2022年(令和4年)3月3日 予算審査特別委員会

◯さんのへあや委員 
 スケートボードパーク整備事業について伺います。
 令和3年度補正予算(第6号)では、スケートボードパークの整備にかかる地盤調査費用として468万円が計上されました。災害時や緊急時に組まれるはずの補正予算の趣旨にそぐわず、機運を逃さないという極めて曖昧な理由、かつマナー問題に対する具体的な解決策が示されないまま、令和4年度11月までの開業を全庁を挙げて目指すという江東区の姿勢に疑念を抱き、反対を表明した経緯があります。
 令和4年度当初予算では、建設費として2億7,347万3,000円が計上されています。既に質疑もありましたが、ここで改めて、なぜ江東区として多額の税金を投入し、区立のスケートボードパークを建設する必要があるのか、また令和4年11月までの開業を目指すとした理由について再度お聞かせください。

◯スポーツ振興課長 
 まず、スケートボードパーク整備の必要性についてでございますけれども、前回のオリンピック大会、1964年以来、57年ぶりに東京でオリンピックが開催されたものでございます。そこで新種目として採用されたスケートボード競技について、その会場が江東区に設置され、かつその初代金メダリストが江東区出身の選手であったと。今大会を契機にスケートボードが注目される中で、その機運の中心に位置しているのが本区であり、その本区がこの好機を逃すことなく速やかにパーク整備を行うことで、スケートボードをルールのあるスポーツとして発展させていけるものと考えてございます。これがスケートボードパーク整備の必要性でございます。
 また、今年11月開業の理由についてでございますけれども、これから設計、あるいは契約、それぞれの事務を行っていかなくてはいけない中で、最も速やかに整備をしたとしても、今年の秋10月、11月以降ということで、この11月にオープンというのを決定いたしました。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 具体的に区民の方からスケートボードが利用できる場所について、何か要望を受けたりですとか、あとこの時までになるべく早く整備してくださいといった御意見があったのでしょうか。

◯スポーツ振興課長 
 スケートボードパーク整備の区民からの要望でございますけれども、例えば豊洲に今、予約制ではございますけれども、無料で利用できるスケートボードパークが昨年9月に一旦閉鎖が発表されたときにも、多くの区民の方から、ぜひ江東区のほうで延長できるように取り計らってほしいという御意見をいただいたほか、令和2年になりますけれども、お子さんを持つ母親の方から、スケートボードをこどもに安全にさせたいので、ぜひ整備してほしいという声があったこともございます。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 2018年4月から区立スケートボード場の構想が発表された後の2021年11月の間に、区長への手紙、教育委員会、庁舎窓口苦情要望受付、各課へのウエブ問合せなど、あらゆる窓口に寄せられたスケートボードに関する区民からの意見、要望を全て情報開示請求により調査させていただきました。計131件あったのですけれども、マナー違反者への対応を求める声が66%と最も多く、次いでスケートボードの利用場所、今おっしゃっていただいたように、これを求める声の要望が24%、その他が7%、スケートボードパーク建設反対に関する意見は3%でした。確かにスケートボードの利用場所を求める声というのが区民の方から出ています。しかしながら、この内訳を見ると、既存の河川敷公園や土手などに利用できる場所を併設することを求める要望が64%、同時に効果的なマナー啓発をするのであれば、ほかに利用場所を造ったほうがいいのではないですかという条件付の賛成の声が25%、東京2020大会の競技会場となった有明アーバンスポーツパークの再利用や、今おっしゃっていただいたように、既存の私営施設の運営継続を求める声というのが11%でした。
 ちなみに既存の河川敷公園というところに夢の島を希望される声はありませんでした。そのためどれだけの利用者が見込まれるのか、需要があるのかという点が不明瞭です。
 また、先日東京都が有明アーバンスポーツパークの整備方針を発表しましたが、大会で使用された競技場のほかにも初心者向けエリアの整備をするとしています。有明アーバンスポーツパークのすぐそばに、ゆりかもめの駅や有明ガーデンなどの商業施設があり、また大会開催にも利用できる施設として区内外から多数の利用者が見込まれています。区立のスケートボードパークは、あえて初心者から中級者向けに造るということで、計画段階ではこうした東京都の施設と利用者のすみ分けを目的としていたはずで、東京都が先日のとおり方針変更を発表した現在においては、同じ湾岸地域の中でも、アクセスが不便な地域にスケートボードができる施設を江東区があえて新設することとなってしまいました。
 こうした点を踏まえて、現時点で江東区としてどれだけの利用者を見込んでいるのか、また利用者を増やすための取組などがあればお示しください。

