2024年(令和6年)9月30日 厚生委員会
◯さんのへ委員
東京都立病院機構の令和五年度業務実績評価結果のうち、財務内容について質疑します。先にもう多くの委員から質疑がありましたので、なるべく質疑が重ならないように伺います。
令和五年度は、コンサルティングを活用して費用の適正化を図ったとのことですが、改めて具体的にどのような内容だったのか伺います。また、コンサル料金に係る金額に対して、どれほど支出の削減ができたのか、金額を比較して、結果、支出が削減できたのかどうかというところを確認したく、コンサルティング会社に支払った金額と削減された費用、それぞれについて確認をさせてください。
◯鈴木都立病院支援部長
一例といたしまして、墨東病院におきまして、コンサルティング会社を活用し仕様内容を見直すことで、清掃、設備保守等委託契約の価格の削減に努めました。令和五年度と比較いたしまして令和六年度の契約金額は約七千三百万円の削減となり、今後も削減効果が見込めると認識しております。
コンサルティング会社への支払いは単年度一回のみで、約三千六百五十万円でございます。
◯さんのへ委員
コンサルティング会社への支払いが単年度の一回のみの支払いに対して、委託契約の約七千三百万円の削減が今後も期待できるとの答弁で、コンサルに係る料金が削減費用を上回っていないことが確認できて安心しました。
業務実績評価の年度計画では、今後の財務内容の改善については、このように適切な支出の徹底に努めるとともに、収入の確保を行い、着実に取り組むとあります。収入の確保については、東京都からの年間補助約五百億円ありきの想定にはなっていないでしょうか。
令和五年度は、コロナ患者向けに病床を確保する医療機関に支払われていた空床補償などの補助金がほぼなくなった結果、補助金等収益が大幅に減り、営業収益が減少して赤字になったと分析されています。
収支を合わせるために、具体的に今後どのような取組を進めていくのか改めて伺います。
◯鈴木都立病院支援部長
地方独立行政法人法等には設立団体による経費の負担について定められており、運営費負担金は採算の確保が困難な行政的医療を提供するための不可欠な経費として、機構が策定する中期計画に計上されております。
都立病院におきましては、引き続き積極的に患者の受入れを行うとともに、十四病院のスケールメリットを生かした共同購入の推進などにより、収入の確保と適切な支出の徹底に取り組んでいくこととしております。
◯さんのへ委員
令和五年度決算について、この実績評価書では、目標値である経常収支比率九六・八%及び医業収支比率七六・九%の数値しか書いていないんですけれども、これまでの実績と見解を伺います。
◯鈴木都立病院支援部長
都立病院機構の業務実績報告書によりますと、令和五年度の実績は、経常収支比率が九二・六%、医業収支比率が七〇・二%でございます。
これは、新型コロナの影響で患者数が減少した後、患者数が戻らず医業収益が伸びていないこと、コロナ五類移行に伴いコロナ関係補助金が大幅に減少したこと、物価高騰の影響による材料費等の増加が主な要因となっております。
◯さんのへ委員
都立病院機構、赤字百八十三億円と、新聞報道も大きく大々的にされておりました。コロナによる患者数が減り、患者数が戻っていないことを主な赤字の背景として弁明されておりますが、自由を守る会は、従前からコロナ禍においての拙速な独法化には異を唱えておりました。なぜならば、目前のコロナ対応で幹部職員は経営努力に割ける時間も人的資源もないと考えたからです。
独法化を拙速に進めた点と目標達成ができず赤字となった点について、反省を込めた所見を伺います。
◯鈴木都立病院支援部長
コロナ対応におきましては、感染状況に応じた、より機動的な対応を行う必要があり、独法化によって医療の状況に機動的に対応できる体制を早期に整備することができました。
例を挙げますと、令和四年冬に新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念され、都立病院で発熱外来の体制を強化した際には、豊島病院で契約手続開始から約一か月で敷地内にプレハブを設置したほか、多摩北部医療センターでは、契約手続開始から約一週間で三台のトレーラーハウスを導入し、診療に必要な施設を迅速に設置いたしました。
さらに、柔軟な単価設定により非常勤の看護師を迅速に確保するとともに、人材派遣等により介護業務を担う看護助手を各病院で増員するなど、独法化のメリットも生かしながら機動的な人材確保に取り組み、重症、中等症患者に加え、新型コロナが軽症でもマンパワーを要する患者を多く受け入れることができました。
なお、令和五年度決算における純損失につきましては、これまでご答弁してきたとおり、新型コロナの影響で患者数が減少した後、患者数が戻らないこと、物価高騰の影響による材料費等の増加が主な要因でございます。
◯さんのへ委員
私も厳しいことを申し上げたんですけれども、先ほど鈴木委員からも、質疑の中で、もともとの都立病院を独法化する前の役割というところでも質疑がありましたが、本来、自治体の病院というのが、中低所得の住民に対して安価に、しかし、確実に医療を提供することを目的として設立されたというそもそもの歴史があります。
貧しい方を切り捨てて、例えば収益増をもくろんで患者さんを選択するですとか、補助金が少ない不採算事業を切り捨てたり、あるいは、派遣職員と法人職員の待遇を区別するということはあってはなりません。
独法化で期待された健全経営という側面においては、引き続き先ほどご紹介ありましたコストですとか、支出削減に取り組んでいただいて、持続可能な行政的医療を続けていくために収支を合わせる取組というのを引き続き続けていただくことを要望して、質疑を終わります。
出典:東京都議会会議録