2021年(令和3年)9月21日 第3回定例会

◯議長(榎本雄一議員) 
 10番さんのへあや議員。

(10番さんのへあや議員登壇)

◯10番(さんのへあや議員) 
 江東・自由を守る会、さんのへあやです。通告順に従い、大綱3点にわたり質問させていただきます。
 大綱1点目、教育政策のうちPTA活動について伺います。
 PTAの目的は、会員である保護者と教職員が協力し合い、家庭、学校、地域社会において、こどもの幸せの実現のために健全な育成を図ることです。
 コロナ禍において、PTAでは例年どおりの行事イベントが開催できず、この目的どおりの活動ができないという課題に直面していますが、そのような時期だからこそ、PTAに関する課題の解決を支援し、今後のために適正化・活性化を図る必要があると考えます。
 まず、自動強制入会の実態についてです。
 江東区教育委員会が毎年PTA会長宛てに参考資料として配布している「PTA活動について」では、各PTAで入学説明会や保護者会などの機会を捉えて、PTAの任意加入、会費の引き落とし方法などを丁寧に説明することが必要だと記載されています。また、別ページにおいては、PTAについて、「社会教育関係団体は会の目的に賛同する任意の団体で、入会を強制するものではない」と明記されています。
 その一方、平成31年に全江東区立小中学校を対象に行われたPTA基礎研修会アンケートによると、小学校において「入会届なし」と回答したのは、最も多い28校で全体の62.2%、「入会届あり」と回答したのは、14校で全体の31.1%、未回答が3校、中学校も同様で、「入会届なし」と回答したのが最も多く、18校で全体の78.3%、「入会届あり」と回答したのは僅か5校でした。
 区内にお住まいの保護者の方からも、「PTA加入に関して、入会届の提出もなく、そもそも任意加入である旨を知らなかった」という御意見を頂戴しております。
 全国的にもこうした自動加入が横行している実態を踏まえて、川崎市PTA連絡協議会においては、PTA適正化・活性化を目的としたガイドラインを発行しています。このガイドラインは、「PTAの加入に際し、PTA会長や役員から新たに会員になる人に対して、加入の任意性はもちろん、PTA活動の内容、必要性、入会手続、退会手続、会費の納入方法などについて、入学前(遅くとも会費納入前)までに説明し、本人の意思で加入するかどうか選択できるようにする必要がある」と明記してあります。
 一方、半数以上の江東区立小中学校においては、入会届という意思確認を行わず、多くのPTAが自動入会となっている実態を踏まえると、区教育委員会として、PTAが任意加入である旨を再度改めて周知する必要があると考えます。
 先述したPTA適正化・活性化を目的としたガイドラインの作成、さらには入会届の整備を促す必要があるかと存じますが、江東区教育委員会としてその見解を伺います。
 実際にPTAの「入会届なし」という区立中学校に通う保護者から話を伺いましたが、PTAとして入会届を徴収しない代わりに、入会の意思がなければ非入会届を提出するよう要求されたとのことです。
 非入会届の文面には、PTA会費で運営されている企画への参加、記念品や金銭の受領ができないことに承諾するよう明記されています。入会の承認を得る相手が保護者である一方、その不利益を受けるのはこどもという旨の条件は、事実上の退会障壁、阻止行為になり得るものです。
 また、冒頭申し上げたPTA本来の目的、こどもの幸せの実現のために健全な育成を図るものであるのに対して、このような非会員への差別的取扱いは活動目的と相反するもので、非入会届ではなく入会届により入会の意思確認ができるということを申しておきます。
 次に、PTA会費徴収手段と会計の透明性確保について伺います。
 冒頭申し上げたように、区教委として会費の引き落とし方法についても丁寧に説明することが必要としています。その実態ですが、PTA基礎研修会アンケートによると、給食費や教材費と同時に口座から引き落とされる自動払込方式が最も多く、小学校では半数以上の28校、中学校においては20校全てにおいて、自動払込方式が採用されています。
 入会の意思確認が十分に行われた上での会費自動払込みは合理的な手法と考えられますが、先述したように、半数以上の小中学校においては入会届が整備されていません。PTAの自動入会に加え、会費の自動引き落としが横行していることは、保護者は入会と同時に支払いを拒否できない状況となるおそれがあり、その結果、PTAは全員の入会が当然とされ、活動内容の見直しや活性化が行われないという負のスパイラルに陥っていると言えます。
 先ほどの入会届の整備と併せて、この自動払込会費徴収手段は果たして適切と言えるのか、給食費や教材費等の引き落とし口座がPTA会費の払込口座と連携していることから、会員と会費の管理は学校と独立して行うことが必要ではないか、区教委の見解を伺います。
 また、地方財政法上では、「本来公費で負担すべきお金を私費(保護者負担金)やPTA会費で負担することは違反」と解されています。
 先ほど指摘したように、入会届の提出が求められていない、つまり完全な任意加入でない状態で、PTAに支払われた会費を使用して学校へ寄附行為を行うことは、地方財政法上の違反に当たるのではないかという指摘に対する区教委の見解をお聞かせください。
 あくまでもPTAは区の外部団体であるので区教委は関係ないということはなく、消費者契約法では、「対象者に対して参加するかどうかの判断をするための十分な情報提供」を行うことが求められており、その第5条では、媒介の委託を受けた第三者及び代理人として学校も適用される旨が明記されています。江東区教育委員会として、学校として、保護者に対するPTA入会の意思確認の徹底を改めて求め、次の質問に移ります。
