2024年(令和6年)11月27日 厚生委員会
◯さんのへ委員
初めに、多数の資料のご用意をいただき、誠にありがとうございます。
最初に、重症心身障害児入所施設について伺います。資料の28をご参照ください。
重症心身障害児入所施設は、定員に変化がない一方で、待機者数は減っています。定員が増えた通所施設に待機者が流れたか、もしくは都外の施設を選択せざるを得ない状況だったのでしょうか。都の認識と見解を伺います。
◯加藤障害者施策推進部長
都は、障害児やその家族が地域で安心して暮らせるよう、日中活動の場である通所施設を整備するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでおります。
また、医療的ケアに対応できる看護師の加配に対する支援など、都独自の取組を行うことによりまして、令和三年度の八百八十三人から令和五年度には九百六十二人へと、通所事業の定員を七十九人増やしております。
◯さんのへ委員
通所施設の定員増加や看護師の加配の増加の取組により医療的ケア対応の通所定員を増やし、入所施設の待機者数が減っているとのご答弁でした。
一方で、全国的に見ますと、障害者入所施設やグループホームの待機者数が二万人を超えていることが新聞報道で明らかとなりました。ただ、こうした待機者の中には、複数の施設に申し込んでいる方ですとか、将来に備えて入所を希望する方、入所を申し込みつつも支援があれば地域で暮らしたい人などが混在しているため、厚労省は、待機者の定義などを整理するための実態を調べるとしています。
東京都として、待機者の基準や考え方は設定されているでしょうか。している場合は、入所の希望は本人によるものなのか、家族によるものなのか、また、入所希望時期はいつかなどの希望をどうやって確認をされているでしょうか。
◯加藤障害者施策推進部長
都では、福祉局月報におきまして、障害者支援施設等の利用が必要となった方であって、定員等の状況により当該月末までに利用できなかった人数を待機者として区市町村から報告を受けております。
施設入所の希望につきましては、各区市町村の障害福祉担当所管におきまして、本人や家族から入所希望施設や入所時期などを確認しております。
◯さんのへ委員
特に強度行動障害を持つご家族、保護者からは、都内施設に空きがない、もしくは入所を求めても断られてしまうという切実な声が届いています。昨年は、突然の施設の閉鎖などの出来事もあり、転出を余儀なくされた方もいらっしゃいます。
東京都として、強度行動障害を含む障害児者施設の整備に、いかに取り組んでいくでしょうか。また、ご家族の声として、可能であれば住み慣れた地域で親と共に暮らしていきたいという声もあります。これは、親亡き後のことを思うと保護者として当然の心情だと思います。
そこで、親も入居できる介護複合型の施設、グループホームの新設や誘致に対する取組はしているでしょうか。
◯加藤障害者施策推進部長
都は、重度障害者が地域で安心して暮らせるよう、障害者・障害児地域生活支援三か年プランに基づきまして、特別助成や補助金額の上乗せ等により、グループホームなどの地域生活基盤の整備を促進しております。
また、障害者やそのご家族がそれぞれの希望に応じ地域で生活ができるよう、様々な取組を行っております。
◯さんのへ委員
様々な取組を行っていただいているということなんですけれども、地域共生の理念に基づいて、都は、その仕組みづくりをまず支援すべきであると考えます。
東京都は、令和六年度予算方針でも、人を育み、誰もがいつまでも輝き続けられる成熟社会へと称して、年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、誰もが個性を生かし活躍できることが都市の持続可能性を支える重要な要素であるとしています。
ですが、実際に障害の有無を問わず地域で一緒に暮らしていくことができるように、例えば、民間事業者などがグループホームの設立などに取り組んだときに、縦割りの福祉制度が大きな壁となっています。
