★忙しい方向け!本ブログの要点3つ
①東京都は「多くの地元事業者からの要望があり噴水を設置した」という説明をしていましたが、情報開示請求や議会質疑により、事業者が要望していたのは「噴水」ではなく「にぎわい創出」であったことが判明しました
②そこで私は、なぜ噴水建設に至ったかという意思決定プロセスを明らかにするため、令和3〜5年度に実施された「臨海副都心における来訪者等実態報告書」を情報開示請求し中身を分析しました
③調査の中で「より魅力的なまちになるために必要なもの」という設問に対し「噴水」という回答はありませんでした
はじめに
お台場噴水に関する【独自調査】ODAIBAファウンテンは誰のため?でも解説したとおり、東京都が噴水設置計画を発表する以前に、東京都が事業者から要望を受けた記録が無く、さらに事業者が要望していたのは「噴水」ではなく「臨海副都心のにぎわい創出」であったことが判明しました。
それでは、東京都は何を根拠に噴水の設置計画を進めたのか?
私は、この疑問を明らかにすべくお台場噴水事業に関する検討状況がわかる記録に加え、東京都が実施している来訪者等実態調査に関する情報開示請求を行いました。
【調査結果】「魅力的なまちづくり」に求められていたものとは…
令和3・4年度の実態調査は東京都名義で実施されましたが、令和5年度は「株式会社シムテクノ総研」が実施しており、設問が少し異なるものの、比較できるよう設問を抜粋し調査結果を以下の通り取りまとめました。
令和3年度調査 | 令和4年度調査 | 令和5年度調査 | |
◆サンプル数(年間) | 4,619 | 4,208 | 5,037 |
◆調査地点 | お台場海浜公園駅、青海駅、国際展示場、東京テレポート駅、東京テレポート駅、東京ファッションタウン、日本未来科学館、有明テニスの森駅 | お台場海浜公園駅、有明駅、国際展示場、東京テレポート駅、東京テレポート駅、台場駅、日本未来科学館、有明テニスの森駅 | お台場海浜公園駅、有明駅、国際展示場、東京テレポート駅、東京テレポート駅、台場駅、日本未来科学館、有明テニスの森駅 |
臨海副都心への来訪目的 | 観光目的(46.6%) 買い物(20.8%) ビジネス(12.4%) | 観光目的(46.6%) イベントへの参加(15.8%) ビジネス(11.7%) | 買い物・レジャー(30.7%) 街並みや景色を楽しむため(27.9%) イベントへの参加(27.8%) |
より魅力的なまちになるために必要なもの | <街並み> 自然の景色を楽しむ(22.5%) おしゃれな街並みを楽しむ(16.2%) 近代的な街並みを楽しむ (15.3%) <施設等> 商業施設(27%) 飲食施設(カフェ・レストラン)(22.9%) 娯楽施設(遊園地等)(19.8%) | <街並み> おしゃれな街並みを楽しむ(18.5%) 近代的な街並みを楽しむ(18.4%) 自然の風景を楽しむ(16.8%) <施設等> 商業施設(31.1%) イベント(24.7%) 飲食店(カフェ・レストラン)(22.3%) <自由回答> カフェ(22件) 遊園地(21件) アニメイベント(18件) 子供が遊べる施設(18件) 温泉(14件) | ※「何があればまた訪れたいか」という設問に変更 イベント(35.6%) 自然の風景を楽しむ(29.9%) 近代的な街並みを楽しむ(29.3%) 学習施設(科学館等)(27.4%) 商業施設(27.2%) 娯楽施設(遊園地等)(25.8%) 芸術施設(美術館等)(23.6%) 飲食施設(カフェ・レストラン)(23.5%) ▶︎詳細は以下の画像参照 |
希望する施設 | 水族館(22.4%) 美術館(19.4%) フード(12.3%) | 水族館(12.9%) コンサートホール(9.8%) 美術館(9.6%) | <学習施設> 科学館(53.5%) 博物館(36%) 水族館(33.2%) <芸術施設> 美術館(49.7%) デジタルアート(34.3% ) コンサートホール(23.2%) |
臨海副都心の不満点 | 「特に無い」(61.5%) 「全体的に物価が高い」(9.6%) 「休憩できる場所が少ない」(6.2%) 「施設利用料や入館料が高い」(6%) 「各スポットへの交通の便が悪い」(5.7%) | 「ゆりかもめの運賃が高い」19件 「飲食店が少ない」14件 「交通の弁が悪い」11件 「施設をつなデッキ通路に雨風除けが欲しい」11件 | 「特に無い」(48.4%) 「各スポットへの交通の便が悪い」(9.1%) 「休憩できる場所が少ない」(8.2%) 「全体的に物価が高い」(7.2%) |
【令和5年度調査】「どのようなスポットがあればより魅力的な街並みになるか」以下詳細



メンっ!と総括
調査の結果、お台場を含む臨海副都心において都民が求めたのは「自然」や「学び」でした。
それにもにもかかわらず、何十億円もの都民の財産・税金を投じ、誰の声も反映されていない“世界最大の噴水”を造るというのは、もはや東京都のエゴ、自己満足以外の何物でもありません。
お台場噴水事業を調査・追及していると、よく「さんのへさんはにぎわい創出のためにどうしたらいいと思いますか?」と対案を問われます。
その都度、私は経済特区の話や、実際に観覧したドローンショーなどの話をさせて頂いていましたが、その答えはこの調査の結果にあると考えています。
タイトルにある◯◯の答えを持っているのは都民の皆さま自身であり、東京都が本当ににぎわいを創出したいのであれば、まず耳を傾けるべきは、こうした都民の声ではないでしょうか。
お台場噴水が東京都の見栄やエゴで進められたもので無いのであれば、今からでも都民の皆様の意見を聞くべきです。
都民の皆様におかれましては「お台場には噴水ではなく◯◯が欲しい」と東京都に声をあげて頂ければ幸いです。
都民の声総合相談窓口はこちら
さんのへ あや