2023年(令和5年)2月24日 予算審査特別委員会
◯さんのへあや委員
1点目、保育政策について、まずは保育士の処遇改善について伺います。
保育士の負担を軽減する働き方の改革を進めるには、保育業務の効率化と業務改善を進めることが不可欠です。保育の仕事が多忙である要因として、保育者が作成しなければならない書類の多さという課題があり、保育の周辺業務や補助事業のICT化が進められることが求められています。
そこで、令和3年度から令和4年度にかけて、江東区内の公設民営保育所、私立認可保育所、小規模保育事業、認定こども園における業務のICT導入状況に関する調査結果を確認させていただきました。ICT導入に関する補助金申請予定の園を含めると、紙管理からシステム管理ですとかエクセル等のデータ管理への移行が確実に進められているということが分かります。
ただ、気になったのが、個別に園を指摘したくはないのですが、公設民営保育所において、いまだに全ての業務が紙管理で、補助金の申請予定もないというICT化は絶対にしないぞというかたくなな意思を感じる園が幾つかあります。法人としての意向かと推察しますが、保育者のみならず、保護者にも負担が生じているのではないかと心配です。こうした園に対してはどのようにICT化への理解を求めているのでしょうか。
◯保育課長
現在行うシステムの導入支援につきましては、保育士の業務負担を軽減し、働きやすい環境を整備することで、保育の質の向上や保育人材の確保、定着を図ることを目的として実施してございます。さんのへ委員御指摘のとおり、最終的に補助を活用するのは各事業者の御判断となるんですけれども、申請を依頼する機会を捉えまして、今申し上げたような補助の目的を改めて伝えるなどの働きかけを行ってまいりたいと考えております。
◯さんのへあや委員
ありがとうございます。補助の目的を随時お伝えいただけるということなんですけれども、ほかの園の好事例というところについても、ぜひ積極的に御共有いただいて、ICT導入の理解促進に努めていただきたいと思います。
職場づくりの実例集の中には、お昼寝の時間に保育士が一人一人、連絡帳を手書きでしていた頃と比較して、電子化により連絡帳自体の情報量が増えたにもかかわらず、1日40分も時間短縮に成功したという紹介がありました。こどもと接する時間以外のノンコンタクトタイムを確保することにより、保育の質が高まるという傾向にもありますので、保育の質の確保という点からも引き続きICT導入に関する取組を要望いたします。
次に、保育料の負担比率について伺います。2022年度、100都市保育力充実度チェックの報告によると、ゼロ歳から2歳まで、保育標準時間認定の23区でそれぞれ設定されている保育料の最高額というものがあるんですが、江東区は1か月で9万1,500円と、23区の中では杉並区に次いで2番目に高い額でした。平均年収として中間層を仮定し、第一子でかかる保育料を比較すると江東区は3万1,200円とのことでした。こちらも他区と比較しても5番目に高い金額となっており、極端ではありますが、渋谷区は中間層の保育料が月々8,850円ということでした。
本区では世帯に対する保育料の負担割合が大きいように感じられます。この保育料の負担比率についての考え方について、また、他区と比較して保護者の負担割合が大きくなっている理由など分かれば教えてください。
◯保育課長
まず、保育料の負担の考え方でございますけれども、保育料は在宅で子育てされている方との公平性から、利用者に必要な経費の一部を御負担いただくという受益者負担の観点、また、所得状況に応じた金額を御負担いただく応能負担といった観点を踏まえて金額を設定しているところでございます。
本区では、これらの観点を踏まえつつ、各所得階層においては国が定める標準的な保育料よりも低い金額を設定するとともに、特に低所得世帯については、国基準の2割から3割程度に抑えているところでございます。
この区の負担が大きいというところについてでございますけども、どのような負担の割合にするかは各自治体ごとに判断しているものと認識してございまして、本区においても、保育経費でありますとか景気の動向等を踏まえながら、これまでも保育料の改定を行っているところでございます。
以上です。
◯さんのへあや委員
待機児童解消と保育施設利用に関して、膨大な税金が発生していることも理解できますし、江東区は入園のしおり等を通じて、その旨をしっかりと説明されていることも存じ上げています。