地域移行や生活支援に基づいた取組の一方で、特定の障害者や当事者家族が地域で孤立してしまうという現状を都としてご認識いただいて、介護が必要な方も障害をお持ちの方も一緒に入所できる、そうした複合施設の新設などの支援を行っていただくことを強く要望し、次の質問に移ります。
有料老人ホームについて伺います。
要求した資料、29によると、有料老人ホームにおける事故件数が大幅に増加傾向にあることが分かります。
この背景は単純な施設増によるものなのか、東京都はどのように捉えているか、見解を伺います。
◯梶野高齢者施策推進担当部長
有料老人ホームからの事故報告の件数が増加している背景といたしましては、施設の定員数の合計が、令和三年度五万八千二十五人、令和四年度六万三百二十一人、令和五年度が六万三千八百六十二人と年々増加していることに加えまして、東京都有料老人ホーム設置運営指導指針に基づき、事故発生時の報告の徹底について、事業者への指導に努めていることなどがあるものと考えております。
◯さんのへ委員
施設の定員増及び、そうした事故発生時の報告の徹底を東京都は努めているということです。
また、難病、パーキンソン病など、また末期がんの高齢者を対象にした有料老人ホームをめぐって、有料老人ホーム紹介会社に一人当たり百五十万円の紹介料を支払っていることが全国的に問題視されています。有料老人ホームの供給が過剰なエリアでは、入居者の取り合いが起きているとのことです。
東京都として、どのような規制、対策を行っているでしょうか。
◯梶野高齢者施策推進担当部長
有料老人ホームの運営事業者は、高齢者や家族からの申込みのほか紹介事業者からの紹介を利用するなど、様々な方法で入居者を確保しておりまして、紹介事業者の利用については、民間事業者間の契約により行われているものと認識をしております。
なお、今般の大阪での状況についての報道を受けまして、厚生労働省は、高齢者の介護度や医療の必要度等に応じて紹介手数料を設定することがないよう、是正を求める通知を業界団体に対して発出しております。
◯さんのへ委員
ありがとうございます。
次に、自立支援医療費について伺います。資料の34をご参照ください。
要求資料として、自立支援医療費の件数、合計金額のみが出ていますが、要求した病院別内訳は出せないのはなぜでしょうか。政令指定都市である千葉市では、自立支援医療費の公費負担額が医療機関ごとに公表されています。
都内の公費負担件数及び公費負担合計金額は増加の一途をたどっており、極端に自立支援医療費が多く支払われている医療機関があれば問題ですので、その点確認します。
◯新田障害者医療調整担当部長
自立支援医療費の公費負担分については、毎月、受給者ごとに診療報酬明細書等の審査、支払いを行っており、医療機関ごとに集計する仕組みとはなっておりません。
都では、診療報酬明細書等の点検委託を実施しており、重複請求や算定方法に誤り及び疑義がないか、自立支援医療制度の対象としている診療報酬について疑義がないか等について点検し、不正請求の防止を図っております。
◯さんのへ委員
生活保護世帯者が自立支援医療費を利用した場合、医療費は全て公費負担となり、自己負担額はありません。利用者の負担額がないため、病院が行った医療行為等の内容は利用者に開示されず、東京都として診療報酬明細の点検を行ったとしても、この対応では、自立支援医療費を使った不正請求が病院側でたとえ行われてしまっても、第三者が気づきにくいという点があり、後ほど質疑しますが、自立支援医療費制度を悪用した事件も発生しています。
そうした問題を未然に防ぐために、改めて医療機関ごとの自立支援医療費の公費負担額公表を強く求めて、次の質問に移ります。
次に、精神科医療機関について伺います。保健医療局に質疑がまたがるため、ここでは福祉局で出された要求資料の結果を基に何点か伺います。
資料の36、精神科医療機関における虐待が疑われる事案の件数及び内訳の推移ですが、令和三年度以前について資料がないのはなぜでしょうか。また、患者、家族、病院職員からの通報等により虐待を把握した件はあるでしょうか。ある場合は、その件数を教えてください。
◯新田障害者医療調整担当部長