◯スポーツ振興課長 
 では、まず利用者見込みについてでございます。
 本区は、昨年11月に関東近県のスケートボードパーク20か所以上にアンケート調査を実施し、回答いただいたパークの年間利用者についても把握してございます。調査の中で最も多かったところは年間7万人、続いて3万8,000人の利用者となっておりますが、これはどちらも関東近県の大規模なパークであり、若干参考にはならないところでございます。23区に限りますと、一番多いところで1万1,000人、下のほうが大体4,000人となってございます。
 本区は、これらの他の自治体の中で、規模的にも、あるいは内容的にも似ているのではないかというパークから数字を想定して、おおむね年間で1万人から1万1,000人を見込んでございます。
 次に、利用者を増やす取組についてでございますけれども、これまで競技関係者との意見交換会等を行いまして一番感じたことは、魅力的なパークでないと、幾ら宣伝しても、幾らPRしても、リピーターと呼ばれる利用者は来ない、逆に本当にスケートボーダーの気持ちが分かる、スケートボードという競技を理解しているパークを造れば、それほどのPRをしなくても、口づてにあそこは面白い、とてもいいパークだということで利用者が増えるという御意見もいただいてございます。
 現在設計しているところですけれども、来てみて、やはりこどもから大人までスケートボードをやってみて楽しかった、こういうパークを整備することが何よりのPRと考えてございます。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 情報開示請求により、夢の島スケートボード場設置に関する意見交換会や庁内検討会の議事録を確認し、何点か気になった箇所を質疑させていただきます。
 まず、スケートボード場建設にかかるクラウドファンディングですが、募集額を5,000万円としたのは、ギミック代と明記されていました。寄附金額が少なければ会場のギミックが減るという認識でよろしいでしょうか。また、本クラウドファンディングは、オールイン方式という寄附金額が目標金額に達しない場合であっても、事業は実施するという認識です。全国の自治体でも行われているオールイン方式のクラウドファンディングも拝見しましたが、いずれも寄附を開始する前に工事が既に始められているものがほとんどでした。予算可決前にクラウドファンディングを実施してしまうと、万が一事業が否決によりできなくなった場合、いただいた寄附金はどのような扱いになるのでしょうか。

◯スポーツ振興課長 
 本区が行っているクラウドファンディングにつきましては、5,000万円という設定をさせていただきますけれども、当然この金額に達しないものであっても、事業を中止することはなく、このまま継続して歳入とさせていただきます。また、事業が中止になった場合についても、こちらについては歳入とすることになります。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 予算可決という計画、執行の見通しがない時点で寄附を募るというのは、不適切ではないかと思います。庁内検討会では、埋立地という夢の島の土地の性質上、またコンクリートを使用して建設することからも、メンテナンスにも多額の費用がかかることが指摘されています。具体的にどれほどの金額が維持コストとして想定されるのか、施設利用料も含め、整備事業以外にも今後発生し続けるコストとして、予算審査の場で審議する必要があります。方針をお示しください。