 大綱2点目は、障害者福祉政策、障害者雇用の展開についてです。
 本区において多くの競技が開催されたパラリンピック大会を機に、地域施設や公共交通機関におけるバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化等が進められてきました。しかしながら、区民アンケートの調査で、「江東区は多様性を認め合い、誰もが尊重され、暮らしやすいまちである」と思う区民の割合が、令和元年度においては46.3%、令和2年度には41.8%に減少し、目標の80%から大きく乖離しています。
 共生社会の実現はハード面の整備だけでなく、人々の意識や心の中の障壁をなくしてこそ実現できると考えます。私は、区議就任以来、共生社会の実現を目指すソーシャルワーカーとして、毎年本区における障害者福祉政策に関して質疑をさせていただいております。
 令和元年6月に障害者雇用促進法が改正され、本区の障害者活躍推進計画が策定されました。また、本年3月1日から、国、自治体の障害者の法定雇用率が2.5%から2.6%に引き上げられました。障害者活躍推進計画の下、「障害のある職員がその能力を有効に発揮でき、生き生きと働くことのできる職場となるよう、確実に取組を進めていきます」とあります。本区において実際にどれほどの促進策が実現できたのか、6月1日時点での障害者法定雇用率を伺います。
 昨年度、私は江東区役所における法定雇用率の未達成を指摘すると同時に、会計年度任用職員制度を利用した積極的任用を提案しました。その際、区長答弁で、会計年度任用職員を活用することについて、今後の検討課題とするとのことでしたが、同計画においては、特別区統一採用選考による常勤職員としての採用のほか、会計年度任用職員としての採用があると明記されました。
 定着に関する目標の中で、「長期的かつ安定的な就労につなげていくことが重要」とありますが、契約期間や定着率に課題のある会計年度任用職員に対してどのように定着支援を進めていくのか、本区の見解を伺います。
 次に、法定雇用率達成に向けての具体的な計画について伺います。
 令和6年度までに法定雇用率2.6%を達成するためには、現状の採用方法、職場配置では限界があると考えます。そこで、令和2年の決算審査でも提案させていただいたとおり、先進自治体の取組事例に倣い、区役所内での事務を一堂に集約する形で、障害特性に合った業務を全庁から集めて仕事を創出することや、障害者活躍推進計画でも明記されているとおり、会計年度任用職員制度を活用して就労の場を創出する必要があると考えるが、今後の区の方針を改めて伺います。
 大綱3点目、行財政改革、不正癒着を徹底撲滅する区政手続について伺います。
 昨年度より不正な手続によって実施された疑いのある物品契約について、情報開示請求による調査を行っています。私は、かねてより税金を使って行うことはすべからくフルオープンでやるべきと訴え続けており、特に不正癒着が疑われるケースにおいて、説明責任が足りない点を追及し続けています。
 そこで改めて伺います。本区においては、契約一般条項において、落札あるいは指名業者による再委託を禁止しています。改めてその二次的契約及び再委託の定義について伺います。
 また、契約における再委託禁止をどのように調査、把握しておられるのでしょうか。これに違反するとどのようなペナルティーが業者に与えられるのかをお示しください。
 昨年度の一般質問の中で私は、公平な入札を実施して競争を正しく働かせるため、工事請負以外の入札に指名業者選定委員会を設置する必要があると質疑しましたが、物品委託等の契約は年間2,000件余りに及んでおり、指名業者選定委員会を設置することは困難との答弁がなされました。物品調達における契約件数の多さが指名業者選定委員会の設置を阻む理由となるのであれば、区議会への報告同様、契約状況調書にまとめられる2,000万円以上の契約においては、指名業者選定委員会を設置すべきですが、区の見解を伺います。
 それでも設置ができないのであれば、落札業者以外全てが入札辞退という実質上の随意契約が発生した際、なぜこの業者を選んだかという説明責任を明白にするため、東京都同様、業者が入札辞退をする際には辞退理由を入力しなければ辞退できないシステムに変更すべきです。
 なお、前回答弁にあった「入札手続における透明性、公正性の確保については、電子調達サービスのホームページ及び情報公開コーナーで公表している」という内容では、業者の辞退理由及び指名理由が一切分からず、選定理由が不透明であることに変わりがないことを再度申し上げます。
 最後に、適切な価格の検証、反映について伺います。
 江東区が各業者に対し見積りを徴収する際、見積書に日付や有効期限が入っていないことが慣習となっているように見受けられます。日付や有効期限のない見積書では適正な価格検証が行えず、ビジネスの基本としても受け入れ難いものです。参考程度の見積書であっても、その金額が契約に直結する可能性があることからも、江東区として見積書に必ず日付を入れていただくよう改めるべきと思いますが、見解を伺います。
 また、防災備蓄品など、同じものを同じ時期に調達する場合において、価格の適正化がどのように担保されているのでしょうか。昨年度、私が指摘した高齢者に配布した冷感タオルと今年、小中学生に配布したクールタオルを比較すると、細かな仕様は異なりますが、3倍も価格が違うことが判明しました。競争入札を実施すること、つまり競争に付すこと以外に、価格の適正化への取組がどのように実行されているのか、お答えください。
 以上をもちまして、江東・自由を守る会、さんのへあやの質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   
(山崎孝明区長登壇)