令和三年度以前については、精神保健福祉法に基づく実地指導、精神科医療機関からの報告などにより都が把握した虐待が疑われる事案はありませんでした。
また、職員等からの通報等により把握した件数は、令和四年度は四件、令和五年度は十二件です。
◯さんのへ委員
ここで、順番が前後します。同じく資料、36について伺います。
精神保健福祉法に基づく実地指導で発見された虐待については、どのような対応をされたでしょうか。一般論として、書面審査が中心の実地指導では、虐待を発見することが困難と思われますが、どのようにして各虐待を発見されたのでしょうか。
さらに、虐待が疑われる事案が発生した場合に、直接被害者から聞き取りを行ったり、一旦都立病院に転院していただくなどして、患者の安全を確保してから聞き取りを行うなどの対応を行ったことはあるでしょうか。
◯新田障害者医療調整担当部長
都は、虐待通報窓口に寄せられた虐待通報については、内容等を事案ごとに個別に判断して、入院患者に対する虐待が強く疑われる場合などに事前の予告なしで立入検査を実施しています。立入検査では、病院職員だけでなく、入院患者からも聞き取りを行うなど、事実確認を行っています。
虐待行為等が確認された場合、都は、精神科病院の管理者に対して、提示した期限までに、指導事項の改善や再発防止に向けた具体的な取組を改善計画として作成し、都に提出することを求めています。
◯さんのへ委員
入院患者からも事実確認をされているとのことで、そこで様子も確認されているかと思います。
確認された虐待の被害者で、病院によるご家族への被害の説明やご本人への賠償等、病院による被害回復が確認できた例はあるでしょうか。また、そのような被害回復を行うよう、東京都として指導等をした実績がありましたら教えてください。
◯新田障害者医療調整担当部長
都は、虐待事案発生時における病院による家族等への説明や謝罪等の対応につきまして報告を受けております。
また、今年度からは、都は、精神科病院において虐待であると判断された場合の患者、家族等への報告、説明、謝罪、改善の必要性について、精神科病院の職員を対象とした研修で周知することとしています。
◯さんのへ委員
次に、旧滝山、以下、滝山病院について伺います。資料の53をご覧ください。
転退院七十八名のうち、東京都の退院支援により転退院した方は何名いらっしゃるでしょうか。
また、令和五年二月十五日以降から二年もたたないうちに四十八名もの方が亡くなっていますが、死因について、高齢の方や腎疾患を抱えた方が多かったという説明では、あまりにも言葉足らずであると指摘します。具体的に、死因を四十八名それぞれについて把握された上で、不審な死はないと把握しているということですか。東京都としてどのように把握したのか、その方法を教えてください。
◯新田障害者医療調整担当部長
都が転退院の希望を確認した患者のうち、都の支援により転退院した者は、令和六年十月末時点で十七名です。
都は、病院から亡くなられた方の情報について報告を受けております。都は、医療法、精神保健福祉法など、法令に基づく病院の適正な管理運営について確認するため立入検査を実施しており、法令違反等があるときは、改善のための必要な指導を行っております。
◯さんのへ委員
滝山病院における任意入院者で、退院を希望しながら現在まで退院が果たされていない方はいるでしょうか。いる場合、それは何名ですか。
もしもいた場合、精神保健福祉法第二十一条一項に違反すると思われますが、東京都として指導や処分は行っているでしょうか。また、行う予定があるかお答えください。
◯新田障害者医療調整担当部長
都が転退院の希望を確認した患者のうち、令和六年十月末時点で病院に入院している任意入院の患者は十一人です。
病院には身体の合併症や重い精神症状の患者が入院していることから、本人の希望や家族の意向などを踏まえながら、他の自治体とも連携しながら本人の状況に合った医療機関を探すなど、丁寧に転退院の支援を行っています。
◯さんのへ委員
十一名の方が現在まで転退院がかなわない状況にあるとのことです。転退院を希望する十一名の方全員の希望が実現するように、都としての指導対応を強く求めます。
