2023年(令和5年)2月28日 予算審査特別委員会

◯さんのへあや委員  
 ごみ収集運搬事業のうち、まずは退職不補充の考え方について伺います。
 江東区の行財政改革では、効率的な清掃事業の推進と定員削減及び収集経費の節減を目的に、技能系職員の退職不補充の原則を掲げ、委託職員を増員しています。雇上会社への委託比率が高まる中で、ごみ収集運搬事業の質をどのように担保されているのかお伺いします。

◯清掃事務所長  
 雇上比率が高まる中での質の担保ということについてお答えいたします。
 雇上会社は、長年にわたりまして、本区を含む特別区の清掃事業をサポートしてきた専門業者であります。また、雇上会社で構成される団体においても、技術向上に取り組んでいるところでございます。また、これに加えて、本区が求める業務の質を維持・向上していくために、主には3点取り組んでおりまして、毎朝のミーティング、これによる情報共有を確実に行うこと。それから、収集現場への定期的な巡回指導を行っております。それから、年に2回ではございますけれども、事故が多く発生するシチュエーションとして車両の交代時、これが事故が大きく発生する要因になってございますので、バック誘導研修というシミュレーションの研修を行います。こういったことを通じて、委託化されても質の維持・向上を図っているところでございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 ありがとうございます。巡回指導では、技術系職員、委託系作業員を分け隔てなく御指導されていると捉えております。私は、令和4年度に江東区や他区で実施されている環境学習の様子を視察し、実施内容や取組などを比較調査してまいりました。
 ごみ収集運搬事業とは別の視点ではありますが、環境学習の実施を含めて、いわゆるふれあい指導班が実施する業務に着目をしてまいりました。結果、ごみの分別や適切排出に関する相談・指導から不法投棄に対する調査まで、本来の収集作業以外のところにも人員を配置して積極的に対応ができているかという点が、その地域におけるごみに対する意識ですとか、将来的な環境にも影響すると感じております。
 退職不補充の原則では、技術系職員が培ってきた知識や技術が十分に継承されないまま、委託比率が増え続けていくことに危機感を感じています。ごみ問題に先進的に取り組んできた自治体として、ごみ収集運搬事業におけるノウハウですとか、知識や技術継承にもぜひ重きを置いていただきたいと思いますが、そうした点はどのような方針で進められますでしょうか。

◯清掃事務所長  
 さんのへ委員御指摘のとおり、一般的なごみ収集運搬をベースとしてという考え方にはなりますけれども、それ以外の業務、適正に排出していただくための区民の方への個別の指導であるとか、先ほどさんのへ委員の御指摘にあった環境学習といった普及啓発のような事業、そういった多岐にわたる業務がございまして、区民のニーズも多様化している。これに対応しているところでございます。
 こうしたニーズが多様化する業務が増えていく中で、収集運搬事業はそうやって委託化を行っているところでございますが、一方で委託になじまない、今お話ししたような業務につきましては、区の職員を集中的に投入しているところでございます。次年度もそうした業務を手厚く行っていくために、先ほど御指摘のあったふれあい班、現在10名体制ですが、12名体制に増員をして対応しているところでございます。
 また、将来に向けて技能が継承されるようにということにつきましては、業務の効率化でありますとかマニュアル化、そういったことにも取り組んでございます。
 以上です。

さんのへあや委員  
 ありがとうございます。ふれあい班の増員というところも行われているとのことです。
 ただ、令和5年度も含めると、江東区は8年間、技術系職員の方の新規採用が行われておりません。委託が進められている雇上会社でも慢性的な人材不足が発生しているところもあると伺っています。こうした人手不足をどのように改善するかという点について、次の質問である女性職員の活用について伺います。
 平成12年に清掃事業が特別区に移管されて以降の女性のごみ収集運搬職員の採用実績について伺います。

◯清掃事務所長  
 本区における技能系職員の女性の採用状況につきましてですが、本区においては女性の採用はございません。ただ、清掃移管前から、東京都で採用した職員の中には女性の数も少ないとは聞いておりますが、他区では活躍をしていらっしゃるということも聞いておりますし、最近では雇上会社の方で収集運搬に従事される女性職員が増えてきてございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 ありがとうございます。今ちょうどお話しいただいた点で、昨年の11月の新聞報道、私も拝見しました。足立区内にある雇上会社が女性だけのごみ収集チームを結成し、同区内で作業の実施検証を行ったとのことです。検証では、重いごみを運ぶ際には役割分担が必要なことや、出会った地域住民が「女性だけですごいね」など、積極的に声をかけてくれるということが分かったそうです。また、早朝から計画的に作業に当たるため、ワーク・ライフ・バランスを取りやすい職業であることも注目されています。ごみ収集現場では深刻化する人手不足もあり、こうした収集作業員を女性にすることで、清掃業務のイメージアップ並びに地域とのつながりを図れるものと考えます。
 江東区において、今後、退職者が上回り、職員採用を再開する際に、女性職員の採用についてのお考えはありますでしょうか。
 また、現在の清掃事務所内には、女性用の更衣室ですとかシャワー室、お手洗いがないと伺っております。もしも女性職員の採用を見据えられているのであれば、まずは職場の環境改善は必須かと思いますが、そうした対応はいかがでしょうか。

◯清掃事務所長  
 まず、原則、退職不補充の方針に基づきまして、委託化を進めていく考えでございます。業務効率化や勤務体制の見直し等により、区民生活に支障が生じないよう、職員の適正配置に努めていく所存でございます。
 一方で、雇上会社の方で作業員、女性の職員の方もいらっしゃいます。冒頭でもありましたように業務が多様化している中におきましては、性別によらない職務に適性のある職員の方に業務に従事していただくのが、これから望まれることなのかなと思っております。
 一方で、現在の清掃事務所、実は平成18年に竣工した建物でございますが、清掃事務所の職員が占有するスペースの中には女性用のトイレ、それからシャワースペースといったものが現状ございませんでした。ちょうど長計のハード整備において行われる清掃事務所の改修が来年に再計画化されることになりましたが、こういった動向を踏まえまして、次年度の改修において女性用のスペースを整備する計画としたところでございます。
 以上です。

◯さんのへあや委員  
 改修において女性向けの設備が備えられると聞き、大変安堵しております。こうした業界のイメージを向上することで人材不足の解消にもつながると期待しておりますので、女性も働きやすい環境であることの積極的なアピールもぜひお願いします。
 また、退職不補充の原則がありますが、衛生環境を保持するという観点からも非常に公共性の高い事業ですので、その技能と知識を若手に積極的に継承していただくことを強く要望し、質問を終わります。

出典:江東区議会会議録