はじめに
東京都議会議員選挙が今年6月13日(金)告示、22日(日)投開票の日程で行われることになりました。都議選は42選挙区で行われ、合計127の議席を争う選挙です。
その42選挙区其々に定数が割り当てられているのですが、実は東京都議会においても"一票の格差"が生じていることをご存知でしょうか。

国政選挙ではよく話題にあがる"一票の格差"ですが、実は都議会議員選挙においても人口に応じた定数配分が実施されておらず、国政選挙同様に"一票の格差"が発生しているのです。
一票の格差とは…
ー Wikipediaページ『一票の格差』より抜粋(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E7%A5%A8%E3%81%AE%E6%A0%BC%E5%B7%AE)
同一の選挙で選挙区ごとの有権者数あるいは人口数が違うことから、1票の価値あるいは選挙区民一人ひとりの価値が異なることを指摘する言葉[1]。報道機関では「1票の価値」とも表現され、裁判所の判決文や総務省発表資料等では「投票価値の較差」「投票価値の不平等」とも表現されている[2]。
本来、議員定数は人口の変動によって適宜見直される事が求められています。
しかしながら、最後に定数が変更されたのは前回都議選前の2020年が最後で、その変更時から「未だ現状に見合っていない」事が議会で指摘されていました。
そこで、本ブログでは、現在どの様な1票の格差(意味は異なりますが較差と表記するケースもあります)が発生しているのかを確認し、何よりも都民の皆様に知って頂きたい論点として"この定数配分は誰がどの様に決めているのか"をご紹介します。
現状の格差
東京都議会の公式サイトによれば、選挙区や議員定数の決め方について以下のように説明しています。
選挙区は、原則として区・市ごとに設けられていますが、複数の市や町・村で一つの選挙区になっている場合もあります。
https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/outline/member.html
東京都には、42の選挙区があり、それぞれ人口に応じて、議員の数(議員定数)が定められています。
現状がどのようになっているが、最新の2025年1月1日時点での各選挙区における人口に対する都議会議員定数を当てはめ、議員定数1に対する人口を算出してみました。

区部における最大値は中央区で186,460人、最小値は千代田区の68,473人でその差は2.72倍でした。


市部における最大値は調布市と狛江市を含む北多摩第三地区で272,146人、最小値は立川市で92,700人でその差は2.93倍でした。
(島部においては議員定数が最小数の1であるため、比較の対象外としております)
以下はグラフで区部における現状の一票の格差を表したものです。

人口に応じて議員の数(議員定数)が定められているとされている割には、市部や島部と違い各自治体毎に定数が与えられている区部でさえ2.72倍の格差がある事がわかりました。
どうしたら一票の格差を是正できるか?
この差を可能な限り等しいものに変え、一票の格差を可能な限り無くすために2024年10月27日に投開票が行われた衆院選でも導入されたのがアダムス方式という計算式です。
アダムス方式とは、各都道府県の人口÷定数X=各都道府県の選挙区数という計算式を用いて、各選挙区の人口が可能な限り等しくなるように小選挙区を割り振るというものです。
アダムズ方式の特徴としては計算結果の小数点を切り上げるという点があるため、その利点としては各都道府県に1つ以上の選挙区が確保でき、一票の格差が是正されることが挙げられます。
このアダムズ方式を都議会議員選挙に当てはめて考えた場合、区部においては以下の様な定数の増減が考えられます。

中央区の定数を1→2に、新宿区の定数を4→3に、江東区の定数を4→5に、杉並区の定数を6→5、江戸川区の定数を5→6に変更してみました。
これにより最大値は134,187人、最小値は93,230人、その格差は1.43倍に改善されます。

こちらの方が明らかに一票の格差を無くすことができるにも関わらず、なぜ変更されないのでしょうか。
都議会の定数配分を決めているのは…都議会議員!
各選挙区における議員定数を決めているのかというと、大会派に所属する都議会議員が、しかも議事録が残らない会議で決めているのです。
その名も「都議会のあり方検討会(令和3年10月設置)」。議会運営委員会理事会のもとに設置されている会議体です。
現在所属しているメンバーは以下の通りです。

最後に都議会の定数が変更されたのは2020年の本検討会で、2021年の都議会議員選挙にて実行されました。
その時の経緯は、上田令子都議のブログから抜粋して紹介させて頂きます。
定数是正申し入れは本会は、4年前にもしておりました。
上田令子東京都議会議員ブログ「江戸川・江東の定数がなぜ増えぬ?!都議会版一票の格差に物申す」(http://blog.livedoor.jp/edomam/archives/52571807.html)
2020年司法関係者からは、練馬・江戸川を増やし、大田・新宿を減らす等「2増2減」を指摘されたというのに、小池知事の地元の練馬は増やして江戸川区は見送りとなったのです💢
百合子の天敵無所属のお姐を落選させたかった気持ちはわからないでもないwですが、結局次点で落ちたのは自民党であったという、権力者側にとっちゃぁ笑えないオチになったではないですか。
江戸川はお姐がいるから、「2025年都議選は江東増やす「1増1減」にするかな~」とか、都議会政局は考えていたのでしょうが、あにはからんや江東選挙区では、さんのへあや都議が補選で当選!
どっちも増やしたくなくなってしまった(大爆笑)
都議会国政政党、知事与党はさぁどうするか見ものです!
小数会派である地域政党自由を守る会は、この検討会に所属することができません。
そこで、2024年9月18日、地域政党自由を守る会 会派として⑴都議会のあり方検討会を公開すること、⑵一票の格差是正のために議員定数を見直すことを、全会派及び座長に対し要望書を提出しました。
論点も簡潔にまとめられておりますので、要望書の全文と併せて上田令子都議のブログも是非ご確認下さい↓
http://blog.livedoor.jp/edomam/archives/52571807.html
メンっ!と総括
会派として申し入れを行なったものの、その後あり方検討会では、議員定数について協議されている様子は残念ながらありません。
そのため、今年行われる都議選までに定数の見直しが行われないままとなる可能性が高いです。
それではどうすればよいのか?
先ずは現状を知っていただきたいです。こうした一票の格差が発生している現状や、実は都議会の定数は大会派の議員自身が決めているというについて都民の皆さまに広く知って頂く事により、「なぜ変わらないの?」という監視の目が都議会を動かす一助になると考えています。
次は、行動を起こしていただきたいです。本件に関する皆さまのご意見は、以下の窓口を通じて都議会へお寄せ頂くことができます。
■東京都議会「ご意見・ご要望」(←リンクはこちら)
リンク先のフォームは以下の通り。とても簡単に意見を送ることができます。

この窓口へのご意見・ご要望は、全会派に届けられ、議員が目を通すことになるもので、私のこれまでの議員としての経験上、少なからず今後の議員定数見直しの議論がなされる場に影響があるものと考えます。
都議会が、より公平に構成されるよう、引き続き皆さまと共に議会改革を推し進めていきたいです。
<参考情報>
私自身過去の判例等を見て大変勉強になりましたので、都議会の一票の格差について興味を持たれた方はこちらも是非ご一読ください。
第286号 東京都議会島しょ部特例選挙区の定数配分をめぐる訴訟
さんのへあや