◯スポーツ振興課長 
 スケートボードパークの維持管理コストについてでございます。スケートボードパークも施設でございますので、造っておしまいではございません。その中で例えば消耗品費であったり、施設、備品などの修繕費、あるいは光熱費、清掃、点検といった施設保全費などがかかります。
 先ほど申し上げました20か所以上のアンケート調査によって、スケートボードパークを持っている他区の自治体でどのような年間維持費を持っていて、どのように支出しているかというのを調査させていただいております。
 その中では、やはりランニングコストで一番大きいのは人件費となってございまして、有人管理であるか無人管理であるか、あるいは施設の性質とか、先ほど申し上げましたけれども、ただコンクリートだけのパークなのか、さんのへ委員御指摘のとおり、ギミック、いわゆるセクションと呼ばれるものですけれども、障害物を置くのかによって、本当に施設の性格によって維持管理費は大きく異なるものでございます。
 この調査の中では、最も高いもので4,000万円を超えていますけれども、それ以外で例えば23区の中では3,500万円から300万円余に大きく数字が振れてございます。
 現在パーク整備は、設計、これから工事に入る段階でございます。本区のパーク設計は、仕様が固まり次第内容を精査するとともに、近似の他区の自治体のパークの状況を把握、調査しながら今後精査してまいります。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 維持費を占めるところで、人件費の割合が多いという御説明が今あったのですが、有人か無人かという点は今決まっているのでしょうか。

◯スポーツ振興課長 
 スケートボードパークは、管理及びその安全性の確保の面から有人の方向で検討してございます。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 それでは、維持費の中に人件費がかかってくるということですね。
 マナー啓発についてはいかがでしょうか。新木場駅から夢の島までのプッシュ行為の防止や、ほかの地域で散見されるマナー違反者が、夢の島にスケートボードパークを設立することによって減るかどうか、江東区として効果的なマナー啓発方法については打ち出されているでしょうか。補正予算6号での審議以降新たに決まったものがあれば教えてください。

◯スポーツ振興課長 
 スケートボードパークの整備に当たって、スケートボードを正しく利用するという啓発については本当に大切でございます。パーク整備とともに、マナー啓発を同時並行で進めていかなくてはいけない問題と考えてございます。
 一方で、例えばマナー啓発については、区報やSNS、そういったもので周知するのもとても大切な手段ではありますけれども、区が一方的に上からこれをやめなさい、あれをやめなさいという効果については、限定的かもしれないという意見は競技関係者からもいただいております。それよりも競技関係者からいただいたのは、利用者が自分たちでルールを守っていくのだと、スケートボードをやっていく仲間がみんなで連携してマナー啓発を行っていく、この取組のほうが長続きするし、より効果的であるという御意見をいただいてございます。
 本区としても、区が一方的にただマナー啓発をするだけではなくて、利用者が互いにマナーを守れる仕組みづくりを支援していきたいと考えてございます。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 これまで様々な質疑をさせていただきましたが、特に今後発生する費用面において、人件費がかかるというところですが、具体的な金額はまだ示されていないというところで、具体的な計画が示されないまま、結論ありきで計画が進められていることに非常に違和感を抱いています。これでどうやって予算について区民に説明すればいいのか、また予算可決前にクラウドファンディングで既成事実をつくるというのは、議会軽視ではないでしょうか。今の時点で利用見込数、有料か無料か、具体的なマナー対策、どんな問題が解決できるのか、なぜ既存施設の再活用をせず新規で建設するのか、税金3億円弱をかけてやる理由を、誠意を持って区民の代表が集う議会に対して明確に説明できて、初めて審査ができると考えます。
 改めてこのコロナ禍で財政需要も厳しい中、新規の事業に3億円をかける意義をお示しください。

◯スポーツ振興課長 
 現在コロナ禍で、区としても、財政的にも非常に厳しい状況であります。
 ただ一方で、先ほど申し上げたとおり、57年ぶりに東京オリンピックが開催され、絶好のスポーツ振興の機会であり、また江東区が堀米雄斗選手という本区出身の選手を育て上げた、そしてこれは江東区を区外、区内、あるいは国内、国外にPRする絶好のチャンスである、何よりもスケートボードはスポーツであるというはっきりとした認識の下、スポーツとして発展させていく必要がございます。そういった意味でこの時期にスケートボードパークを整備するものでございます。
 以上でございます。

◯さんのへあや委員 
 これだけ多額の税金を使うのであれば、なおさら、その効果について、私は一度立ち止まって考え直したほうがいいと思います。
 以上で質問を終わります。

出典:江東区議会会議録