また、滝山病院では、院長等が変更になった後にも、外部からの面会希望者がある場合に、そのことを患者本人に伝えることなく、恣意的に病院が面会者をセレクトして断るといった事案が報告されています。
そのような行為が実際にあるとした場合、東京都としてはどのようなご見解をお持ちでしょうか。
◯新田障害者医療調整担当部長
面会の制限については、精神保健福祉法第三十七条第一項の規定に基づき、厚生労働大臣が基準を定めています。
都は、立入検査等で法令に基づいた対応が行われているか確認をし、法令違反等がある場合は必要な指導を行っています。
◯さんのへ委員
実際に面会の制限が行われた旨が報告されておりますので、立入検査のみならず、患者並びに患者ご家族からの通報があった場合にも、確認していただくことを求めます。
現在の滝山病院の入院者数は五十名程度まで減少しています。昨年発覚した患者虐待事件の発覚当時、滝山病院しか行き場がないなどといわれていた患者さんの大半は、現在、ほかの受入先で生活したり、治療を受けていたりすることが推察できます。
現在も、滝山病院にしか行き場のない患者さんがたくさんいて、ゆえに、滝山病院は現時点でも必要な病院であるという認識を東京都としてお持ちでしょうか。
◯新田障害者医療調整担当部長
都は、旧滝山病院をはじめとした精神科病院に対しては、医療法、精神保健福祉法など、法令に基づく病院の適正な管理運営等について確認するため立入検査を実施しています。法令違反等がある場合は、改善のための必要な指導を行っています。
◯さんのへ委員
次に、綾瀬病院について伺います。資料の59をご参照ください。
綾瀬病院では、今年に入り二件の事件が報道されています。一件目は、今年六月二日、綾瀬病院が患者の自宅などへ実際には行っていないのに、通院してきた際に待合室で行った面談を訪問看護、つまり職員が自宅へ赴いて面談を行ったとして虚偽の報告を行い、診療報酬を不正に請求していた事件です。
この訪問看護費の診療報酬不正請求を受け、都としてどのような対応を行ったのかお答えください。
◯西坂指導監査部長
委員お話しの事案につきまして、関係法令に基づき、都で調査を行っております。
◯さんのへ委員
現在、都として調査を行っているとのお答えでした。
綾瀬病院における訪問看護費不正受給に関しては、元職員の証言から発覚したものですが、なぜこれまで訪問看護費の不正受給が指摘されなかったかという背景については、綾瀬病院側が、生活保護受給者、つまり自立支援医療費受給者かつ医療費の自己負担がない方に対して行われていたことが発覚しています。ゆえに、患者自身も虚偽の訪問看護が行われていることに気がつくことはできませんでした。
これは、訪問看護費の不正受給のみならず、さきの質疑でも述べたように、自立支援医療費制度も悪用していると指摘します。本件があしき事例とならないよう、東京都に対して、しっかりとした調査対応を行っていただくことを強く求めます。
二件目の事件は、報道によると、二〇二二年に綾瀬病院に統合失調症で入院していた四十代女性から、退院したいとの相談を弁護士が受け、退院に向け病院側と調整していたが、約二か月間進展がなかったため、病院に伝えた上で、精神保健福祉法に基づき、女性の代理人として都に退院請求をしました。
その約二週間後、病院から突然、今日退院させると弁護士事務所に連絡があり、院長らが女性を連れて弁護士事務所を訪問し、退院請求をした責任を取ったらどうかなどといい、女性を置いて立ち去ったとのことです。
現在、損害賠償をめぐって裁判が行われているものの、退院調整を行わないまま患者を連れていって置き去りにしたことを病院側は認めています。
資料の59を見ると、綾瀬病院は、令和四年以降は医療保護入院が行われておらず、一〇〇%任意入院となっていることが分かります。
しかし、こうした入退院トラブルが起きていることから、全て患者同意の下に入院が行われているのか疑わしいと指摘せざるを得ません。また、ほかの精神科病院と比較しても、医療保護入院がないのは不自然ではないでしょうか。都の見解を伺います。
