2025年(令和7年)3月26日 予算特別委員会(第6号)

 ◯さんのへ委員
 私、さんのへあやは、地域政党自由を守る会を代表し、知事提出第一号議案、第十三号議案、第二十二号議案及び第二十七号議案に反対、その他の知事提出議案に賛成、日本共産党提出の編成替え動議に反対、ミライ会議提出の第一号議案に対する修正案に反対の立場から討論いたします。
 都議会議員となり、はや八か月が経過いたしました。初めての都の予算審査に挑むに当たり感じたことは、都が公表している予算書が非常に分かりづらく、改善が求められるということです。
 例えば、常任委員会で審査する各局別予算書においては、款項目節の節の部分までの事業と支出先、詳細な予算データが示されておらず、その都度、担当課を探し、理事者に確認をする必要がありました。
 都は、DX推進、オープンデータの取組に注力していることは評価するものですが、都一丁目一番地の情報公開すべきデータは、物価高に苦しむ都民の労働や都内事業者が薄紙を剥がすような利益の中から納めてくれた税金情報、すなわち予算内容の詳細であります。
 財務局が公開しているのは一部の予算情報であり、節の部分まで掲載されておりません。節の部分まで明らかになっていなければ、我々都民の代表である議員は、都庁三十部局、約六千にわたる都の事業の全てを把握し、一つ一つの事業評価をすることができません。
 多くの区市町村議会では、節まで掲載されている予算書を、順に各事業についてそれぞれの会派、議員が評価をする形を取るという、より具体的で堅実な審査です。
 一方、都の予算審査は、たまたま目についた事業の節までしか踏み込めず、全庁事業を網羅できず、一般質問とあまり変わらないような包括的で具体性に欠く審査にならざるを得ない状況と感じました。
 地方自治体に上下はありませんが、一国に匹敵する東京都十八兆円規模の予算において、このような予算情報で審査をせざるを得ないことは、納税者を愚弄するものであり、都議である私も胸を痛めながら審査に当たった次第です。
 都民にとって真に必要な事業を見極め、事業改善を提案するためにも、詳細な情報と予算データを議会のみならず都民に対しても、恣意的に抽出せず全て、全六千事業の節まで示していただきたく、地域政党自由を守る会として度々改善を求めてきましたが、改めて強く申し添えます。
 令和七年度予算案において、都税収の伸びは法人税で一〇・二%増、個人都民税では一四・一%増となりましたが、その背景に所得格差がさらに拡大していることが懸念されます。
 堅調とされる都の財政状況と物価高にあえぐ都民の生活実態とは乖離が生じています。こうした状況であるからこそ、災害対策はもちろんのこと、約束された未来である超少子高齢化に備えて、均衡財政の徹底が強く求められることは毎年指摘しているとおりです。
 東京の将来を憂う都民の気持ちをないがしろにするかのごとく、都は、本年度予算における新規事業は七百十二件、約三千三百五十九億円と、六年間連続最大予算となり、相も変わらず、にわかに都民生活に寄与するとは思えない事業が散見されました。また、都議選前であるためか、各党が財源を奪い合い、実績づくりに力を入れているようにさえ見受けられる費用対効果不明の事業も散見されます。
 都営住宅等事業会計予算ですが、真に住宅に困窮する低所得者に低廉な家賃で賃貸する趣旨には賛同するものですが、高齢者住居者が七割、平均居住年数二十五年という背景があり、若年世帯や障害者など、低所得者層が入れないなどの状況が生じています。公平性担保が使命のはずが、真に困窮する方が入居できないのは憲法二十五条違反であります。
 さらに、石原都政で効率化したというのに、都営住宅事業をてこ入れするかのような住宅政策本部を新設することは時代に逆行しています。
 都としてアフォーダブル住宅を子育て世帯に供給するため、新年度に都と民間が百億ずつ出資してファンドを設立する事業も開始することから、今後は民間不動産を活用し、事業縮小を求め、本予算に反対するものです。
