった点にあったと指摘しており、この指摘は、約100年を経た現在の東京都にもそのまま当てはまります。

今日の東京都政を見渡しますと、都民に十分な情報が共有されないまま、あるいは異なる意見や懸念が丁寧に受け止められないまま、「事業ありき」「計画ありき」で行政運営が進められている場面が少なくありません。説明は後追いとなり、意見聴取は形式的にとどまり、意思決定の過程は見えにくい。そこには、後藤新平が最も警鐘を鳴らしたはずの「無知」と「無慈悲」の影が重なります。

後藤新平が説いた都市計画とは、行政が上から完成形を与えるものではありません。市民が学び、考え、疑問を投げかけ、それに行政が応答しながら、共に精度を高めていく不断の営みであり、都市計画という視点から幾重にも検証を重ねる力を市民が持つことの重要性を説いています。今、東京都に問われているのは、都民の意思をどのように受け止め、どこまで意思決定に反映しているのか、その過程は十分に可視化されているのか。行政自らが「無知」と闘う覚悟を持っているのか。
後藤新平の指摘は、現代の都政を鋭く問い直す鏡となっています。

令和8年度予算は、相変わらず過去最大規模を更新しましたが、予算の規模そのものが都民生活の質を保証するものではありません。むしろ歳出が拡大すればするほど、その一つ一つが本当に必要なのか、都民の意思が十分に反映されているのかが、これまで以上に厳しく問われるべきです。

事業ありきで積み上げられた歳出は、行政の「無知」を温存し、都民不在の財政運営へと傾く危険性をはらみます。私たち地域政党 自由を守る会は、都民の声を置き去りにしたまま続く予算規模の肥大化に強い危機感を持ち、都民の意思を基軸とした予算編成を強く求め、予算委員会で各事業の費用対効果を徹底的追及し、不要不急の歳出を厳しく戒めてまいる所存です。

幹事長談話(PDF)ダウンロードはこちら▼

メンっ!と総括

本予算の審査については、予算特別委員会並びに各常任委員会において実施されます。

予算特別委員会は、自由を守る会から上田令子都議が委員として参加し、各事業の中身を精査してまいります。

私自身は所属する都市整備委員会に係る予算(都市整備や住宅政策)を対象に、都民の声と現場の実情を踏まえながら、最後までしっかりとチェックを重ねてまいります。

「無知」と闘い、都民の意思を都政に反映させる。その原点を忘れることなく、不要不急の歳出を厳しく戒め、都民生活の向上に資する予算へと是正を求めていきます。

今後の予算審議の動きについても、引き続き発信してまいります。

さんのへ あや

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