ただ、保育経費という観点から見ると、他自治体とはあまりそこまで変わらないはずですが、利用者、すなわち保護者に保育料の負担をどこまで求めるかというのが自治体ごとに異なるのであれば、担税力のある世帯が区外へ出ていってしまうことにもつながりかねません。極端に保育料の負担を下げることを要求するものではありませんが、なるべく不公平感のないよう適宜保育料負担額の見直しを要望させていただきます。
2点目の子育て世帯応援電子クーポンについて伺います。子ども医療費助成同様所得制限による区別なく、全てのこどもたちに平等に支援を行うことは非常に望ましく、本事業についての提案を評価しております。今、国でもまさに児童手当の所得制限撤廃について議論が進められているところではありますが、私もかねてよりこどもに対する継続的な支援に関して、所得制限の撤廃を求めてまいりました。
本事業では3万円の電子クーポンを配布するという一時的な支援にとどまった理由、また、3万円という金額の妥当性と電子クーポンの登録申請がなかった場合の精算について伺います。
◯こども家庭支援課長
まず、継続性についてお答えいたします。
今回は、緊急的に令和5年度限りの事業ということで実施しているところでございます。継続性のある支援という場合は、当然ながら財源負担も継続されるというところがございますので、慎重に検討していく必要があると認識してございます。
来年度、江東区は家事・育児支援の派遣事業なども実施します。これ10分の10補助と、こちらは6年度までの東京都の補助事業になっているんですけれども、そういったものも活用しながらやっているところですが、今後も財源ですとかその事業の必要性、また、他施策での対応などを検討しながら、効果的に子育て支援施策に取り組んでいきたいと思ってございます。
3万円の金額というところなんですけれども、ここ数年、他区においても児童5万円の商品券を配布したりとかいろいろやってございまして、江東区も臨時給付金で5万円支給してきたという実績がございます。今回は、1万円ではやはり購入できるものがある程度限られてしまう。ある程度幅広く購入できるような金額設定をと考えたところもございます。また、児童手当の特例給付、これが5,000円となってございますので、これの半年分目安ということで金額設定しているところでございます。
最後に、不要分ということでございます。こちら、年度内に事業を終了させる必要がございますので、クーポンの交換期限を設けてございます。その交換期限内に使用されなかった、交換されなかった分、こちらは精算対象ということで戻していただく。また、こちらから通知をお送りしたときにQRコード等が不着の部分、届かない分、これも一応精算ということで考えているところでございます。
以上でございます。
◯さんのへあや委員
ありがとうございます。子育て支援は、引き続き江東区でこどもを産み育てて、住み続けてもらうための定住促進ですとか、2人目の壁を打破するという可能性を秘めていると思います。今後も所得制限のない継続性のある子育て支援を要望し、次の障害福祉サービスにおける所得制限についての質疑に移ります。
3点目、江東区では、障害福祉サービスの定率負担として、国基準により、所得に応じて4区分の負担上限月額が設定されています。一番上限額が高いものが、一般2に区分される市町村民税課税世帯の3万7,200円ですが、現在、江東区内でこの区分に該当する世帯数がどれほどあるか、また、全体の利用世帯と比較して、どれほどの割合を占めているでしょうか。
◯障害者支援課長
現在の負担上限額、3万7,200円の世帯数でございますけども、障害児のいらっしゃる世帯につきましては、676世帯、率にして32.9%ということになってございます。
以上でございます。
◯さんのへあや委員
全体のおよそ30%が上限額で福祉サービスを利用されているという理解でよろしいでしょうか。
◯障害者支援課長
御指摘のとおりでございます。
◯さんのへあや委員
ありがとうございます。特別障害者手当ですとか20歳未満の障害児を持つ家庭には特別児童扶養手当が支給されていますが、これらは一定の所得制限額を超えると、障害の重さを問わず、一切の支給が行われません。働いて経済的に自立し、支援される側から納税者側になりたいのに、こうした所得制限によって自立が難しくなってしまうケースや重症心身障害児をお持ちの御家庭からは、障害児の介護のために共働きが難しくなる上、手当をもらえず、自己負担ばかりが重くのしかかっている厳しい現状が報告されています。
障害者支援の多くは国制度ではありますが、都内自治体ではこうした所得制限を受ける方、あるいは世帯に対する支援が実施されています。独自の助成を受けられている他区からの利用者も江東区内の福祉サービスを受けることができますので、江東区として区民の福祉サービス利用を促すためにも、独自助成支援の実施を要望し、質問を終わります。
出典:江東区議会会議録