◯新田障害者医療調整担当部長
精神保健福祉法第二十条に基づきまして、精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならないとされております。
◯さんのへ委員
万が一、強引な入院手続が行われていた場合、利用者、患者はどこに相談、連絡すればよいのでしょうか。また、綾瀬病院における退院者数推移及び退院請求に対する面談実施の対応割合について教えてください。
◯新田障害者医療調整担当部長
都内の精神科病院に入院中の方、またその家族などは、都の精神医療審査会に退院の請求または処遇の改善を請求することができます。
年間の退院者数推移につきましては、国の精神保健福祉資料の調査対象となっていないため、把握しておりません。
令和五年度の綾瀬病院における退院請求は一件ありましたが、その後、請求が取り下げられたため、意見聴取は実施しておりません。
◯さんのへ委員
任意入院でもあるにもかかわらず、退院請求が行われている場合においては、都の精神医療審査会には少し注意して見ていただきたく、この場で申し入れておきます。
任意入院をした場合において、患者の意思に基づく退院が行われてしかるべきですが、病院側は空床をなるべく出したくないという意思から、何かと理由をつけて退院を食い止める、そして、都合が悪くなったら患者を放り出すということもあり、その一例が今年発生した患者置き去り事件であったと指摘します。
次に、ベビーシッター利用支援事業について伺います。資料の47をご参照ください。
私の地元である江東区でも、ベビーシッター利用支援事業が本年度より始まりました。現在の自治体と利用者の活用状況と課題を確認します。
令和二年四月に発生したベビーシッターによるわいせつ事案を受け、認定事業者であったキッズラインに対する指導状況を資料でまとめていただいておりますが、こちらの資料を見ても、全て立入調査に伴う改善指導にとどまっています。また、ポピンズファミリーケアへの対応を含め、しっかりと改善指導をなされているのでしょうか。改めて、指導監督の現状と所見を伺います。
◯瀬川子供・子育て施策推進担当部長
待機児童などを対象とするベビーシッター利用支援事業の令和五年度の実績は、二十区市、二百七十五人となっております。ベビーシッター利用支援事業の一時預かり利用支援の令和五年度の実績は、十九区市、一万四千二百六十五人となっております。
都は、保育の質の向上を図るため、認定事業者に対して、保護者の居宅への巡回支援や管理責任者向けの研修等に要する経費を補助しております。また、認定基準等の遵守状況を確認するため、認定事業者を対象に立入調査を実施することとしております。
◯さんのへ委員
東京都は、認定事業者に対して立入調査を実施しているとのことですが、この調査を受けて指摘事項があったのか、その経緯などは自治体や都民には公表されておりません。
自治体として、問題のある事業者を選択肢から外すことはできず、保護者も情報を得られないことから、東京都の指導監督が子供たちを守るためのとりでとなっています。
令和五年十一月二十一日から十二月二十日には、二十五事業者に立入調査を実施し、指摘事項ありと表記されていますが、指摘事項があった事業者はどこでしょうか。また、指摘事項の具体的な内容は何か、それらが現時点で改善されていることを既に確認されているかどうか伺います。
◯瀬川子供・子育て施策推進担当部長
都は昨年度、都の認定基準等の遵守状況を確認するため、二十五の事業者へ立入調査を行い、そのうち五事業者に対して指摘を行ったところでございます。
具体的な指摘事項につきましては、保育実習の未実施、研修機会の未提供等であり、四事業者は既に改善を確認しております。また、一事業者につきましては、改善指導中でございます。
◯さんのへ委員
保育実習や研修機会の未実施というのは、子供の事故対応や危機管理対応に直結するものであり、重く受け止める必要があります。また、一事業者は改善指導中ということですが、指導中の事業者であっても、認定事業者として認められているわけですから、利用者の選択肢から外れることなく、未然に事故を防ぐことが難しい状況です。