◯区長(山崎孝明) 
 さんのへあや議員の御質問にお答えします。
 障害者福祉政策についてであります。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が終わった今、大会後のレガシーの一つとして共生社会のさらなる推進が必要であると実感しているところであります。
 初めに、障害者雇用の展開についてのうち、江東区職員の障害者活躍推進計画についてです。
 本年6月1日現在の江東区における障害者雇用率は2.09%で、残念ながら法定雇用率2.6%を達成することはできませんでした。これは、障害がある職員の想定外の退職や、職員本人の申出や同意がないと雇用率に算定できないことなどの要因によるものであります。
 なお、昨年度の取組においては、職員の不本意な離職は生じていない状況となっております。
 法定雇用率は未達成でありますが、本区では、直接雇用のほかにも障害者の活躍を後押しする事業に取り組んでおります。代表的な事例では、手づくりショップるーくるの運営があります。区役所2階及び総合区民センター2階に売場を設け、多くの区民、職員からも好評を得ております。食品や工芸品など様々な商品を作り、梱包し、売場へ運び販売する、こうした一連の業務を障害者と支援者が行い、来庁者サービスに尽力しています。
 また、障害者が活躍する施設として、区が全面的に支援して10年ほど前に設立しました発泡トレイ等の資源再生処理を行うエコミラ江東は、NPO法人が行う環境福祉教育の一体型事業で、区の環境清掃事業に役立つ業務を担っていただいております。現在11名だと思いますが、知的障害者の方々に懸命に働いていただいております。
 このように、法定雇用率には算定できずとも、本区としては、実質的な障害者雇用の推進と自立した生活をサポートしているものと認識しております。
 また、障害を持つ職員の職場の定着については、障害者活躍に対する全庁的な理解と協力が不可欠であり、その支援についても全庁一丸で取り組む必要があります。
 今後、障害者部門をはじめとした庁内他部署との連携はもちろんのこと、障害者活躍の専門的知見を持つ就労支援機関やハローワークとも連携し、障害者雇用及び定着支援を進めてまいります。
 次に、法定雇用率達成に向けてについてです。
 法定雇用率を達成する新たな取組として、本年度一般会計補正予算(第5号)の中で、障害を持つ会計年度任用職員の採用、集約型組織の設置の準備を進めていきます。
 江東区職員の障害者活躍推進計画に基づく特別区統一選考による常勤職員の計画的採用に加え、新たな取組となる障害を持つ会計年度任用職員の採用により、計画的に法定雇用率を達成したいと考えております。
 予定している事業内容としては、障害特性や能力を踏まえた業務を全庁から集めて仕事を創出し、会計年度任用職員の障害特性と能力に合った業務のマッチングにより、安定的な雇用創出につなげてまいります。
 障害がある方がその能力を発揮し、江東区の組織の一員として生き生きと働くことができるよう、共生社会の実現に向け、今後も着実に取組を推進してまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。
   
(杉村勝利教育委員会事務局次長登壇)