 東京都臨海地域開発事業会計予算ですが、都民から多くの反対を受けているお台場噴水事業に係る整備建設費のみならず、最大二億円もの維持管理費が、埋立地の売却等による実態問わず、今後長期間にわたり本会計から支出されることからも、本予算に反対するものです。
 都として、都民の財産である埋立地を都民の意思を反映することなく売却し、その利益を都民の意思を無視して別事業に使用することも断じて許容できません。本事業会計は都民のものであるということを再認識し、本来の会計目的である都民生活を支える物流や、魅力ある臨海部のまちづくりや、安全な環境整備に資する予算に充てられるべきです。
 水道事業会計においては、これまで水道局長OBが歴任してきた東京水道株式会社社長が、歴代社長に比べ装置産業である水道事業技術の専門性に著しく劣っている上に、都政経験ゼロ、小池都知事の側近というキャリアしかない野田数氏にこれ以上都民の命に関わる水道事業を任せてはならないという観点から反対するものです。
 数日前、若者が抱える困難の実態に関する全国調査結果では、十五歳から三十九歳の男女において、子供を育てたくないと回答した割合が五二・〇%に上ったというニュースが目に飛び込んできました。本人の年収が二百九十九万円未満、あるいは世帯年収が三百九十九万円未満の人では、およそ六割に上ったそうです。
 また、若者が必要であると表明している少子化対策としては、ワーク・ライフ・バランスの改善が七八・二%、柔軟な働き方の拡大が七七・八%に対して、高校授業料の無償化は六四・八%と、無償化政策よりも働き方改革が必要だという人がやや多い傾向にありました。
 少子化対策は一刻の猶予も許さない状況であると小池都知事ご自身も認識されているにもかかわらず、本予算で挙げられている少子化対策は、エビデンスベースではなくエピソードベースとなっている無痛分娩の無償化、第一子保育料無償化、挙げ句には、都として二〇一九年長期計画に掲げた合計特殊出生率二・〇七は目標ではないと言い訳に徹しました。一刻の猶予もない少子化対策だからこそ、改めて目標として合計特殊出生率を掲げ、都庁一丸となって取り組む必要があると考えます。
 以上の各指摘については、真摯かつ誠実に受け止めて、都民のための都政運営向上を求めるものです。
 今般、予算審査の本会の持ち時間は三十九分でした。この三十九分を一秒たりとも無駄にせず、都民の命、健康生活を守るために、私どもは真摯に質疑を作成いたしましたが、小池都知事は答弁から逃避し、局長に押しつけ、また理事者答弁も的を得ない詭弁を弄するものが散見されました。
 議会と知事、行政が希求するものは都民の幸いであり、そのためには見解の相違があってもいいのです。活発な議論でよりよき解を引き出すことこそが都民の利益に寄与するからです。今回それができたでしょうか。私はそうは思えず、都民には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 私はあなたの意見には反対だ、だが、あなたがそれを主張する権利は命がけで守る、啓蒙主義を代表するフランスのボルテールの言葉です。彼の没後しばらくしてフランス革命が起こり、世界の民主化が加速していきます。
 地方議会には、本来、与党も野党もありません。都民の代表である都議を自分の味方か否かで差別して、不誠実な答弁を繰り返すとなれば、これは人類が多くの犠牲を強いて手に入れてきた民主主義と言論の自由を奪うことと等しく、歴史を後戻りすることになります。
 小池知事一人がこの点に気づき、軌道を修正すれば、今すぐにでも互いに認め合い、活発に議論できる環境もつくれ、理事者も安心して誠意を持って業務に当たれるのです。公務員は都民の公僕であり、そのために難しい試験を突破して入庁しています。
 これ以上、理事者に知事への忖度のために不誠実答弁を繰り返させないでいただきたい。
 小池都知事一人に二元代表制の徹底を改めて強く要望し、地域政党自由を守る会として令和七年度予算案に対する討論を終わります。

出典:東京都議会会議録