東京都が行う立入調査は、事前に告知をした上で調査を行うものですが、本事業は東京都の事業として、子供の安全を担保するために、事前告知なしの立入調査の実施を強く求めます。
また、要綱の改定を行い、指摘事項の詳細並びに指導経緯と事業者の公表を求めます。保育施設に対して指導があった場合は、その経緯も含めて文書指摘事項が各自治体の議会等でも公表されています。都民に対しての情報を担保し、子供たちを未然に守れるよう、より厳しい指導と事業者の公表を強く求めて、次の質問に移ります。
〇一八サポートに係るシステムトラブルについて伺います。
今年九月、約一億二千百四十一万円の誤支給が、申請者からの問合せで発覚しました。こちらは、資料の49をご参照ください。
昨年九月は、十七万枚ものチラシの誤送付が発生しています。後者は地方公共団体情報システム機構の抽出ミスであったとのことですが、東京都が負担する経費は調整中となっています。これはいつ頃に判明するのでしょうか。
◯瀬川子供・子育て施策推進担当部長
現在、地方公共団体情報システム機構に対し、費用負担の交渉を行っておりまして、終了時期をお答えすることは困難でございます。
◯さんのへ委員
今年六月には、申請サイトでの画像のアップロードができないシステムトラブルが発生しています。これによって都が負担する経費はどのようになるでしょうか。
◯瀬川子供・子育て施策推進担当部長
申請サイトで画像のアップロードができない事象の対応につきましては、〇一八サポート認定請求システムの保守・運用支援委託の委託業務の範囲内で実施しておりまして、追加で都が負担する経費はございません。
◯さんのへ委員
システムトラブル、後者のものに関しては都の費用負担は発生しないということですが、資料の49を見ていただいても、既に多額の事業費を投入しています。
これまでの誤送付、誤支給、システムトラブルなど、執行部とも綿密に事業を計画していたら起こり得なかった凡ミスであると指摘せざるを得ません。
当会が開示請求をしても、まだ得られていない十七万件のチラシ誤送付と誤送金の損失金額を速やかに明らかにして示すべきであり、二度と稚拙な事業展開をしないことを強く求めます。
最後に、児童発達支援事業所等利用支援事業について伺います。
児童発達支援事業所等利用支援事業とは、児童発達支援事業等を利用する第二子以降の保護者の自己負担を世帯収入にかかわらず無償化する事業です。もともと、利用者負担の上限月額がゼロ円であれば、こちらの事業を利用する必要性はないので、この事業における支給件数は、住民税の課税世帯からの申込みであると考えてよいでしょうか。
また、二〇二三年十月から開始した本事業ですが、令和五年度の支給決定件数は、資料51を見ると七百六十七件となっています。一児童当たりの給付額は幾らとなっているか、お答えください。
◯加藤障害者施策推進部長
児童発達支援事業所等利用支援事業は、保護者が実際に事業者へ支払った利用者負担額を給付するものでございます。本事業の対象は、国が定めました所得区分に応じて負担が発生する住民税課税世帯でございます。
令和五年度に都が本事業で支出した額を支給児童数で除した額は、約一万五千円でございます。
◯さんのへ委員
ありがとうございます。この事業の給付は第二子以降を対象としていることから、住民税課税世帯、第一子でゼロ歳から二歳の障害を持つ子供が児童発達支援を利用すると、一人当たり一万五千円程度の自己負担が発生しているということが置き換えてみると分かるかと思います。
内閣府が掲げる障害者施策では、障害のある児童の育成については、できるだけ早期に適切な医療的リハビリテーション、指導訓練などの療育を行うことにより、障害の軽減及び基本的な生活能力の向上を図り、自立と社会参加を促進しています。自己負担が発生することによる児童発達支援事業の利用控えは、早期療育の理念に反するものであり、あってはならないことだと考えます。
今後の児童発達支援事業所等利用支援事業の利用状況を加味しつつ、第一子からの利用支援事業拡大の検討を強く要望して、質疑を終わります。
出典:東京都議会会議録