◯教育委員会事務局次長(杉村勝利) 
 次に、教育政策についての御質問にお答えします。
 PTAの現状についてであります。
 まず、自動強制入会の実態についてですが、PTAへの入会を巡っては、毎年度当初、各学校現場において、それぞれのPTAが個々に入会等の説明、対応を行っております。その際、受け取り方によっては、自動的あるいは強制的という捉え方をされる保護者が一部にいたことは聞き及んでおります。
 本来PTAは、保護者と教職員が協力し合うことにより、家庭、学校、地域社会において、こどもの幸せの実現のために様々な健全育成事業を推進していく重要な社会教育関係団体であります。教育委員会では、PTAを重要なパートナーと位置づけ、それぞれの役員、委員を対象とした研修会や連合会行事等の実施に係る過程も含め、支援などを行ってきているところです。
 しかしながら、PTAは自立した任意の団体であり、組織を構成する会員の加入・非加入については、一人一人の自由意思に基づき個々に判断されるべきものと認識をしております。
 入会時における手続はもとより、その後の具体的な運営方法等についても、各PTA内部で十分協議した上で実施されていくべきものであり、教育委員会としてPTAに関するガイドライン等を策定する考えはございません。
 次に、会費徴収手段と会計についてであります。
 PTA会費の支払い方法について、給食費など、他の経費とともに金融機関口座から一括して引き落としがなされていることについては、振替口座の一元管理による個人情報保護や振込手数料の節約など、保護者側のメリットを考慮した上での対応であると認識をしております。
 保護者の個人口座に関する情報については、学校の給食費担当者と金融機関のみが管理しており、PTAは知り得る立場とはなっていないのが現状です。
 また、PTAによる学校への寄附・寄贈に関しては、入会が会員自身の意思によるものであることを前提に集められた会費であるとの認識に立ち、各PTAの定める規約にのっとった形で活用用途の一つとして実行されているものと捉えており、直ちに法に抵触するものとは考えてございません。
 PTAの目的は、我が子を含む全てのこどもたちが、豊かな学校生活や地域生活を送るために活動することにあり、このことは全てのPTAに共通するものであります。
 PTAは任意の社会教育関係団体であることから、教育委員会による指導、介入はできませんが、研修会や会長会などの機会を捉えて、各組織が会員への丁寧な説明や、入会時あるいは会費の支払い手続時に同意を得ることなど、適切なPTA運営の在り方について問題を提起していくことにより、多くの保護者の理解の上に立脚したよりよいPTAとして持続的に発展していくよう、今後も支援を続けてまいります。
   
(伊東直樹総務部長登壇)

◯総務部長(伊東直樹) 
 次に、本区の行財政改革についての質問にお答えします。
 不正癒着を徹底撲滅する区政手続についてです。
 まず、二次的契約(再委託契約)の禁止についてです。
 その定義は、委託業務の全部または一部を契約者自らが実施せず、外注や下請に発注する場合を言い、本区の一般的な委託契約に係る契約条項では、これを原則禁止しています。
 次に、再委託禁止規定をどのように調査、把握、確認しているかについてですが、事業所管課において履行状況の確認の中で行っています。
 次に、この規定に違反した場合の罰則については、江東区競争入札参加有資格者指名停止措置要綱の定めるところにより、指名停止措置を行うこととなります。
 なお、これは履行完了後に判明した場合も同様であります。
 次に、指名業者選定委員会についてです。
 まず、2,000万円以上の物品・委託等契約に係る指名競争入札に、指名業者選定委員会を設置することについてです。
 2,000万円以上の物品・委託等契約件数は約200件程度ですが、指名業者選定委員会を設置することに伴う調達業務の効率化という点では課題があると考えます。今後、他自治体における指名業者選定委員会の実施状況等の把握を行うなど、研究してまいります。
 次に、電子調達システムにおいて、応札者が辞退理由の入力を行わないと辞退できないシステムに変更すべきであるとの御提案であります。本区が加入する東京電子自治体共同運営電子調達サービスでは、安易な入札を防止するため、辞退を希望する場合には、電子システム上で辞退届を提出することとなっているものの、辞退理由を入力しなくても辞退の意思表示が完了するシステムとなっています。
 辞退の理由を把握することは、発注者としても、今後の仕様書や案件作成の改善に資するものと認識しておりますが、システム改修は、東京電子自治体共同運営協議会に参加している他の団体にも影響を及ぼすため、慎重に行う必要があります。
 次に、適正な価格の検証についてです。
 まず、見積書の日付記入を行うべきではないかとの御質問です。
 区では、見積書の基本的な取扱いとして、見積書を受領した際に、日付、住所、代表者職氏名の記載があるかなど、確認することとしています。
 次に、適正な価格の検証についてです。
 入札結果等は、次年度の積算基準の参考となるよう、事業所管課及び予算主管課へ送付しています。また、予算編成時には、予算及び契約主管課から、見積書の徴取に当たっては、複数社に対して行い、適正な市場価格の把握に努めるよう求めています。
 このように、過年度の実績と当該年度の見積書とを併せて検討、分析する中で価格の検証が行われているものと考えます。

出典:江東区議会会議録